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77とっても綺麗な宝箱

「おぉ…………」


誰かが上を見てそんな言葉を漏らした。

釣られて上を見てみると何かがゆっくりと落ちてくる。えっと……あれ何だろう?


四角い何か……。


皆がいた中心にその物は落ちてきた。

下から見ても何か良く解らなかったけど上から見たら一瞬で理解出来た。


うん。宝箱だね……噂には聞いていたけど初めて見た。


何が入っているんだろうね?


「…………何か、凄く綺麗な宝箱だな。バスタルフ、どうだ?」


「あぁ…………。こんな、こんな装飾が、いや、凄そうな宝箱見たことが無いぞ! 開けられるとは思うが……」


「確かに――――この宝箱自体に価値がありそうですね」


「何が入っているんだろ。こういうのってドキドキしますね」


バスタルフさんはヴァンパイアから手に入る流血の欠片というアイテムを集めているらしく、ヴァンパイアを倒したのだからそれが出る確率が高く、もし出たら譲って欲しいと私たちに話した。


補足でフランシスカさんがこうも話す。

「……流血の欠片というアイテムはだな、ヴァンパイアに魅入られた者を治す効果があるんだ。欠片を二十個集めるとな」


何でもバスタルフさんの妹さんがヴァンパイアに襲われて半分眷属となってしまったらしく、バスタルフさんは三年前から妹さんを家族で守りつつ流血の欠片を集めているらしい。

後残り五個分ぐらいとの事。大きさによって幾つ分とかになるみたい。


私もエレ先輩も特に必要では無いので良いですよとバスタルフさんに話した。


「ありがとう」


ヴァンパイアを探すのってどうするんですか? って、疑問を聞いてみたらそういうアイテムが存在するんだと教えてくれ、私に見せてくれた。


「あれ? 私のうさたんと似ている……」


「…………そうだな。なので少しそれも気になっていたんだ」


「あぁ、なるほど……でも私のはアリアダンジョンの地下三階の踏破で貰ったんですけどこれは『絶望のミサンガ』って名前なんです。効果も解らないですけど」


「…………それは……………何と言って良いのか……」


「いや、大丈夫です……拘束を受けたって声が聞こえたので……多分呪われてるんです。この子に……」


「すまんがそろそろ頼む……バスタルフ」


「あぁ、解った。今開ける……」


バスタルフさんはどっしと宝箱の前に座り込み大きい身体が少し縮こまる様に両手を使い宝箱の解錠を試みている。


私とエレ先輩はその様子を見ていてフランシスカさんは自分の装備品とかをチェックしているみたい。


…………それから数十分。綺麗な宝箱は開かなかった。


「――――――――駄目だ、開けられない」


「宝箱のランクが高いのか? バスタルフ」


「――――いや、そういう訳では無いと思うのだが、何故か開かない…………少し休ませてくれ」


「――あぁ」


バスタルフさんは集中力を使い続けたみたいで身体を大の字にして地面に寝た。


私とエレ先輩は興味本位から宝箱に対し見たり突いたり話しかけたり、謎の呪文のような物を唱えたりしていたが私はフランシスカさんに話しかけられ、その場を離れフランシスカさんの所へ行った。


「――お前の魔法は凄かったな、朋。改めて礼を言うぞ…………恐らくだが、お前の魔法を察知したヴァンパイアは蝙蝠を大量に出す様な技を発動中だった。それがお前のファイアボールで動けなかったヴァンパイアは技を解除したんだと思う。あの技は対ヴァンパイア戦で過去に一度、見たことがあるかな……」


