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89罠に掛かる二人

私は闘技場へ再び戻ってきた。


今日もう何回目だろ、此処に来るのね。



この時間からダンジョンへ挑むパーティはいなかったので急いで中へ進む私。



ジュリアダンジョン……お願い。私を、私を受け入れて。


夕顔ちゃんを思う様に、強い思いと共にジュリアダンジョンへと入っていく。


地下一階。

ええと、何処まで進めばこのダンジョンは同じって解るんだろうね。



そんな疑問に答えてくれる人は誰もいない。


でも強い思いとか繋がりが願いを叶えるみたいな感じでグラ子さん話していた様な。

他にも聞いたけど忘れちゃったよ。


今回、初めての一人ダンジョンでもある。

緊張も不安もあったが目的意識、夕顔ちゃんを絶対に助けないと。


という気持ちに塗られた私の心はもう無敵だった。


あるのは焦りのみ。


間に合って! という思いだけは逆に私を不安にさせた。

あの、姉さんの時の様に……。



進むとダンジョンのモンスターがちょこちょこと現れるけど形振り構わない今の私の敵では無い。


立ち止まること無く敵を屠ってゆく。


進むことに関しては特に何も問題は無かった。

地下三階層の赤い扉を開ける迄は。


赤い扉の先にはビックリした。

何でってさ、何も……何も無かった。


じゃなくて地面が無いんだよ。


見ると大分先の方には地面が有り、よく見ると誰かが……凍っている?



一体此処でどんな戦闘が行われたのか。

この現状を見るに結構激しい戦いがあったことは見て取れた。



凍っている人は夕顔ちゃんでは無かった。少しだけホッとすると同時に不安が襲う。


そして目が良い私はそのまま周囲を、夕顔ちゃんを探すがいないみたいだった。


何かのモンスターの気配を感じたけど、隠れているのか何処に居るのか解らなかった。


でも今は進むことが最優先。


少し何かが気になったんだけどその考えを追いやった。


「…………先へ進もう」


うーん。

多分下だね。


…………私、飛べるかしら?


呪文フライを唱えてみたけどちょっと不安定だった。大丈夫かな?


でも行くしか無い。

もう前しか見えていない私は突き進むのみなのだ。


ぶっつけ本番。

そのまま直ぐに慣れない飛ぶ呪文、フライを唱えて大っきい穴の下へと落ちていく様に進んだ。


「夕顔ちゃん……何処」


度々フライの魔法の不安定さに途切れ途切れに落っこちる私。

大丈夫かしらこの呪文。


そして大きい穴は結構深いみたい。

しかも暗くてあんまり周りが見えないんだ。


真っ暗では無いのがせめてもの救いかもだけど。




見た感じこの穴……少し変なんだよね。


何か、最近出来たっていうかとても新しい気がした。

でもどうやったらこんな大っきい穴が作れるんだろう?



……多分、その答えがこの下にあるのかな?

コレを作った誰かもまだいるかな?


降りきれば何かの答えが解る。そうだね、進もう。

もっともっと下へ。



……あれ、何か暖かい?


結構降りていると思うんだけど突然暖かくなってきた。


下を見ると赤い…………炎?


そして所々何かが燃えている?


此処…………降りられるかしら。


集中力が途切れそうで不安定だったフライがもう危ない。


早く、早く地面に着かないと落ちちゃうよぉ。


「ふー。……もうすぐ」



なんとか凄く深い穴の終着点に着いた私。

そこはとても広い空間だった。


先程何となく見えた赤い炎はもう殆ど見えない。



私は恐る恐る地面に着地した。

何となくだけどちょんちょんって感じで地面を確かめるようにね。



…………何かが燃えたのかしら。


そんな感じ。

そして此処は結構明るいよ。



……きっと三階層から落ちてきて五階層とかもっと下の階層に辿り着いたのかもしんない。


でも周囲を見る限りだけど此処には何も無い。



何処かに何か無いか探していると後ろから声を掛けられた。





『何故オマエが此処に居るんダ?』

「………………プリンスちゃん」


『…………マァ良いか、コレは僥倖。会いたかったぜオレの嫁チャンよぉ、元気にしていたカ?』

「……夕顔ちゃんは何処?」


『ア? そりゃオマエ。さっき……いや、アッチにいるかもナー?』

「……何処?」


『………………そこの岩陰の所が牢屋だヨ』


…………牢屋。

夕顔ちゃんは捕まってしまったの?


