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79無事地上へ戻る者と戻らない者

地上に無事生還した私たちパーティ。


リーダーであるフランシスカさんを代表に受付へ事の顛末。あった出来事を報告した。


受付さんは所々記帳する手が止まりフランシスカさんに状況を更に詳しく聞いているみたい。


三十分ほど報告に時間が掛かりその後、皆で軽くご飯を食べに行く事になり。食べた後冒険者ギルドに報告をしてお終いにしようという流れになった。


ギルドまでの行く道の途中にあったお食事処ふくりゅうという所で食べることになった。

各々注文を頼み、今日のジュリエッタダンジョンでの出来事について話し合った。


「今日はおつかれさま」


リーダーのフランシスカさんが音頭をとりみんなで飲み物の入ったコップを重ね合わせた。


カコンと心地の良い音が鳴り、みんなで飲み物を飲む。席は私とフランシスカさんが隣同士、正面にはエレ先輩とバスタルフさんがいる。


「今日は中々珍しい出来事が続いたけど、皆の働きにより、無事誰もそこまでの怪我もせず戻って来られた」


フランシスカさんの言葉に皆が頷いた。


「しかし朋……お前は年の割に凄い魔法を使うのだな…………あれは中級の裏だろ?」

「えっ…………」


フランシスカさんの言葉に皆が私の方を向いている。

正面に座っているエレ先輩はビックリした顔をしている様だ……。


「え、あ……はい。まだまだ熟練が足りないのですが、あの瞬間に一番合う魔法を使いました……少しだけ賭けでしたが」


「召喚術と言い中々な冒険者としての動きだったぞ!」


「……そうだな。お前ほど底が見えない魔法の使い手を俺は見たことが無い……いや、一人ぐらいしか知らない」


「ありがとうございます……でもヴァンパイアなんて、凄い強敵でしたね」


「……あぁ、そっちもそうだったな。しかし恐らくあれでも三割位……なのだろう。奴の実力は」


「…………エレも回復魔法を使ってくれたな。良いタイミングだったぞ。お前もエリアヒールを使っていたな。その年齢で中々な良いセンスだ」


エレ先輩もCランクの二人に褒められてニコニコしている。

私も今回、何も出来ないで終わらなかった事に対しては充実感があった。


……ボス部屋に行くまで何もしなかったからなぁ。


「これも何かの縁だ、フランシスカは知っているだろうが、二人も聞いて欲しい」


バスタルフさんが話し出した。


「俺は家族…………妹のためにヴァンパイアを探して退治している。もし、何処かで流血の欠片というアイテムを手に入れたら譲って欲しい。話は先程の話で良いのだが、期限が迫っている。残り、一年少し……それまでに集めないともう治せないらしいんだ」


「中々大変な状況なのですね……」


「…………そうだ。妹がそういう状態になってしまった俺はどうしたら妹が治せるのかを調べた。そうしたら、流血の欠片というアイテムに行き着いたのだが手に入れる方法がヴァンパイアを倒すと確立で出現するという物だった。……しかし、どうやってヴァンパイアを探せば良いのかという根本的な問題があり一年前にそれを解決するアイテムをある者から譲り受けた」


「あ……もしかして…………」


「そうだ。それがこれだ……」


先程見せてくれたうさたんのぬいぐるみ。

わたしの所有している「絶望のミサンガ」に結構似ている作りだ。


「……これはあの有名な悠久の魔女に作って貰った代物だ。これはヴァンパイアが出現しそうな場所をかなり限定して教え導いてくれる」


「ええええ? それ……姉さんが作ったんだ……」

「……姉さん?」


「私は…………魔女の住処の朋と言います。悠久……メルヴィッセ姉さんは私の姉さんです」

「そ、そうか……君は、魔女だったのか……」


「魔女って……そうなのか。なるほど、それなら合点が行く……」

「――――えー。何それ……凄っ。朋後輩…………エリートじゃないの!」


やっぱこのうさたんも姉さんが作ったのかなぁ……。


ふと腕を見ると絶望のミサンガが無い…………あれれれ?


