5-3
「ほ、ほら!もう次!次だよ!」
「黄泉くんでも緊張するんだね?」
「す、するでしょ!だって、生の推しだよ!?」
そして前の人の順番が終わり、ついに黄泉くんの番が来た。……その時だった。
─────────────!!!!
何かが落下して来た音。
上がる砂埃。
これはもう魔王軍の怪人が現れた時の合図みたいなものだけど……嘘でしょ!?このタイミングで!?
「はっはっは!グッスリンふっかt」
「はあ!?今!?次が僕の順番っていうこのタイミングで!?空気読みなよ!!」
「よ、黄泉くん!気持ちは分かるけど今は皆の避難を優先させないと……!」
「……その必要は無いですよ」
辺りに響く凛とした声。
目の前に立っていたのは────
「ひ、翡翠サマ……!?そんな、本物……!?」
「はい、本物です。皆さんはスタッフさんが避難させてくれましたので大丈夫ですよ」
あの一瞬で危険だって判断して、皆を避難させたってこと!?
スタッフさんが有能過ぎるんだが!?
「さあ、残るは君達だけです。僕について来て下さい」
「逃がすか!!おい女!赤いのと青いのはどうした!?」
「えっ、今は居ないけど」
「えっ、居ないのか……」
暫しの沈黙。
まあグッスリンを倒したのは皇くんと京極くんだもんなあ。
「有給休暇は終わったの?」
「ああ、おかげさまでゆっくり休めた……って何で敵にこんな話をしてるんだ!!」
「魔王軍ってなかなかのホワイト企業なんだね」
「チッ、赤いのと青いのが居ないなら仕方ない!女!お前で我慢してやる!!」
えっ、私!?
「ちょっと待って!私は戦えな」
「死ねぇぇえええい!!」
問答無用!?
え、やばい。死ぬ────