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6私が気絶したらみんなが慌てた。どゆこと?

ギルドの入り口でリーアさんと別れると建物を見た。看板には冒険者ギルドと書いてあり比較的大きな建物のようだ。


私は意を決して入ろうとするが、出てきた人とぶつかる。「あーごめんね、お嬢ちゃん」と声を私に掛けその人は行ってしまう。


「うー。もう一度!」


息を吸って吐くと同時に一歩目で建物に入ると結構人が多い。私は比較的人が少なそうな場所を探す。入り口から少しした側の壁に背を向けて周囲を見回す。


をぉー。今日も色んな人がいる。凄い甲冑を着た戦士みたいな人も多く腰には大きい剣を下げていたり。杖を持った魔法使いの様な人とかが目に付いた。


勿論、何の職業かも解らない人も沢山いたのと、ドワーフや、エルフっぽい人達もいる。んー。やっぱ凄いね。ここは他の場所とは何か違う雰囲気。


うーんと、まずは受付のエッタさんを探して……。


「いない……」


見渡す限りはいないみたい。どうしよう。うーん。私が少しの間、悩んでいると突然声を掛けられた。


「こんにちは。何かお探しですか?」


「あ、えっ…………。はっ。はい……」


「あぁ、ごめんなさい。私は冒険者ギルド見習いのシーラと申します」


「…………こんにちは。私は朋と言います。ちょっと、知り合いを探していて」


声を掛けてくれたのは私と年齢が近そうなシーラさんという女の子。青い髪のロングでヘアゴムか何かで髪を途中から止めているみたい。

突然声を掛けられたからビックリしたけど悩んでいた私に声を掛けてくれたし優しそうな人に見えた。


「そうでしたか。では何かギルドに御用が有りましたら、お声を掛けてくださいね」


「あ、はい。ありがとう。あ、すみません。えっと、エッタさんって今日いらっしゃいますか?」


「は、え、あぁ、エッタさんって、エスタリッセさんの事ですか?」


「はい! そうです」


「…………ちょっと今日はギルドの打ち合わせで、恐らくもう一、二時間ほどは戻らないかも」


「あぅ。そうですか……」


「ええと、ギルド的な御用ですか? 若しくはエスタリッセさんへ個人的な?」


「あの…………大丈夫です」


「んんー。ちょっとまっててね」


と私に言うとシーラさんは階段を上り二階へと行ってしまった。あぁ、悪いことしたかな……。うぅーどうしよう。


…………数分、悩んでいると先ほどのシーラさんがエッタさんを連れてきてくれた。


「あら、やっぱり朋じゃない。おひさだね。あれ、メルは?」


「あ、お久しぶりです。今日は私一人で来ていて」


「はあー。そっかそっかなるほど。良く来たわね。大丈夫だった?」


「あっ。はぃ…………多分」


「多分? というと……」


「あの、実は……………………」


私は今朝からの出来事を掻い摘まんでエッタさんに話した。


「ああ――――――――。うわ、それかぁ。今ちょうどその話を上でしていたのよ。朋は中々持っているわねー」


「あはは…………何かごめんなさい」


「いや、良いことをしたんだから謝る必要は無いわよ」


「でも…………」


「大丈夫だから」


「はい」



私は買い物の件とギルドの登録の話をエッタさんにすると「あーじゃあ……」と先ほどのシーラさんを呼んできて後はよろしくとよろしくされた。


「よ、よろしくです。朋ちゃん」


「はい。こちらこそ、お願いします」


「ではギルドの新規登録ですね。初めてですけど大丈夫です! まずはこの書類に必要事項を書いてね」


近くの空いている机に案内される。そしてシーラさんは『ギルド登録申請書』を私の前に置いた。

えーと、本人の名前に保護者の名前、年齢、性別と、ふむふむ。私はサラサラっと記入しシーラさんに渡す。


「朋ちゃんは私と同じ年齢なんだ。よろしくね」


「あ、こちらこそよろしくですシーラさん」


その後、真剣な表情で書類をチェックしている。そんなに書く所、無かったから大丈夫だと思うんだけど…………。


「やったね! 年が同じぐらいの子が冒険者ギルドに来るのは珍しいから嬉しいなー」


「あ、そーなんだぁ、私も嬉しい」


シーラさんは同い年みたい。やっぱり年齢が近い人がいると嬉しいね。