何処かでおっこどしたかなぁ……。


「あ、ごめんなさい……何処かでミサンガ落としちゃったみたいです。ちょっと探してきます――此処にご飯代おいておきますね」


「…………え、あ、おい。まさか、ダンジョンの中か?」


「……うーん。多分、出口付近まではあったと思うので入り口までの道を探してみようと思います。その後で冒険者ギルドに行きますね」


「あ、あぁ……解った」


…………一時間後に冒険者ギルドで待ち合わせしましょうとなり、私は一人ダンジョン迄の道のりを戻る事にした。


うーん。気がつかなかったなぁ……何処で落としたんだろう? むー。

特に誰にもぶつかっていない筈だし……。


闘技場までの道のりを戻りうさたんを探す私。むぅー。一体何処で落としたんだろう?


結局見つからずに闘技場まで辿り着き、受付のお姉さんにも状況を話しておく。



うさたんは何処にも見つからなかった。


もしかして、ダンジョンの中なのかしら…………って、あ、そういえば『まかせろ』って声が聞こえた事があった様な……。


でも、あれはラオーアくん師匠の声だったよね……ん?

仮にそうだとすると……何を任せろだったのかしら?


…………胸騒ぎがする。


でも時間もそうだし一旦冒険者ギルドに戻ろう。


「むむー」


あのうさたんはそう簡単に私の腕を離れるとは思えない…………気がしないでも無いか。


でもあの絶望的な表情。

今すぐにでも何かをしないとって感じ……の様な。


気もする。でも無いか?


あ、あれ……要点を得ないよ。あんな表情を私にだけ向けるあのぬいぐるみ。


放っては置けないのだけどなんとなく放って置いても数日後自然に戻って来そうな気もする。


「ううーん……」


でもどう探せば良いのか……。


冒険者ギルドに辿り着き扉を開ける……そういえば最近誰にもぶつからなくなったね。ほむ。

中へ入ると先程のダンジョンメンバーの皆、更にはグラ子さんと目が合う。


「朋ちゃんまってたでー」


グラ子さんは私の所へ走ってきた。



「ちょっと五番で話そか……急ぐで」


わわっ。グラ子さんに腕を掴まれて何時もの五番カウンターに向かう。

座ると同時にグラ子さんは話し出した。


「……夕顔ちゃんが戻らへんのや」

「…………え?」


「朋ちゃんも今日行っていたと思うけど、初級ダンジョン。そのジュリアダンジョンから戻らないんや」

「えっ! 戻らないって……ダンジョンからですか?」


「そうや。……出発したのは昨日の朝に五人パーティでジュリアへ入ったと記録されてるけど未だに戻らない。初級のジュリアやジュリエッタダンジョンは最下層までは七階層。トラブルに巻き込まれなければ基本は日をまたぐ様な事にはならないのが通常や」


「た、助けに行かないと!」


「……それがな。難しいんや…………。アリア以外のダンジョンは基本、度々生成される。助けに行って同じダンジョンだったって事は殆ど確認されてなくてな」


「そ、そんな……」

「唯…………身内、とか何か……強い繋がりがある場合その繋がりの効果にて同じ所に呼ばれるという話は聞いたことがある、運命や。……但し、向かうメンバー全員に関わってくる」


「…………私、行ってきます」

「……そういうと思ったで。――――――行ってこい。朋ちゃん。夕顔ちゃんを頼んだ!」


「うん。ありがとう。グラ子さん。私を信じて!」


振り返りジュエッタダンジョンに共に挑んだ仲間の所に向かった。


「ごめんなさい。ちょっと急用が出来たから行ってきます」


「話は聞いた。助けになりたいが異分子が混ざると確立に関わる。気を付けろ、朋」


「……戻らない理由が存在する可能性が高い。用心しろ。通常なら是が非でも止める所だが……お前なら出来る。頑張れ。それと……先程のコラボかも知れない。忘れるな」


「…………朋後輩。私はもう学園に戻らないといけないの――――来年。パスタメールの学校で会おうね。必ず来るのよ!」


「……はい。フランシスカさん、バスタルフさん、エレ先輩。私――――――――行ってきます」



ジュリアダンジョンが私を受け入れてくれるかどうか。

嫌…………絶対に……大丈夫。待っててね、夕顔ちゃん。


私は踵を返し冒険者ギルドを出てダンジョンへと繋がる闘技場へと向かった。

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