65絶望のミサンガと別れ道
私は戻ってきた魔法により少し感電している。
ピリピリ、ビリビリ。夕顔ちゃんが街娘の裾を掴んで軽くビリビリが移った。静電気ほどね。
もう終わりが近いのかな。
今まで殆ど出てこなかったのが突然だもんね。一気に貯めて来ましたよーって感じだった。
「きっともうすぐだね」
「うん、行こう」
それから何事も無く数分後に突き当たり、地下三階の終わりに辿り着いた私たち二人。
地下一階で見た石版。記念碑に似た物が私たちを待っていた。
「此処がゴールみたいだね」
「うん…………ええと、初級ダンジョンアリア 地下三階 踏破 記念碑」
記念碑の言葉は続いている。どれどれ…………。
記念碑へ手を翳すと踏破の証となります。次のダンジョンへの資格と記念品が貰えます。なるほど。
「夕顔ちゃん、一緒にやろっか」
いっせーのせでゴールしょーと夕顔ちゃんに伝えると夕顔ちゃんはニコッとした。
「うん、いくよ……いっせーの――――」
「「ゴール」」
『初級ダンジョンジュリエッタへの資格を得ました。記念品として『絶望のミサンガ』の拘束を受けます』
頭の中に無機質な声が響いた…………
ジュ、ん。まぁ、ダンジョンは聞いていた通りだけど何、その『絶望のミサンガ』って……。
姉さん特製のうさたんミサンガを思い出し、手、手首を見ると左の手に何か付いている。
…………姉さんのミサンガに凄く似てるけど……うさたんが絶望したお顔をしている。
どおいうこと? 可愛くないよ? 悲しいかおというか、シュールな感じも漂ってるね。
右手で触ろうとすると、あれ? 逃げた。
え? 触ろうとすると触れない。上手く私の指から逃げるんだけど…………。
うさたんのかおを見ると必死さが追加されている……こらっ、逃げるな。
よっ、はっ…………無理。捕まえられない。
このミサンガ宙に浮いているのかしら? 私の手首を中心として。
掴もうとするとうさたんの手足の所が離れるんだよね。
もう、私に触られたく無いのかしら。そんなに必死に逃げないでよ。
手首からは離れない癖に! もお。
「ゆ、夕顔ちゃん……何か頭の中で声が聞こえたよね。どうだった?」
「………………」
「夕顔ちゃん?」
「…………え、あ、うん。あ、ええとジュリアだって」
「ジュリア…………私はジュリエッタだったよ」
「…………そっかぁー。資格が無いと一緒に行けないのかな?」
「うーん、どうなんだろうね?」
「あ、記念品はどうだった?」
「あー。うん………………」
「……私のは、これだった」
夕顔ちゃんに左手のミサンガを見せる。
「…………えー。可愛いー。なにコレー。可愛いアクセサリーだね、うさぎかな? 必死に手を伸ばしてるよー。良いなー朋ちゃん」
かわいい? えぇー。
「これは、可愛いじゃなくて可哀想だよ……」
「え? そうなの?」
夕顔ちゃんに絶望しているうさたんの事を話すが、話が微妙にかみ合わない。どうして?
「…………夕顔ちゃんにはうさたんの顔が笑ってる様に見えるの? え? ニコニコ? にっこにこ?」
「うん……そういう風に見えるよ?」
……夕顔ちゃんに見せている笑顔なうさたんのお顔を私も見ようとしたら、瞬間的に絶望の顔へと変化した。
おい…………。
「…………夕顔ちゃん。ちょっと一緒に見てくれない?」
夕顔ちゃんと一緒に二人でうさたんのお顔を見ると、顔の半分は笑ってニコニコしてるのにもう半分は酷い顔をしている。少し苦しそうだ。
「…………ほんとだ。何か、変だね。何でだろうね」
「何だかなぁ……。あ、夕顔ちゃんは何だったの?」
「え、あぁ、私のは手紙……というか、メッセージ。これから生きる為のアドバイスだったよ」
「そっかぁー。…………参考になった?」
「え、うん。そうだね」
何のアドバイスを貰ったんだろうね。
私の左手のうさたんは何なんだろうか。うぅー。さっきより酷いかおしてるし……。
まぁ、次のダンジョンの資格も貰ったし。次も楽しみだね。
「夕顔ちゃん、そろそろ戻ろうか、甘い物食べに行こ」
「うん、そうしよう」
歩き出して来た道を戻る私たち二人……あれ、気配が。
振り返ると夕顔ちゃんは動かずに記念碑をジッと見ている。
「ゆう……」
「あ、ごめんごめん、今行くよ、朋ちゃん」
結局、帰り道は更に順調、何も現れなかったよ。
『甘味処ななつまみ』に行って夕顔ちゃんと一緒に甘い物を食べた。
夕顔ちゃんはベリーダブルベリーショコラナッツパフェ。
私はショートマカロンと鯛焼きのピスタチオ餡のせを注文。中々の美味しさに、二人でほっぺたを支え合ったよ、ふにふに。
