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女友達と仲良くしたら、親友の男の娘が壊れた話  作者: 黒髪
第一章:日常が崩壊するまで
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 誘惑するからよろしくね。

 さやかはそう言ったが、実態は違う。

 誘惑という名の束縛が始まったのである。


 四限目の終わりのチャイムが鳴り響いた後。


「寄道くん。今日一緒にお昼を食べようよ〜!!」


 昼匙さんを含む女子ーズの皆様に誘われた。

 俺はその会合に参加したいのだが、親友の男の娘は決して許してくれるはずがなかった。というか、約束もしていないにも関わらず、こんなことを言うのである。


「悪いんだけど、今日も寄道は僕とお昼を食べるんだよ?」


 敵意を剥き出しにして、子を守る母猫のように威嚇。

 折角誘ってくれた女子の皆様方も、ピキピキと今にも血管を破裂させそうなほどに怒るさやかを見て、諦めてしまうのだ。


「お前のせいで……俺は乙女の花園に行く機会を」

「ここにも乙女がいるじゃん。寄道だけを想う可愛い娘が」


 遠慮という言葉を知らないのか、さやかは自分自身を可愛いと自認しているようだ。見た目だけと比べるのならば、並大抵の女子ではさやかに決して敵うはずがない。ほぼ敵なしだ。


「前にも説明したがな。俺はお前に恋愛感情なんて——」


 さやかは、俺の口に弁当のおかずを入れてきた。

 購買のパンに頼りっきりな俺にとって、弁当のおかずはありがたい。ただ、突然口に放り入れられるのはダメである。


「どうかな? 僕の特製卵焼きは」

「美味いよ。相変わらずな」

「むふふふふふ。僕と結婚したら毎日食べれるよ?」

「いや、結婚なんてするわけねぇーだろうが!!」


 昔から料理や家事が大好きらしく、自宅でもお手伝いの一貫でやっているのだとか。

 妹に任せっきりの俺とは大違いである。本当凄いと思う。


「安心して。すぐに恋愛感情へ変換させてあげるから」


 そう言いながら、俺の唾液が付着した箸をさやかは「ちゅぱ」と音を立てて舐め始める。見たくもない瞬間だ。

 先程の卵焼きを吐きそうになるものの、無事に喉元まで抑えることに成功するのであった。

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