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75赤い扉の先にあるもの

ふと視線が気になり見るとエレ先輩が何か言いたそうな顔をしている。


「ちょっと一旦作戦会議をしようか」


フランシスカさんの話が始まってしまいエレ先輩に話そうとしたタイミングを失ってしまった。


「まず今回の件。ダンジョンのボス部屋が開き何かが出てくるなんて話を私は聞いたことが無い。そして何も無ければ未だに扉は開いたままだろう」


そんな話の始まりがあり、皆なんとなく扉の方に目線が行くが此処からだと扉は見えない。


「未知の出来事なのでこれからどうするかという話なのだがバスタルフはどうだ?」

「…………冒険者である以上あの扉の先に何が有るのか調べないと、という気持ちだ、悪いがリスクは二の次になるな」


「……そうか。二人はどうだ?」


二人と言われたが、私はエレ先輩の話をじっと待つ事にした。

勿論、急かす事も促す事もしない。


微妙に長い時が流れエレ先輩は話し出した。


「……………………正直、未知の物には憧れます。でも流石に扉が開くって話は私の中であり得ない位の出来事で、どうするのが良いのかを考える余裕がありません」


なるほど。凄く……納得出来る。


そっか、扉があっちから開くというのはあり得ないのか……って考えたら私の場合は気になってもう仕方ない。


だって、何で開けたのガーゴイル君。

実際扉を開けるって行為のみで考えるとね「行ってきます」なのか「こんにちわ」なのか「ただいま」なのか…………いやいや嫌々、よもや「いらっしゃい」なんて事は……考えすぎだよね? ね?


しかもあの扉の向こうにまだ誰かが居るのかどうか? ガーゴ君はボスでは無いまであるんだよ。


あ、いけない、私も話さないと。


「ええと、私は気になるので見たいです。戦うとかはどっちでも良いけど。……なのでバスタルフさんの意見に近いです」


「…………ふむ」


フランシスカさんは悩んでいる様だ。こういう時の決断って確かに難しいね。

きっと色々な判断をしているんだろう。


今の私だったら考えもせずにとつげきー。

わー。やられたー。にげろー。って感じかもしらん。実に無責任なわたし。


多分リーダーには向いていないんだろうか。



長考の末。フランシスカさんは答えを出した。




「エレと朋には済まないが、私とバスタルフが中へ入ろうと思う」


そんな答えを導き出した。



「……色んなリスクを考えた上での私の判断だ。どうだろうか?」


リスク。フランシスカさんはそう答えた。


多分全てのパターンを考えてそれが無難と考えたのだろうか。

確かにあの扉を確認しないで撤退してもギルドに報告するのも中途半端だ。


まぁ、あり得ないことが起きているんだからそれもアリな気もするけど冒険者としての考えとリーダーとしての答え。


二つの折り合いを付けた結果なのかも知れないね。

でも一つは私たちの力も余り見ていないけど信じたんだと思う。


二人でもこのダンジョンから帰れると…………。



そこで当たり前な疑問が私の頭に浮かんだ。


「あの…………人が入ると扉は閉まるのでしょうか?」


「…………普通はな。中ボス戦は一分後に閉まる。逃げる事も出来るが、しかし今回『本当に中ボスなのか?』という疑問を払拭出来ない」


そっかー。確か中ボスなら逃げても一年間の同ダンジョンに挑戦出来ないってペナルティーで済むって話だったよね。


という事はフランシスカさんは大ボスって考えも考慮しているのか。


「先程のガーゴイルは普通に考えればナンバー三。もしかしたら扉の中には誰も居ないという事も考えられる」


「ナンバーって何処かで解るのですか?」

「ああ、それはだな…………」


疑問に思って聞いてみると、ボス部屋の中心地、床にナンバーが記入されている事をフランシスカさんは教えてくれた。


「……では私と彼女は扉の外で待てば良いのですか?」


エレ先輩はフランシスカさんにそう話した。


「そうだな……何が起こるか解らない。扉が閉まっても決して開けずに居て欲しい。そして二時間経っても私たちが戻らない時、闘技場の受付とギルドに報告を頼む。此処からの帰り道は十分に気を付けるんだぞ……バスタルフもそれで良いか?」


