7-1
「そ、そうだ……!この人、回復してあげないと……」
正直、私を襲うような最低な男だし助けたくなかったけど。
私はヒーローの一員だから、死にそうな人を見捨てる訳にはいかない。
黛さんに連絡して回復してもらおう……そう思った瞬間、ちょうど黛さんから着信が入った。
「もしもし、黛さん!突然申し訳ないんですけど、また怪我人が出て……!」
「ごめんなさい!それどころじゃないんです!こっちがとんでもないことになってまして……!」
「とんでもないこと、ですか?」
「治癒した筈の皆さんが、苦しみ出しているんです……!!」
「……え?」
「ぐあああぁぁぁ!!!!」
突然、私の後ろで倒れていた男が呻き出した。
驚いて振り返ると、吐血している。
う、嘘でしょ!?そんなに重症だった!?
「ち、ちょっと……大丈夫ですか……!?」
恐る恐る近寄ってみる。
……見ると、先程よりも紫色の痣が濃く、どす黒い色に変化している……!!
「もしもし茂部さん!まさかその人も被害者なんですか!?」
「は、はい!そうです!」
「参ったな……放っておく訳にはいきませんね。僕は行けないので、京極くんに迎えに行って貰います……!」
京極くんなら空が飛べるからすぐに黛さんのところに運んでくれるってことだろう。
その間も男はずっと呻いていたが、私にはどうにも出来ない。
とにかく、京極くんを待とう。
「おい、そいつが被害者か」
「う、うん……!急にこうなっちゃったの……!」
「やはり、痣が黒くなってるな」
「そっちも、そんな感じなの……!?」
「今は話している暇は無い。状況を知りたいならさっさと帰って来い」
京極くんは男を抱え、さっさと飛んで行ってしまった。
私はその場に一人残される。
と、とにかく早く帰らないと……!
えっと、多分会長の研究室で良いんだよね?
私は急いで会長の研究室へと向かった。