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「ジャージ!?ヘルメット!?何この手作り衣装満載な装備は!?」
「失礼な!ちゃんと変身はしているんだぞ!」
「だったら会長さん!アンタのセンスが絶望的に無い!!有り得ない!かっこよくない!!」
「私のセンスに文句があると言うのかい!?かっこいいじゃないか!!」
会長と黄泉くんがお互いに掴みかかりかねない勢いで言い合いをしている……が、これは黄泉くんに全面的に同意だ。
なんというか、絶望的にダサい。ジャージって。
こういうのってピッチリしたスーツとかじゃん。ジャージとかじゃないじゃん。
「俺はジャージ慣れてるから違和感ないぜ!」
いやいや皇くん。違うって。そういうことじゃないから。
慣れてるとかそういう問題じゃないから。
「確かにセンスは壊滅的だが……そもそも正体を隠すのが目的だろう」
いやまあそうなんだけどさ!!
それにしても最低限のかっこよさは保証されても良いと思うよ私は!!
「〜っ!!僕はこんな変身認めたくないけど!まあそれはこの際置いといて!」
あ、置いといてくれるんだ。
まあ変人の会長を説得するのは骨が折れそうだし。うん。賢明な判断だと思うよ。
「あのさあ、ヒーローの名前とか決めてるの?」
「勿論!!」
「うわでた。これも会長さんが決めたわけ?ちょっと僕嫌な予感しかしないんだけど」
安心して。私もだから。
「名前は《なんでも戦隊ヨロズレンジャー》さ!皇紅蓮くんがヨロズ壱号!京極蒼真くんがヨロズ弍号だよ!」
「あーもー!予想してたけどだっさいなあ!!」
黄泉くんが崩れ落ちる。
私のせいじゃないけど何かごめん。
「……ちなみにそれ、改名する気は無いの?」
「無いね!!なぜなら私の傑作だからさ!!」
「そう……分かった……」
ああ、黄泉くんが呆れているのが見える……!
プロデュースするってめちゃくちゃ気合い入れてたのに……!!
……いや。
ひょっとしたらこれは会長の演技で、部外者である黄泉くんにわざとショックを受けさせてやる気を無くさせて、追い出す作戦だったり……?
「何でそこまでショックを受けるんだろう?私は傑作だと思うんだけどなあ……」
……しなさそうだ。