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71必殺、灼熱チョコレートあたっく

行き止まり。


壁が見える、うん、目の前に。

此処がかの突き当たり……じゃなくて、此処から右手を見た辺りっと……。


見てみると上の方に『U-五番』と書かれていた。

あ、あそこの辺りだ。


上を気にしながら前も気にして歩く私。

目線を下げると背の高めな女性がいる。


「あ…………は、はじめまして。此処で良いですか?」


私は『U-五番』と書いた紙を女性に見せた。


「…………うん。此処で良いわよ。よろしく、私はフランシスカ。今回のリーダーよ。よろしくね」

「はい――――朋と言います。よろしくお願いします。フランシスカさん」


まだ私とフランシスカさんだけのパーティ。

聞いた所あと二人来るらしい。

フランシスカさんはランクCという結構高いランクのお方。


腰には結構な装飾が施された鞘と柄が見える。

綺麗な剣だね。剣士かしら、聞いてみよう。


「いや、私は騎士なんだ……」


ふーん。何かあくまでもイメージなんだけど、騎士って言うと槍とか持っていそうなイメージだよね。


「君は……何を目指しているのかな?」

「…………あ、私は魔法使いと召喚術師を」


「なるほど、私も簡単な魔法なら使えるが、その格好だと魔法使いには見えないな」


…………なるほど。イメージって大事ね。

私は大概、街娘か村娘一式。最近そういえば村娘あんまり着ていないなぁ。


「――――そういえばそうですね。今回、初めてのジュリエッタダンジョンなのでよろしくお願いします」


「あぁ、なんとなく話は聞いている。今回は初めてが二人いるんだ。だから、もう一人もランクはCランクの人が来ると聞いている。まぁ、ペアとペアみたいな感じになるかも知れないな」