「うん。大丈夫だよー朋ちゃん。じゃあ発行してくるからちょっとまっててね」


シーラさんは奥へ行ってしまったので机に座りながら近くの壁に貼られている依頼書を見てみる。

ふーん。やっぱり依頼によってランクが設定されているみたい。

目に入る依頼には色々な種類があった。



『再依頼。姫の家庭教師求む。Bランク以上、精神が特に強い者求む』

『隣街までの護衛。Dランク~』

『街の周囲に居る動物退治。Eランク~』

『ペットの猫探しています。Fランク~』

『緑ドラゴンの親知らず求む。Aランク~』

『クルックー鳥の卵求む。Dランク~』

『アイテム時代のしもべ求む。Aランク~』

『僕と付き合ってくれる方募集。当方35歳。お金、権力有ります。10歳~15歳までの可愛い女の子、男の娘求む。友達でも可。Aランク~』



な、何か色々あるんだなぁ、最後のはさておきあの『時代のしもべ』って何処かで聞いたことがある気がするんだけど、何だっけかなぁー。うーん。思い出せないや。


「おまたせー。登録証出来たよー」


出来たみたい。シーラさんが小走りに戻ってきた。


「はい。これが冒険者ギルド登録証だよ。初回は無料で失くしたりして再発行する場合は少しお金が掛かるから気をつけてね」


シーラさんから冒険者ギルド登録証を受け取る。ねんがんの身分証明書を私は手に入れた。


「これがそうなのかぁーほほー。……あれ? ここにある金属みたいな物はなに?」


「あぁ、これはね昔のとてもえらい魔法使いの人と、錬金術師の人が共同で作ったと言われている部分で、この登録証のかなめの部分なの」


「ふむふむ」


「ここに人差し指を1分かざすと登録者本人とリンクして能力が反映される仕組みになっているらしいの」


「はえー。結構何か凄いんだねー。どうなっているんだろ」


「ここトミエクマ大陸、最大の謎なんじゃないかって言う人もいるね」


この登録証。本当に便利な物だよって姉さんが言ってたから欲しかったんだぁ。表面的には冒険者ランクに経歴、各種パラメーターや年齢、性別。特殊能力。からお財布代わりにまでなるって話。


でもあくまでもそれは表向きで、裏コードを入力するとさらにあんなことまでーとかって言ってたけど、そこは教えてくれなかった。


しかし本当は怖い物でもあるんだよ……って意味深に、しかも楽しそうに話してたなぁ。


「使い方に関しては冊子があるから気になったら読んでおいてね。ではお待ちかね。これから登録しよう」


「おねがいしますー」


シーラさんは私を手招きし冒険者ギルドのカウンターの脇、一角に誘導してくれた。


「ここにある銀盤にてをかざしてから登録証にある金属部分に触れて、更に再び銀盤に手をかざせば登録完了だよ」


「なるほどー。やってみるね」


私は習った通りに銀盤に触れる、そして登録証の金属部分、最後に再び銀盤に手をかざした瞬間、私の中の血か何かが体を駆け巡り私を揺さぶる。



そして――――――――私の意識はゆっくりと落ちていった。







『やぁ』

『うーん。まだ起きないかなー。暇だよー。はやくしないと悪戯しちゃうぞー。ぐへへぐへへー』


「んーん、っあれ? 此処何処だろ、私、何していたっけ…………」


『おはよう私。私も私だよ』


「はぇぇ? んーと誰?」


『私は私だよ、そんで俺。面倒だからえーと。煩悩さんとでも呼んでね、私を無くしてしまった清いロリともちゃん』


「…………んーと、此処は、私の中?」


『おおー流石ぁ。そんな感じ、良いねー良いねー。さすともちゃん』


「何か、御用ですか? 煩悩さん」


『御用御用、と言われても畏まる程でも無いんだけどさ、んとね、思い出す日は近いよ。いっぱい備えてね』


「思い出す? …………。私は、何かを、忘れている?」


『そーそー。そーっす。完全体になるまでは色んな行程が必要だろうなぁー。ロボゆけ合体。ぐらいなら楽で良いのになぁ』


「つまり、私は私じゃ無かったの? 欠けている私?」


『そうだね。君は……じゃ変だな、私の成分は煩悩三賢者と朋の意識の集合体、不要な物は穂美香の体。必要なのは朋の体。わかりやすく言うとこんな感じなんだがなー。でも今は賢者二人が私の中で行方不明、んで、朋の意識はまぁ、時間が解決するだろうね。それから、穂美香の体をどう分離させるか。あと良く解らない意思が一つ。これって結構大変なんだよなー』