「あぁ、構わない。寧ろそれは俺の望みだ」


隣のエレ先輩を見ると少し悔しそうな、でもホッとしている様な……息を吐いた時、そんな感じの顔をしていた。


「何か……解らないことはあるか?」


フランシスカさんは私たちにそう話す。うーん。まぁ、今、考えても仕方が無い気がした。


その瞬間に動こう。


昔、姉さんが「脳筋になっちゃうわよー」って話していたのを思い出して苦笑いする私。


「…………よし、十分後に動くぞ」


フランシスカさんはバスタルフさんの方に行った。


エレ先輩に話しかけたいけど何か、難しい雰囲気。


こういう時どんな感じで話をすれば良いのだろう。正解は無い気がしたのでストレートに話す。


「……初めてのジュリエッタダンジョンで凄い経験が出来ましたね」


私は経験を積みに来ている。うん。何事も……経験だ。


「………………そっ。……そうだね、それは……確かに。そうかもしれない」


エレ先輩はそう答えた。


フランシスカさんの決定に何か考えている。そんな印象を受ける。


口元に手、指を置き更に考えている様子。

私は手持ち無沙汰かで、なんとなくスケルトンちゃんをガラガラポンしていた。


「召喚ってそんな感じなんだ」


エレ先輩は時の経過で考えが纏まったのか私を見てそう話してきた。


「はい――――こうしてると手に馴染むーというか、慣れてくるんです。えっと、熟練度が上がる的な感じですね」


「そっか。学校でも召喚術を使う人がいる筈なんだけど私はまだ見たことが無かったから新鮮だよ」


「そうですか。私も結構最近にやっと使える様になったので毎日練習してるんです。慣れると可愛いですよ。スケルトンちゃん。骨だけど」


「うん。凄く――――骨、だね。でも見分け付かないぐらいの出来だね……」


「あはは。私もじっくりと見ないと解らないですから」



「と、朋後輩は…………あの扉の先に行きたい?」


…………話の流れでエレ先輩はそう私に聞いてきた。

そんな問いに対し少しだけ悩む私。んー。やっぱ好奇心は止められない。


「そうですね。でも今回ジュリエッタダンジョンも初めてですし、フランシスカさんの決定も考え的には理解も納得も出来ます」


「………………そう」


「でも凄いですね。ダンジョンって。何かの生き物みたいですね」

「そうだね。此処だけの世界が……構築されている様な感じはあるね……」


多分、エレ先輩は迷っているんだろうね。


選択肢はまだ間に合うという現状に。


これがもう時間切れとか、間に合わないとかならこの選択に諦めが付く。

しかし今回はフランシスカさんとバスタルフさんが扉に入り、その扉が閉まるまでエレ先輩は迷い続けるのかも知れない。


…………例えば、あのボス部屋にとても強い敵が出現する。

――でも、私たちが入れば何とかなる――――状態だった場合というか、そう思ってしまった場合。


先輩の足は扉の中に進んでしまうかも知れない。


無論、私も例えば中の二人が開始早々にピンチに陥っていたら助けてしまうかも知れないね。

まぁそんなのはその時次第だけど、私は寝覚めの悪くなる状態にはなりたくないし。


でもまぁ大体こういう風に考えていると考えていた様な事は起こらないんだよね。



…………多分だけど。



「じゃあそろそろ行こうと思う。二人も扉が閉まってから二時間は待っていてくれ……勿論その間にイレギュラーな事があったら撤退する事も考えておいてくれ」


私とエレ先輩は頷きフランシスカさんに付いていく。

バスタルフさんは「すまんな」と私たち二人の肩に手を当てた。


皆の選択がこの次点で間違っているかは誰にも解らなかった。


……そしてこの先の展開も。




再びパーティメンバーの四人は歩き出した。と言っても直ぐそこが終点。


赤い扉は今もまだ開いたまんま。

先程と同じ光景でガーゴ君とスケルトンちゃんの首級が並んでこちらを見ていた。


余り良い光景では無いね、帰る時にまだこのままあったら燃やしておこうかな。


「最終確認だ、何か……話したいことはあるか?」


フランシスカさんは皆の顔を見てそう話し、そして皆が首を振った。


「よし、バスタルフ。行くか!」

「……おう!」


Cランクの二人は息を整えて赤い扉へと進んだ。私とエレ先輩はその凜々しい後ろ姿を見送った。

仮にボス戦だった場合二人で何とかなるものなのだろうか? という問題についてはその後、誰も何も言わなかった。


ええと確か中ボス戦では出口は一分後に閉まるが逃げる事も出来る。

そして逃げた場合一年間のペナルティーで一年間同ダンジョンに挑戦出来なくなる。


そしてボス戦。確か、逃げられない。ええと……あれ? 扉は何時に閉まるの? あれ、ええとええと……過半数以上が戦闘不能以上の状態と判断されると逃げられる。


うん。確かそんな感じ……でも扉は何時に閉まるのか聞いていない気がする……。


ううーん。エレ先輩に話してみよう。


「……エレ先輩」

「ん? ……何か?」


「ええとですね。仮に、ボス部屋だった場合、扉は何時頃に閉まるのでしょう?」


「………………あれ?」

「………………」


「それは聞いていない気がする……中ボスの話は聞いたけどボスの話は出なかった……かな? 逃げるのに過半数っていうのは覚えているけど」


「……ですよね?」


「うーん……多分、一分後とかなのかなぁ?」

「どうなのでしょうね?」


そんな会話の中Cランクの二人は赤い扉の中へと入っていった。

私たちも後を追う様に扉の入り口まで進み扉の外から中の様子を伺った。


…………中を覗いてみるとそこはかなり広い空間だった。

天井が高い。でも見る限りは何かが居るような感じではなく中には誰も居ない。



そのままCランクの二人を見ていると二人は中心へと進み中心部付近の床を見ている様だ。


あれ? 少し暗くなってきた? 部屋の中は光が削られていく様に暗くなっていく。



闇が差し込む感じ。



そして空間内の空に……あれは、数字…………あ、カウントダウンだ。

十からドンドンと数字が減っている。もう七だね。


中心にいたCランク二人は少しだけ私たちがいる方へと数字を見つめながら下がって距離を測っている。


中心部から間合いを取りつつ構えているみたい。

前衛がバスタルフさんで後衛がフランシスカさん。


二人の距離はおよそ三メートル程か。………………そしてカウントがゼロになった。



瞬間、中心部から暗闇が生まれる。


大きさは大人ぐらい……そうだね、大きめのバスタルフさん位の暗闇の靄。

そのもやから出てくる様に手が出て身体が出て…………あれ、は……人? かしら?

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