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64中級四種の裏魔法

しばらく緩やかな坂道を下ると足下が平面になった。地下二階の始まりだ。


さぁさぁ始まって参りました……って何が? 二階だね地下のね。


地下一階との違いは…………特に分からない。あ、少しだけ……獣の臭いがする様な。

そいで他は変わらないよ。


夕顔ちゃんに目配せをして二人で進んだ。

ひぃちゃんは疲れてるみたいだから少し休憩。


ひぃちゃんがいない分、少しだけ警戒を強めながら歩く。

途中で気が付きスケルトンちゃんを呼び出してから、ちょっと前に走ってきてーと伝えると久々に「え?」って顔をしている。


いや、どちらかと言うと「えー?」かもしんない。もしかしたら暗いのが怖いのかな?


いやいや、それは無いと思いたい。

モジモジしているスケルトンちゃん。


もう一体追加して肩を組ませて再び伝える。

ちょっと見てきてと。


スケルトンちゃんは意を決したみたいで動き出した。前みたく直ぐにバラバラになるような事はもう無い歴戦の戦士だ。


ガシャンガシャンと肩を組み走り出したスケルトンちゃん。

あっという間に暗闇の中へと消えていった。


こんな事を頼んでおいてって言うのも何だけどどうなるかな? スケルトンちゃん達。



暗闇を明かりの魔法で照らしながらのダンジョン捜索は続く。

夕顔ちゃんも特に変わった様子は無く地下二階も半分ぐらいは進んだかなぁ?


