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90とあるヒロインはかなり遅れてやってくる

サラダエクレアの街のギルドを出てダンジョンに向かう。



本当に…………長かったわね。


ダイラックの外で見かけてからもう半年ぐらい?

――――もう少しだ。


あ、一応念話でカナメに伝えておこうかしら。


『…………カナメ。見つけたわよ。サラダエクレアから入ったジュリアダンジョンにいるらしいわ。今から向かうから念のため何かあったらバックアップよろしく』


『――――はい。解りました。ルカ』



これで良し。後は合流するだけ。



…………ってダンジョンは何処よ!




街行く人に聞きまくりやっと入り口に辿り着いた。

もう方向音痴は本当に最悪なスキルね……。


絶対に会いたい人にも出会いにくくなってるでしょ、この要らないスキル。

……アレとセットだから仕方が無いんだけど。



――――――――何かいる。


何かの気配を感じるわね。

取りあえず隠れよう。


咄嗟にスキル隠蔽を使うと物陰から宝箱が出てきた。

…………ミミック? いや、あれは……………………もしかしてピュアかしら?


――――珍しい。


ってあれ? ダンジョンからそんなに簡単に出てこられるの?

……モンスターだよね???



…………不思議な生態ね。縛り付けている物とかが無いのかな。



じっと見ていたらそのまま何処かにいってしまった。


おっと……今はそれどころでは無かったわ。

……もう逃がさないわよ。私の運命。




でもジュリアなんて何年振りかしら……。


私も昔は腕試しやランクを上げるために良く来た気がするけどさ。




……よし、ダンジョンに入った。


地下何階ぐらいにいるかしらね。

此処まで来れば幾らでも遅れてやるわよ。もう今更って感じ。


はぁ…………。

何か緩和させるアイテムとか……探してみようかしら。





ダンジョンは様々な敵モンスターが出る。


此処、ジュリアダンジョンは初心者向けのダンジョンなんだけど、凄い低い確率で強い敵モンスターも出てくる事もあるんだ。


でも、もうそこまで行くと確率や引きでは無く、運命というか決められた何かと考えた方がしっくりする。というのが色々なダンジョンに通ったけど。私の分析なんだよね。



……しかし、中々に懐かしいモンスターが出るわね。

サクサクっと倒しどんどんと進んでいく。


懐かしい気分で敵モンスターを倒してはいたけど途中で無駄に気がついた。

今の私のLVでは倒す意味すら無い。


……もう無視して走ろう。



……唯でさえ方向音痴のスキルがどれだけ邪魔してくるか解らないしって思っていたら早くも地下七階層。


そしてサックサクにボスを倒してジュリアダンジョンクリアー。



ふぅーって全然おかしいから。



だって誰にも会わないんだよ?

ま、まさか……えっと、運命力足りてないの?


「うーん……………………あ」



とそこで気がついた。

此処、姉妹の片割れジュリエッタの方だった。



そうよねそうよね、そんなうまい話が……。



改めましてようこそ地下一階。

私を迎えてくれてありがとうジュリア。


全然気にしないわ何時もの事よ。


ほんの三十分位のロスでしょ? 一時間ぐらいかしら……。

もう最悪は全てを塗りつぶすわよ……見てなさい、運命。


……少しだけやさぐれ気味な私。いけないいけない。


このスキルのせいで自分が結構なアレに思えてくるのよね。

………困ったわね。



さて地下一階…………何も、何も出ないわ。

これは、やり直しね。


何度も何度も気を取り直す。


再び入り口まで戻り中へと入った。

スキル『運命を共にするもの』ルカの願いを聞きなさい。


もうお願いしておこう。

私を支えてくれるスキル『運命を共にするもの』

このスキルが私の根幹であり、方向音痴と対のスキル。


誰かとパーティ組んでるとそんなに発動しないのに一人での行動になると猛威を振るう。




……………………ソロは向かないわね、私。




再突入して暫く歩くと敵モンスターの兎、フロアーラビットが現れた。


……多分、成功。

剣技を一閃させ倒しつつ先へと進む。




デスチャージにマントラップとか、うーん、懐かしいわ。

最近は流石に見ないモンスター達が現れる。


「……えいっ」と的確に剣を振るい倒して先へ。


……流石に方向音痴のスキルが強くても此処ジュリアなら大丈夫よね?


確か初級ダンジョンは殆ど一本道だったはず。

でも此処までこじれたんだからまだ何かあるかも知れない。


もう今更だけど念のため急ぎましょうか……何か、とても気になるわ。



………………地下三階の赤い扉。


そっか、中ボスが出るのか。そっかそっか。




……あれ、でも扉が開いているわ。


不思議。


そんなことってあるのかしらね。


…………扉の先を覗くと床が無かった。


「ふぅん……」


コレは多分…………何かの国級アイテムの仕業?



珍しい。あれ……あそこで誰か…………。

少し先に氷漬けになって固まっている人が見える。

まだ生きているかしら?


『……ねぇ、聞こえる?』


意識は…………怪我が凄いけど、そんなに時間は経過していないわね。


……………………スキルの心話により氷漬けの人と話が出来た。


なるほど。そういう事があったのね。

『ありがとう。参考になったわ。お礼に…………』





さてと、時間も掛かったし、先を急ぎますか……。


此処を降りれば良いのね。


スキルレビテーションにより大穴の下へと降りていく。


結構深そうね。

最終回層まで繋がっているのかしら……。





「そろそろね…………」


地面に降り立つとそこは色々な戦闘が行われたであろう跡が幾つか見られた。


結構強力そうな魔法が打たれているわね。


何を焼いたの?


クリムゾンか……いや、インフェルノ?


敵は…………ゴブリン系? そんな敵にそんな魔法を放ったの? 数が多かったのかしら?


少し離れた壁際に何か見える。



これは…………人形?



地面に兎のぬいぐるみが落ちていた。

手に取ってみると顔が……凄く酷い顔をしているわね。


片腕と片足がぷらぷらと取れそうになっている。


「…………でもこのウサギ」


ウサギが落ちていた正面の壁。

何か…………特殊な魔法が仕込まれているみたい。


「……何かしら」


サーチを唱え正面の壁を調べるとそこは石水牢だった。



「こんな所に何故そんな強力な罠が――――――――あ」




――――此処なのね。ここが、運命の場所。


「意外にあっけないものね。……あれ程に渇望した瞬間がもうそこまで来ているなんて!」


落ちていたぬいぐるみの修理をしながら思い出に耽った。


一体何度目の……………………スタートラインかしら。







「…………よし。ルカーカシワギの名において、目の前の罠を速やかに解除せよ。ディスペル」

…………駄目みたいね。仕方ないわね。


純度百パーセントの魔結晶を触媒にしてブーストを掛けてと。


「――――――――――ルカーカシワギの名において、目の前の罠を速やかに解除せよ」

『…………運命を共にするもの』



……正面の壁がグラグラと揺れている。


――――きっと、この中にいる。



何年…………何十年か。


やっと此処まで来た。



早く壊れなさい。もう……もう私は一分たりとも待てないわよ!

大きい音を立てて岩壁がガラガラと崩れてゆく。



その中には…………。

次は少し間が開きます。

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