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74剣士として最高の一撃

三階層を進む私たちパーティ。

フランシスカさんとバスタルフさんの勢いは止まらない。淡々とした動きと自然な行動に見える。


恐らくだけど、敵○○を確認、目視、隙が見える(多分)、斬りかかる(効率的に)、次の獲物。


という動きを連携でしているんだよね。


しかも一撃で倒せない敵もフォローに入り攻撃、連撃と繋いで効率よく倒している。


しかし、所々で軽い怪我も負っている様子も見えるんだけど、そこはフランシスカさん、間に回復系の治癒呪文を唱えている。うーん。隙が無く強い。


まぁ、それぐらい敵との差があるって事と経験値が象っているのかも知れないね。



エレ先輩も「こう躱してこう」とか「そこですかさずにこうやって」ってな感じで動きをコピーして、演武の様な動きをし出している。


こちらも段々と様になってきている。


……もしかしてエレ先輩も結構才能あるのかしら。



三階層は結構色んな種類の敵が現れてたみたい。

一番強敵に見えたのは人型、トカゲのようなトカゲの人。リザードマン二体。


こちらは剣を構えていて、一対一で両者対峙する戦いの動きを見ていたんだけど、リザードマンは尻尾も上手いこと使ってくるんだよね。


人には無い独特な動きに少し戦いにくそうなフランシスカさんとバスタルフさんだったけど、競り合いからの僅かな隙から押し込んで急所に一撃二撃と切り込み倒していた。


そんな感じの行進が進み、ついに三階層の最奥へと辿り着いた。


最奥には石版と赤っぽい扉が見えるね。

多分アレが中ボス会場への入り口かなぁ?


「到着だ。少し此処で休憩しよう」


フランシスカさんはそう皆に言い石版や赤い扉が見える方向へ向き荷物を降ろしてから腰を下ろした。


「そうだ、二人とも。そこの石版が記念碑だから、踏破の証として触れておけ」


あぁ、そっか。これで一応はクリアーだったね。

手を翳せば良いんだよね。触れても良いのか。


記念碑には「ジュリエッタダンジョン地下三階 踏破 記念碑」と書かれている。


記念碑に触れると頭の中で無機質な言葉が響いた。


『初級ダンジョンジュリアへの資格を得ました。記念品として『希望のイヤリング』を受け取れます』


手が長くて、足が短くて尻尾が丸くて、足が四本に手が二本。

何だろうこの生き物?


んーと、く、蜘蛛に似ているかな?


そんな生き物がトマトの様な丸い物を抱えているイヤリングに見える。


へんなのへんなの。


ん、でも希望は良いね。絶望の次が希望かぁ。


まぁ、バランスは取れてるよ。うん、良い物貰ったね。嬉し。


エレ先輩を見ると両手をグッと握り何かに喜んでいるみたい。

うん、良い物が貰えたみたいだね。


「ふぅー。どうだ? バスタルフ……今日の調子は」

「…………悪くない。むしろ良い。一息付いたら挑戦するか……」


そんな会話が聞こえる。

バスタルフさんの背中の先にエレ先輩が何かクルクルしている。

えーと、クルクルだよね。そしてその後ろにある赤い扉が。





赤い扉が動いてい……る?

あれれ、ええと、開くのあれ? あっちから? 何、どゆこと…………っ。


「エレ先輩。後ろ!」


私は咄嗟に叫ぶがエレ先輩は、は? え? という感じで反応できていない。


私の叫ぶようなエレ先輩を呼ぶ声に反応したのはフランシスカさん。

すかさずエレ先輩を守る動きをした。


そこへ一拍遅れる形で背を向けていたバスタルフさんがフランシスカさんの前へカバーする感じで身体を擦り込ませる。


あんなに大きい身体なのにいざって時の動きはやはり凄い。


私はその場から半歩動き十分な視界を得て赤い扉が開くのを見つめながら、更にパーティメンバーの動向を見ていた。


…………そして赤い扉は音もさせないまま、ただゆっくりと開いてく。






赤い扉の端の辺り、何か……手だろうね。でもグレーっぽいあの色は……。


赤い扉を掴むその手はしっかりとした、堅くしなやかで柔らかさもありそうな。

あのツヤ、爬虫類を思わせる質感をしている様に見える。



そしてその大きい何かは扉から勢い良くこちら側に入り込み高々と、飛んだ。



背中から出ているそれは羽根というにはとても堅そうで翼というにもゴツい形状をした物。


その生物はバサッ、バサッと音を立てて、その大きな身体には少し狭い空中を窮屈に飛んでいる。


そして台座の上の石版に足を掛けて休むかの様に止まった。


質量もある翼をゆっくりと畳んだソレは鋭い爪と嘴。

まさに鳥と爬虫類を足して割ったような生き物だった。





「っ…………ガーゴイル」


バスタルフさんが小さな声でそう話した。

そのバスタルフさんからガーゴイル迄の距離はおよそ二メートルも無いぐらいの近接度。


その後ろにはフランシスカさんとエレ先輩。

数秒後、ガーゴイルは不自然に、こちらを見た。そして、首を少しだけ傾ける。

「ギギギギ、ガガ。フィギガッガガガ…………」



変な間が生まれた。

ガーゴイルはどう思っているのか分からないが、バスタルフさんは相手の出方を見極め、その次の一手に全てを賭けるぐらいの気迫を背中から感じる。


私を含めた他の三人も動くのに戸惑い躊躇している。


緊張からか変な汗がおでこに生まれその汗が頬を伝う。

動いたら負け、そんな意地の張り合いに似た均衡した状態に私はとても悩んだ。

むぅ……。



………………もういっそ、上からスケルトンちゃん落としちゃおうか?