「うーん。話はなんとなくわかるけど、どうするのが良いの?」


『それなー。まずはルカニーと会わないとかなー。それから穂美香。二人とも何処にいるのか解らないけどねー。まぁ、相手の方から探してくれるかもだけど』


「二人は、私の知り合い?」


『そうとも言う。穂美香はお前の妹でお前はお兄ちゃん』


「………………んん? 私、女の子なんだけど?」


『そこなー。今は穂美香の残滓もほぼ無いから、女の子として産まれてきたけど多分男の子なんよなー、実は。体が穂美香のだから体に引っ張られているってのが、正解なのかなどうかなぁ?』


「えっ? えっ? 私、男の子だったの? 本当に?」


『多分ね。でも心も体も女の子な、さすともちゃんの事を誰も男の子として見ていないし接していないから、それは仕方の無い事なんよな。まぁ、女の子でもそれはそれでこの世界の真実かねーっと、そろそろ時間だ』


「え?」


『実際、さすともちゃんがこの会話をどれだけ覚えていられるかは俺には解らないけど、もし覚えていたら俺は嬉しい。切っ掛けの一つとなれればなぁー』


「ちょっとまっ――――――――」




「あ、っと、朋ちゃん。よ、よかった」


あれ、何か、私、寝てた? 此処は、何処だっけ? あれ、あぁ、シーラさんって事は…………。


「朋ちゃん、大丈夫ですか?」


「あ、うん。はい。大丈夫――――私、あれ? 寝てたんだよね? 逆立ちはしてないよね?」


「は? えと、逆立ちって? えっとね。んと、ギルドの登録の際に突然気を失って、エスタリッセさんさんに話したら慌てて見てくれて、でも問題ないみたいで、結構ギルドの中、みんな慌ててたんだ」


「うーん。あぁっ。ああああ、エッタさんは私の事、知ってるから、というか、姉さんの事を知ってるから慌てたんだよね。えっとね、私の近くで靄みたいなのとか、召喚獣みたいなのが出るかもって思ったんだと思う。多分…………」


「特に、何も起きなかったから、大丈夫だったみたいだよ」


私は、シーラさんに召喚獣の事を話すとシーラさんは聞いたことがあるらしく顔が引きつっていた。


「それはあのエスタリッセさんが慌てる訳だよ。そんな凄いのがギルド内部で暴れ出したら大変だもの」


「だよねぇー」


部屋の扉が開き、エスタリッセさんが来た。私の顔を見ると安心したみたいで、私に話しかける。


「朋、大丈夫みたいね。ちょっと焦ったわよ、もう」


「あはは、ごめんなさい。突然意識を失ったというか、寝ちゃったみたい、私」


「メルヴィッセが朋に付けている召喚獣が暴れたら恐らく此処、壊れちゃうし、更地よ更地。ギルドランカー総出で多分、止められたとは思うけど、考えたくないわ。ギルドマスターもいなかったし」


「そ、そんななんですか、エスタリッセさん…………」


「マスターの指示次第という事もあるし、召喚獣と使役者の能力にも依るから一概には言えないけどね、でもメルヴィッセが使役しているんだから最低でも災害指定A以上ね」


「はわわわ…………」


あぁっ。しーらさんがはわわしている。ごめんなさい。まさか眠るというか、気絶なのか解らないけれど、あんな風になるとは思わなかったからなぁ――――――――


あ、あれ? 何か引っかかる様な、えーと、えーと、夢の中で……ロリともちゃんロボ? ってなんだっけ? あぁ、もう少しで思い出せそうなんだけど…………うーん、無理。

ご拝読頂きありがとうございました!

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