そんな感じのお話をしていたら十分ほどで残りの二人も合流し、名前とランクだけの自己紹介を皆で済ませた。


一人は私と同じ始めてのジュリエッタダンジョンで魔法使い風の制服を着ている女の子。

もしかしたら、学校の人なのかしら。私は聞いてみたくてうずうずしている。


お名前はエレさん。


そしてもう一人は…………まぁ、あるよね。うん。先程の怖そうな大きい剣士さんだった。

先程は……ともう一度お礼を言っておいた。


剣士さんは私の左腕のうさたんを見ている気がする。

気になるのかな? 剣士さん。お名前はバスタルフさん……もうね、お名前から強そうだ。


「…………久しいな、バスタルフ」

「………………ああ」


……どうやら二人はお知り合いみたいだけど仲が良いーとかでは無さそうな雰囲気だよ。

そんな感じなので私ももう一人のエレさんに話しかけてみた。


「今日はよろしくお願いします、エレさん」

「……こちらこそよろしくね」


早速制服のことを聞きたい私。

うずうずタイム中。


「エレさん、それって魔法使いの制服ですよね?」

「んぁ、あぁ……そうだけど」


「わー。良いなー。やっぱ私も来年行かないと! 学校」

「そっか、来年なんだ。何処に行く予定なの?」


「ええと、パスタメールか王都で迷ってて……」

「あるよね。その二択は……私はパスタメールにしたんだけどまぁ、私には合っていたはず……」


「…………そうですかー。うーん、悩むなぁ……もしパスタメールに行く事があったらよろしくです。エレ先輩」


「えっ。あぁ、そうなるとそうなるのか……解ったよ。よろしく、朋後輩」


その後フランシスカさんからの提案で明日の朝、此処に待ち合わせして行く事が決まった。

誰も意義は無し。


「それではみなさん。明日朝、十時に此処で――」


よろしくお願いしますと挨拶を済ませた後、今日は時間があるし、うん。

勇気を出してエレさんをお茶に誘ってみた。


「あー。うん、良いよ。行こっか」


何か用事あったのかしら……でも付き合ってくれるみたい。

やったぁ。色々きいちゃうぞ。



二人で闘技場を出て近くのお茶屋さんへ。


今日朝は天気が良かったんだけど午後になって曇り、少し肌寒かった。

私もエレさんも暖かい物を注文。


エレさんのホットチョコレート、私の灼熱チョコレートプリンと銘茶藤ノ極が並んだ。


「ふー」


エレさんはホットチョコレートを一口飲み自然と落ち着いた様な一声が出ている。

私も藤ノ極を一口、「はぁー」……ほっとした。


「学校ってどうですか?」


いきなりなんだけどやっぱ気になるのはそこなのでまず聞いてみた。


「…………んー。どうと言われても……どうかしらね」

「やっぱ凄い授業とか、魔法とか、色々教わったり、スパルタだったりしますか?」


「貴方がどれぐらい魔法を使えるのか分からないけれど、人に依っては大変かも知れないわね、教わる物も多いし」


「そうなんですね。うーん、少し悩むけどやっぱ一度は行かないとかぁ……」


うーん、と私が悩んでいるとエレさんが聞いてくる。


「……朋後輩は学校で魔法を学びたいの?」

「え、あ、そうですね……魔法と、召喚術について、あ、あと剣術とかも出来ればかなぁ」


「知らないと……夢があるわね」

「……知らない?」


「んー。魔法だけでも、もの凄く覚える事や出来ることが多いから、他のことまでする時間が無いわよ?」


「あ…………そうですよね」


そっかー。時間かぁ……やっぱそこだよね。

何をするにも時間が掛かる。気がついたら私はお婆ちゃんになっちゃうのかも。


お、この灼熱チョコレートプリン美味し。とろけちゃうよ…………あ、うさたんのお腹に垂れちゃった。


「まぁでも知らないことを知ることが魔法の始まりだから、貴方は今日、同学年の誰よりも早くそれを知ったのよ」


「…………お。おおおお。それは凄い! 良いですね。ありがとうエレさん」


知らないこと……私は結構世間知らずな所もあるからなぁ……そういう事も含めて知ることって私にとっては凄く大事なことなのかも。


そっか、良いね。

やっぱり学校は行こう。うんうん。

多分それが近道だ……。急がなくても良いんだ。

最短をゆっくりと歩みたい。


姉さん。それで、良いんだよね…………って、うさたんが灼熱地獄をお腹で味わった様な絶望的なお顔をしてる。ち、ちょっと…………。


あーん。もう……拭いてあげようとしても逃げるのが悪いんだよっ。


綺麗だった薄いピンク色をした可愛いぽっこりお腹はもう見る影も無くチョコレート色に染まった。

お顔以外はかわいいにまみれてたのに腹黒になってしまわれたよ。もぉ台無し。


それでも私の手からは必死で逃げるうさたん……分かったわよ。ふーんだ。



エレさんに他にも幾つか学校の事を聞いた。

もっともっとお話を聞きたかったけど、そこまでは時間が無さそうな感じだったので明日もよろしくお願いします。と話して帰ることにした。




もう夕ご飯も食べたしそろそろ明日に備えて寝る準備でもしようかなって考えていた所で左腕のうさたんが目に入った。


汚れてしまったお腹を手で抑えて相変わらず絶望している。

……そういえば似すぎているよね。姉さん特製のミサンガに。


姉さんは結構変わったアクセサリーを作るのが趣味みたいな所もあって動物のシリーズが多かった気がする。


良く何処かへ出かけるときは召喚獣が組み込まれたアクセサリーを持たされた。


あの日。魔女の住処に戻れなかった時。

姉さんから持たされていた召喚獣が組み込まれたうさぎのミサンガは私の腕から千切れて離れた。


…………あの子。何時か回収したいね。


この絶望のミサンガには召喚獣みたいな機能は残念だけど無いみたい。


きっと私を見て絶望する機能が付いているだけなんだ。

そうだ、そうに違いない。

はぁー。作った人、姉さんなのかしら……。


姉さんが私に絶望しているって考えたら少しへこんだ。


もっともっと頑張るよ、私。


次話は一週間後ぐらい予定。

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