不意は突けるでしょ?


んー。駄目かなぁ。やりたいなぁ。怒られるかなぁ。うん…………やっちゃお。

私は悩むのを止めた。


「えいっ!」


別にかけ声も要らないんだけど、私はなんとなく小声でそう勢いに任せて一声。

何時でも発動できる落下式スケルトンちゃんは何も見えないガーゴイルのいる上部の空間に私の合図と共にしれっと設置された。


もう何時でも発動できる状態なのですぐさま発動。

もう待つのも止めた。今更だけど勢い大事。


ガーゴイルの上部には構築されたスケルトンちゃん一号。

姉御よ、あぁ分かっているぜって感じで「えっ?」ってとぼけながらに落ちていくスケルトンちゃん。あ、一号。


そしてタイミングを合わせた私の呪文「アイス」


少し精度が低くなる無詠唱で放たれた私の呪文アイスは前にいる二人の背中から飛び出す様にガーゴイル目指して進んだ。


タイミングを合わせただけあって、背中から飛び出した瞬間。


そう、ガーゴイルが気づいた頃合いを見計らってスケルトンちゃんはガーゴイルに衝突した。


遡ること零点一秒から数秒前、Cランクの両名はガーゴイルの上部の何も無い空間からおぎゃーとも言わずに生まれたスケルトンちゃん一号を唖然として見ていた。


しかし、流石にそこは高ランク。


私の行動に気がついたのかフランシスカさんはアイスが自身を通り過ぎた後、少し下がる様に私の隣へまでエレ先輩と移動。


バスタルフさんはスケルトンちゃん一号が衝突し、呪文アイスが目つぶしよろしくヒットした瞬間にガーゴイルに向かって剣技一閃。


最高のタイミングで剣を振るった。



私は姉さんの教えを忠実に守っているだけなの。

とかなんとか、言い訳をほわっと考える私をよそ目にガーゴイルの首と胴は綺麗に離れた。


後にバスタルフさんは今までの生涯で一番の剣技だったと思い出の様に私へ話したのは別の話。


結果、ガーゴイルは「ギャッ」とかの声も断末魔も何も無くバスタルフさんによって倒された。

倒したバスタルフさんは周囲の安全を確認し、私たち三名のいる後方まで数歩、歩き合流する。




え? スケルトンちゃんはどうなったかって?

勿論そこは期待を裏切らないスケルトンちゃん一号。


ガーゴイルの真横で共に旅立った。


コロンと転がるガーゴの首と一号の首級。


うん、もっているね。流石だよ……。

そんな目で一号を見つめるとなんとなくだけど、誇った様なスッキリとした表情をしていた。


むむ、此奴……やりおる。



赤い扉はまだそのまま開いている。

一旦、後ろに下がろうとフランシスカさん。


皆が頷きとりあえず扉が見えない位の場所まで私たちパーティは後退した。



この辺で良いだろうとフランシスカさんは腰を下ろし、皆も見えなくなった扉の方を向きながら腰を下ろした。



「…………バスタルフ。あんな出来事、聞いたことあるか?」

「……無い」




「…………まさかスケルトンが空中から出現するなんてな」

「…………」


えぇー。そっち? ええーと、言い訳何だっけ? うーん。うーん。

駄目。忘れたよ。


「いや、冗談だ。――――朋。あの召喚は君だろ?」


「……はい。ごめんなさい」

「あれで均衡は崩れて良い流れに持って行けた。良い気転だったぞ。良くやった」


ふー。危ない危ない。


「だがああいう時の動きは本当に危険なんだ。今回は上手くこちらに風が吹いた。そう。一方的な展開になりやすいんだ。その辺も考えながら、行動してくれると助かる」


…………そっか、なるほど。確かにあの後の展開は出たとこ勝負だったけどね。

まぁ、リスクという面だけで考えると良くなかったかも知れない。


考えさせられるね。


「はい。解りました」


「あぁ、だが本当に助かったぞ……そしてバスタルフ、あの一撃はとんでもなかったな、ガーゴイルを一太刀とは……剣豪を名乗れるぞ?」


「――――そうだな。あんな一撃が放てるタイミングが存在するとは。震えたぞ。己が放っておいてな」


確かにあの一撃は凄かった。

あの一太刀が全てを決めた一撃なんだろうね。

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