でも何でこんな所にプリンスちゃんがいるのよ、もう。


『ソウソウ。ソコの壁に触れれば入れるゾ…………グヘへ』


何だかとってもあやしーのレーダーが反応してるけど今の私は前しか見えないの心境なのだ。



えっとね、あるかも、と無いかもだったら調べるのが優先されてしまうんだ。


…………例え罠でも突き進むんだ。


「壁に触れると…………きゃっ」


此処は…………暗い。


あれ、何も見えない。

周りにあるのはふよふよとした……水。


みたいな、何か?


なんだろう、コレ。

戻ろうと動くけど重くて……動けない。ゆっくりとなら動ける? 息は吸える。


さっきの壁…………押しても外へ出られない。


『グヘへ…………俺の嫁チャンは素直だなァー。此処はナ……通称、石水牢。シカモレベルがMAX。オマエでも簡単には出られないだろう……グヘへへ』


「………………」


『中では魔法も使えないヨ……この石水牢の効果は魔法不可。自分の記憶が良く解らなくなる。時が千倍の早さデ進む感覚にとらわれる』


「………………」


『オマエはどれ位、精神が保つかなア……通常は半日もイレバ気が触れる。明日迎えに来るカラよ……グヘへ、明日ナ』


…………話す事も出来ないみたい。


罠だった。


夕顔ちゃんも此処にはいない。

魔法も何故か使えない。


あれ、あれれれれ…………私。



どおしよ。



此処、タブタブするよう。スケルトンちゃん…………。呼べない。


嘘でしょ?

私、失敗しちゃったみたい。


あれ、何処で間違えたかなぁ?

うーん。うーん?


何で魔法が使えないの?

そんな事ってある?


ゴボゴボするよう。でも何も無いのよ。


何も無いよ? 何で何も無いの?


ええと……誰か…………。


師匠…………姉さん。




…………結構な時間が経過してる気がするけど、あれ? 私…………なんで此処にいるんだっけ?


確か…………プリンスちゃんに。

ええと……何だっけ? 何にもわかんないよお。




あれれ……………………私、何してるんだっけ? よく…………解らないや。



でも、此処にいてはいけない気がする。


何でだっけ? 此処から出ないと…………何処が出口? とっても難しいね。






どれぐらいのじかんここにいるんだっけ?



…………………………………………誰か。


私を助け……て? もう……此処には、いたくないよ。


でも……此処って、何処よ。


何にも解らないよ。



何をすれば…………良いんだっけ?



…………私、わかりません。



……………………………………………………………………………………。





 ◇◇◇◇





「おい。諦めるな!」


くそっ。


此処から気配を感じる。

微かな臭いも。


……この後ろに朋ちゃんがいる筈なんだ。


さっきから色んな魔法をこの壁に唱えているのだが全然、駄目だ全く壊れない。


…………魔法不可の何かなんて存在するのかよ。


でも絶対に此処にいる。

すぐソコだ。壁の中にいるはずなんだ!




…………参ったな。

体力もMPも、もう無い。このまま意識を失えば朋ちゃんの所に戻れるか?


今より何とかなるか? これは賭けだな………………。




……………………ええと、戻ったな。


思ったより尽きるのが早かったけど此処、何かがおかしい。


朋ちゃんの中の筈なんだけど、感覚が変だ。

考えも微妙に纏まらない。


朋ちゃんも全然動いてないし膝を抱えて縮こまっている。


一体どういう状況だよ。


戻って来てMPも少し回復したけど魔法が発動しない。


…………コレって。何かの罠か?



もしかして…………プリンスちゃんの罠か?


奴なら……考えられる。


しかし、詰んだな。

今は何も出来ない。MPも禄に回復しない。



あれ…………おかしい。俺は何をしていたんだっけ?

確か…………郷愁がいたよな?


そうだ…………朋ちゃんを助けに来て……駄目だったのか。


この感覚は危険だ…………考えが、どんどんと考えられなくなっている。


参ったな。

何か手は…………そうだな。


奥の手が一つはある。


奴の名前を呼べばひっくり返るよな。


全てが。




……しかしそれは出来ない。


恐らく…………。

この事だけはどんな状況でも忘れないだろう。


奥の手は呪いだからな。俺と奴の、契約だ。


……………………でも奴の奴隷にはなりたくない。


依って、手は何も無いのと同じ。

ここでゲームオーバーか?


あれ…………何か忘れてる様な……………………。

もう一つ…………俺にはもう一つ希望が…………ええと、何だっけ?



そ、そうだ…………共に……………………運命を共に。そう……『運命を共にするもの』

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