「なるほどー。技の発動中は動けない様な感じの技だったのですかね?」


「そうだな……しかし、もしかしたら奴は相当な大物だったのかも知れない」


「えっ……」


「バスタルフの言った通り奴が三割の力しか無かった場合。それでもあんな力を持っていたと考えると恐ろしい敵だった」


「え…………ギャッ……」


「そ――――」


私とフランシスカさんが話している最中、エレ先輩の方から何やら変な声が聞こえた気がして振り向いた。

エレ先輩が……あれ、エレ先輩が、あれれ、宝箱が開いていて……頭を中に入れている? のぞき込んでいるのかしら……って考えていると、フランシスカさんが走った。


「不味い……ミミックだ!」


その言葉にバスタルフさんも反応しガバッと起きて駆け寄っている。


宝箱を見ると身体半分ぐらい宝箱に飲み込まれているエレ先輩。

太ももから続く足はじたばたして藻掻いている。


そして何か「うーー」とか「いやぁー」って叫んでいるけど余り聞こえない。


「……バスタルフ、どうしたら良い?」

「…………分からん。そもそもボスからミミックなんて聞いたことが無い……」


呆然としている二人と私。

じたばたしているエレ先輩をどうやって助ければ良いのか悩んでいる時間は無い。


私は近づき宝箱の横側から手で開こうとしたけど無理みたい。

がっしと咥えている。エレ先輩の足を引っ張ってみたが「うー。うー」とジタバタが増えた。


痛いのかもしんない。困った。


「何か……魔法で叩きましょうか?」


「…………今、しっかりとした回復魔法を使える者がいない。危険は避けたいが……」


そんな返答がフランシスカさんから帰ってくる。


じたばたするエレ先輩と揺れるおしり。


…………宝箱の中は一体何が行われているのだろう?


その時バスタルフさんが動き狙いを定めた…………。


「ふん!」


居合い斬りの様な剣技で横凪ぎ一閃。


当たると思ったその攻撃を宝箱は跳ねる様に躱した。エレ先輩を咥えつつ。



「「「………………」」」



そのまま跳ねて私たち三人との距離が開く。

その動きにじたばたしていたエレ先輩の下半身は動かなくなった。おしりも揺れない。


時間だけが過ぎ去るこの状況は徐々にエレ先輩を危険に晒している。

もう一秒たりともな状況なのかも知れないが誰も動けない。


「…………もう魔法撃ちますね!」


「…………」


私は最適な魔法を瞬時に考えた…………けど良い魔法は無い。

折衷案、妥協案…………よし、あれにしよう。


「紡ぎしマナの根源により解放せし更なる力よ、我を媒介としその真の威力、裏で顕せ。サンドボルト……」


一陣のつむじ風が吹いた。


発動が早いそれは瞬時に形となり風の中で雷が舞っている。そして双子の様に分離する竜巻。


一方は敵ミミックへ。もう一方は私へ。

同じ質量が双方へ向かう。


ゴロゴロと音を立てて動く砂と雷を帯びた竜巻。


練習の成果により形を成した私の裏魔法。


……中級四種の裏魔法サンドボルト。

唱えた魔法からは誰も逃げられない……狙った者、狙われた者共に。


私は距離を稼ぎつつミミックの様子を伺うと追尾するサンドボルトから逃げようとぴょんぴょんと跳ねている。


エレ先輩を咥えながら……。


しかし私の魔法サンドボルトの足は速く徐々にミミックとエレ先輩を追い詰める。


もうミミック先輩で良いかしら。エレックちゃんかな?


……壁際に追い詰められたミミックはサンドボルトが自身に当たる……すんでの所でエレ先輩をペェッと吐き出した。


ぐったりとくったりしている弱り目のエレ先輩に襲いかかる私の魔法サンドボルトは激しくエレ先輩を飲み込む。


グルグルしていてゴーゴーとしているサンドボルトに飲まれたエレ先輩……大丈夫だろうか?


更に勢い止まること無く敵ミミックをも飲み込み高々と痺れさせながら跳ね上げる。


ソレを見た私もその竜巻へ向かい自ら飲み込まれる。


私を追っていた竜巻も恐らく合流して勢いが増すか若しくは相殺するかの……賭けだった。


その確率は二分の一。どちらも考えられたが私も飲み込んだ砂雷の竜巻は無事相殺されて消えた。




空中で痺れつつ目が回っている私は考えの儘に……。

「多重スケルトンちゃん……後よろしく」

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