3-10
「なんだか随分ご都合だけど、二人共お願い!!」
私が号令をかけると、二人は手を振り上げて勢いよく叫んだ。
「ぶっとべ!暴発!!」
「貫け、氷槍!!」
「え、嘘……俺魔法なんて対策してきてな────────」
無数のつららの後、大爆発。
え、これもしかしてグッスリン死んでない?グロいことになってない?
いや確かに敵なんだけどさ、なるべくそういうグロ系な展開は避けたいっていうか……【残酷描写あり】って書いてないし。
「ち、ちくしょう!!これで勝ったと思うなよ!!覚えてやがれーーーー!!」
あっ生きてた。そんで逃げた。
良かった。敵とはいえそういう後味悪いのは見たくないし……トラウマにもしたくないし。
「か、勝った!倒したぞ京極!」
「倒せていない。逃げただけだろう」
「というかお前、一緒に戦ってくれたよな!仲間になってくれるってことだよな!?弍号になってくれるってことだよな!?」
「……っ、あれは、自分の身が危険だったから……!」
「何言ってんだよー!ノリノリで魔法唱えてくれたじゃんか!お前もそういうのに憧れた時期があったんだろ?」
「う……!ず、随分昔の話だ……!」
おお、否定しないんだ。
というか随分距離が近くありません?
大丈夫!私そういうの嫌いじゃないから!
「まあ詳しくはこの後説明するから、皆で会長のとこ行こっか」
「会長?だあれ、それ?」
「会長ってのは、私達にヒーローの力を与えた────」
……待って。今の誰!?
どう考えても皇くんや京極くんの声じゃなかったよね!?
「へえ、秘密基地みたいなとこがあるんだあ」
「!?!?だ、誰!?いつの間に!?」
「さっきからずっと居たぜ!」
「なら何で言ってくれないかな!?バレちゃったじゃん!!」
ああもう!結果的に京極くんは弍号だったから良かったけど、今日何か無関係な人に正体バレ過ぎじゃない!?
絶対バラすなって会長に言われてたんだけどね!?
「あ、バレちゃいけないことだったんだ?」
「!!」
「僕、秘密聞いちゃったね♪」
先に謝っておこう。
電話切ってないし、多分会長にも聞こえてるし。
「バラされたくなかったら、僕のことも秘密基地に連れてってよ♪」
会長、マジでごめんなさい。
第三話 終われ。