7-8
私は神谷くんの前に立ち塞がり、両手を広げた。
左肩が、槍で貫かれる。
「……ああっ!!」
……痛い。こんな痛み、経験したこと無いってくらい、痛い。
でも私は逃げない。
もう目を閉じて、縮こまって震えてるだけの女にはならないって決めたの!
「……な、キアラ……!何して、早く逃げて」
「逃げない!!私は友達を守る!!」
「……何で、何でそこまで」
「当たり前でしょ」
「だって私、ヒーローだから!!」
私は、ヨロズ零号だから!
戦える力が無くても、私だってヒーローだから!
「……キアラ」
「ははっ、モブちゃんかっけー!」
言いながら皇くんが私の肩に刺さった槍を抜いてくれた。……え、素手で!?
というか痛い痛い!もっと優しく抜いてよね!
「なあ、シオン。モブちゃんは戦えなくても、立派にヒーローだぜ?」
「………………」
「お前はどうする?このまま怪人に成り果てるか、それとも……」
「……うるさい」
神谷くんが皇くんを跳ね除ける。
「……俺は、ただ、キアラが好きなだけ」
「神谷くん……」
やっぱり、ダメなの?
私達じゃ、彼の心は動かせなかったの……?
「何ごちゃごちゃ話してるんだ!もういい!お前がヒーローだと言うならまずはお前から……!!」
……やばい!
流石に二度もあんなの食らったら私、無理───
「……おい。アンタの狙いは、俺だろ」