また来ようねと話して冒険者ギルドのグラ子さんに会いに行った。
何時もの定位置の冒険者ギルド五番カウンターに向かうとグラ子さんは座っていた。
「そろそろやと思っとったでー」
「……グラ子さんに行動を読まれているよ、夕顔ちゃん」
「もう結構な付き合いだから、仕方ないよ」
「ていうか、甘い物食べに行くなら私も誘ってーな」
「……グラ子さんに行動を読まれているよ、夕顔ちゃん(二回目)」
「結構な付き合いでもそれはおかしい。何か仕組みがあるはず……」
そんな感じの掛け合いからグラ子さんに初級ダンジョン アリアの地下三階を踏破したことを報告した。
「そかそか、初めてのダンジョンはどうやった?」
「……ダンジョンって不思議だね」
「ダンジョンは目的を教えてくれる賢者さまだったよ」
「おおう。何か二人には違う印象を与えたみたいやなぁ……でもそれがダンジョンなんや、あの空間ほど何でもアリと思わせる場所は少ないとも思うで、ダンジョンには色んな顔があるんや」
「あのね、グラ子さん。実は……賢者さまに会いました。内緒ですけど」
「…………ん?」
「結構気さくそうな、んー。自然体で不思議な人だったね、ジッカさん」
「……………………それは、ホンマに賢者様やな。流石に、ウチも会うたことないでぇ…………でも名前は知ってる」
「やっぱそうだったんだね」
「暇だったのかなぁ」
「いやいやいやいや、何も目的も無しに現れる様な方では無いし、この世界に多分……十数人程はいるけど、そうそう会えるもんでは無いよ」
「………………」
「そなんだ。また会えると良いなぁ……」
「何故賢者が……いや、そもそも魔女に、いや、それは無いだろうし、どういうことや? 一体。何を考えてるのや……」
「……グラ子さん?」
何だかグラ子さんが考え事をしている様だね。
うーん、呼んでも気がつかないなんて珍しい。ほっぺたつついてみようかな?
「………………」
「おーい。グラ子さん、ぷにぷに……」
「…………ハッ、いや、スマン。少し今日の夕ご飯の献立を考えてたんや、もう今日はペコペコなんやでー」
「…………流石にグラ子さんさんでも賢者さまは食べない方が良いよ」
「……わいは何でも食べる良い子なんや、どんな物でも美味しく召し上がるで、食べて欲しいものがあったら言うてな!」
その後記念品の事を話すとグラ子さんは、当た…………いや、はずれかなぁ? 絶望て! しっかし珍しい事には違いないな! かわいいし。よかったな!
って話していた。次のダンジョンの事を話すと資格が無いと次には行けない事と基本ダンジョンの管轄は闘技場だからそっちで話聞くと良い、ま、話は通しておくからって言ってくれた。
「そか、次のダンジョンも行くのか……きい付けてな。特に、夕顔ちゃん、ゆっくりでもええんやで……次のダンジョンは他の人と行かなきゃだろうからな」
「――――はい。心配してくれて、ありがとうグラ子さん。でも私、もう少し頑張ります…………」
夕顔ちゃんを見ると何かを決意した様な、そんな横顔に見えた。
冒険者ギルドを出てから帰り道、夕顔ちゃんは明日からちょっとダンジョン攻略してくると話していた。
夕顔ちゃんは次のダンジョンも攻略したいみたい。
私もしなければいけないことが多すぎて何処から手を付けていこうか悩んでいる。
あ、とりあえず闘技場のラオーアくん師匠に会いに行って今日のこととか話しておこうかな。
それで次のダンジョンの用意をしよっと。
グラ子さんに聞いた話だと、闘技場の中に次のダンジョン、ジュリアとジュリエッタへ向かうパーティーを募集しているお部屋があるんだって。
共に階層は七階層が最下層でパーティーは最大五人組める。
次のダンジョン、ジュリアとジュリエッタは一人か二人ほど。
実力があるランク者が付いてくれるのが通常みたい。
Dランク以上のクエストにそういう依頼が出ているんだって。
主には人材育成の為に冒険者ギルドが出しているって話だから、次のダンジョン迄は安全度は高い…………それでも全滅するパーティも存在するから、ダンジョンは怖いって話していたね。
あーあ、夕顔ちゃんと一緒に行きたかったなぁ。
注意点としてグラ子さんからは何でも初心者潰しをする人が少なからず存在していてとても酷い意地悪や、悪い事をする人も偶にいるんだってさ。
…………人間も怖いよね。いや、人間が怖いんだ。
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