と思っていたら正面の暗闇からガシャン、ガシャンと音が聞こえてきた。

あら、戻って来たみたいって思ったけど何かがおかしい。


私は違和感について考える。

ガシャンガシャンと戻って来るスケルトンちゃん。正面の暗闇。んー。何だろうこの違和…………。


「……ねぇ、朋ちゃん。何か、音が……」


夕顔ちゃんが違和感に気がついたみたいで私に話しかけた時、私も気がついた。


そして、暗闇から戻って来るスケルトンちゃん達は数がおかしい。

そうなのだ。


増えてる…………やはり。えぇー。これ、あーうん。見分けが付かない。

考えるのを止め私は正面のスケルトンちゃん群に魔法を放った。


「紡ぎしマナの根源により解放せし更なる力よ、我を媒介としその威力を顕せ。アイスボルト」


私の指先から狙いを定めた呪文、アイスボルトは空中を走る凍れる電気。

動きは龍が翔るさまを見せている。


アイスボルトは次々に獲物を求めた。

スケルトンちゃん達を順番に感電させるように当たり、そして通過。


横並びに肩を組んで走ってきた計五体のスケルトンちゃんは当たった箇所から凍っていき震えるように砕けていった。ロックに。


……時間を掛ければ流石に私でも、自分で生成した子はどれだか分かるんだけど、今回みたいに咄嗟だと流石に迷う。そしてスケルトンちゃんは犠牲になった。


今日も良い働きだったよ! …………多分。


もしかしたらだけど、ほら見てー。

友達出来たよー的な感じだったのかも知れないけど躊躇はしない。

求めているんだ。


「……先に進もう。夕顔ちゃん」

「…………うん」


それからレモンラットや小さい蝙蝠などがちょこちょこと現れたが私たち二人の敵では無く。ノーダメージで地下二階の突き当たりに辿り着く。


そこには石版や扉は無く単に土で出来ている階段が地下へと続いていた。


「次が地下三階だね、夕顔ちゃん」

「うん、もう少し。頑張ろうね」


「終わったら甘いものでも食べに行こう」

「そうだね、でも夕ご飯食べられなくなっちゃうから程々にね」


そして地下へと続く階段を降りると行き止まりだった。

あぁ、扉があるんだ。コレ。押してみると簡単に開きそこは地下三階。

あれ? 何かがおかしい……じゃなくって、そこは明るかった。


むしろ眩しい位に。


「…………ダンジョンって何でもアリだね」

「何で明るいんだろうね」


目的の地下三階に辿り着いた私たち。どちらかというと今まで暗いところで明かりの魔法を使う程度だったのが、こうも突然に明るいとねぇ。


あ、そろそろ良いかな。


「ひぃちゃん、おいで……」


呼ぶと私の手の甲、付近から飛び出してきた。ひぃちゃん。


「ひぃひぃ」


ん。元気そうだね。パタパタ、バサバサと飛んでいるけど、やっぱりたまに天井にぶつかっている。


「ねぇ、朋ちゃん」

「ん、どしたの? 夕顔ちゃん」


「何でひぃちゃんってひぃひぃ鳴いているんだろうね?」


「それはね……アルフレッドだからなのだよ、評論家の夕顔ちゃん」

「あるふれ……評論家?」


「んー。アルフレッドはひぃちゃんの本当のお名前でひぃちゃんはあだ名だよ」

「そうなんだ。…………評論家は?」


「ええとね、何か凄い物を作った人のそれを評価する人の事だよ……多分」

「んん?」


「…………ごめん、私も自分で言ってて何だか分かんないや」


再び、ひぃちゃんには索敵よろしく先行してもらった。

行って戻って私の肩にちょこんと乗って、また飛び立つ。

飛ぶのは大分慣れてきたみたいだけどダンジョンの天井にはぶつかるのは何故なんだろ。


この地下三階のゴールには確か次のダンジョンの資格を貰えるのと他にも何かをくれるって話だったかな。何を貰えるんだろ、今なら甘い物が良いな。


明るいダンジョン。


それはそれで違和感しかなくて何というか、うーん、我が家へようこそー的な感じ? 椅子とかあったら、くつろいじゃうかも。

床があったら寝そべっちゃうかも。


「朋ちゃん」


夕顔ちゃんが私を呼ぶと共に街娘を少しだけみょーんとした。


「ん、どうしたの? 夕顔ちゃん」

「後ろ、今通ってきた道にいるのよ。多分ウルフだから、ウルフパーティーかな」


「…………何処から来たんだろ」

「……ダンジョンは朋ちゃんの召喚みたいな感じなんじゃないかな」

「…………おお、そっか、そういうのは解りやすいね、うんうん、納得だよ」


ダンジョンは生きている。

ダンジョンは視ている…………何を見ているのかな。いや、試している? 何かを。

求めている? 強さを? 意志を? 気持ち?


んー。どうだろう。

そこに、あるべくしてあるもの。繁栄。かなぁ。少し違うか、ええと、共生。近いかなぁ。


摂理じゃ身もふたも無いかぁ。ん、まぁ良いや。

そういうのは何処かの賢者さんに任せよう。

今の私の求める物は単純な強さ。姉さんの力になれる状態。少しでも、少しでも早く――――


でも、駄目、押しつぶされない様に。自身の夢に。求める物に…………。


そんな私に救いがあるならば。そうだね、姉さんは生きているという真実。

しかし、一日が過ぎる毎に私は絶望へと進んでいるんだ。

おっといけない。この先の思考は危ないよ。止め止め。今は今出来ることを…………うん。


前からひぃちゃんが叫んでいる。

ひぃひぃと……。


「夕顔ちゃん、後ろ、任せたよ……」

「……おっけ、朋ちゃん、前、よろしく!」


所謂、挟撃に似た状態だろうか。

さっきまで全然現れなかったからさ。やっと歓迎してくれるみたいで嬉しいよ。

ひぃちゃんは少し攻撃を受けたのか、少し飛び方がよれている。


「ひぃちゃん、戻って!」


私の叫びと共にひぃちゃんは私の中に戻って来た。

スケルトンちゃんとは少し違う感覚なんだよね、ひぃちゃんは。


それから数秒、前方から敵がやってきた。

バラエティーに富んでるみたいで、解る範囲ではウルフパーティーとレモンラット、スケルトン。

スネークやジャイアントアントなどもいるみたい。


結構一杯いるね。

もうこれファイアボールで一蹴したい。唱えようと思ったが何かが私を止めた。


洞窟でファイアボールは止めとけと……。


…………カンみたいな感じ? んー。ラオーアくんとかかしら? まぁ良いや、他のにしよう。

後ろを一瞬だけ見ると夕顔ちゃんはウルフパーティーを魔法で叩いている。

良い感じに倒せている様に見える。よし、私も――――。



「紡ぎしマナの根源により解放せし更なる力よ、我を媒介としその真の威力、裏で顕せ。ウインドボルト」


中級四種と呼ばれる魔法たち、ファイアボルトやウインドカッター。

その裏に当たる裏中級四種。少しピーキーな呪文は使い手を選び、制御もかなり難しい。


魔法の組み込みに反しているのだ。

例えるならばそう。

靴の上から靴下を履いたりスカートの上からパンツを履くぐらい利には敵っていない裏の魔法。


その中のウインドボルトを唱えた。

風に乗った稲妻が走る。それはアイスボルトのそれに似て非なるもの。ウインドボルトは風に乗る。

風の揺らぎにより進む方向が変わる事もある。


そして私の手を離れない風の雷の鎖を想像させる。

その呪文は敵に当たった瞬間に私の手を離れる。


その呪文は敵ジャイアントアントに始まりウルフパーティーやスケルトンなど私の見える範囲の正面の敵全てに順々に当たっていく。


私の手から放たれた風雷の鎖はあっという間に全てを感電させた。

当たる度に威力は低下するのだが、全てを感電させただけでは飽き足らずに私の元へと戻って来る鎖。


私は意を決して手の平で受け止めた。

そうなのだ。

この呪文は使い手を選ぶ。最後には使い手に戻って来るから。


威力はかなり落ちているけどね。

私の正面にいた敵、恐らく二十体近くは声も上げる事すら出来ずに感電し倒れた。

後ろを振り向くとその様子を後ろから夕顔ちゃんが眺めていた。


「…………凄いね。流石、朋ちゃん」

「……まだちょっと難しいね、この魔法」

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