6-2
あくる日の帰りのホームルームの時間。
私は座る人がいない自分の隣の席を見つめる。
ここ、入学式の後は座ってる人がいた筈なんだけど、その次の日からずっと空白だった気がする。
つまりここに座る筈だった生徒はそれからずっと来ていないと言う訳で。……不登校、なんだろうか。
どんな顔だったっけ。その人。
どうにか記憶を辿ると、紫髪であることだけは思い出せた。
………ん?紫髪?
もしかして、その人が伍号!?
だとしたら全く出会えないのも頷ける。
えっと、後は名前名前……!
ううん、流石に思い出せない……!
「神谷紫苑……は今日も休みか」
そうだ!神谷紫苑!
先生ナイス!
「なら今日も神谷へのプリントは委員長に持って行って貰うか───」
「先生!!」
私は勢い良く手を挙げた。
普段モブに徹している私が大声を上げたもので、先生も周りの皆も驚いている。……うう。ちょっと恥ずかしいかも。
「ど、どうした?茂部」
「あ、あのえっと、わ、私がプリント持って行きます!」
「え、でも」
「良いでしょう、先生!誰が持って行っても!」
もし神谷紫苑が伍号なんだとしたら、こういう機会でもないと絶対に出会えないだろう。
「でも、神谷の家は」
「大丈夫です!いつも委員長に任せるのは申し訳ないから私が行きます!」
私は思ってもいない言葉を並べ、無理矢理先生の手からプリントを引ったくった。
「それでは!行ってきます!」
「あ、ああ……。まあいいか。これが神谷の家だ」
最終的に先生も納得してくれたし(してくれたのか?)、私は先生に渡された地図を片手に神谷紫苑の家へと向かうことにした。