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58不思議な男の子との出会い

闘技場を後にして、その後夕顔ちゃんとなんとなくご飯を食べてなんとなく帰った。

私からのどんな話しかけに対しても、「あぁ、うん、そうだね……」というどっち付かずな返事しか返ってこなかった。


仕方ない。

そんな日もあるよね。


…………夕顔ちゃんと宿で別れて一週間程経過した。


私は闘技場の存在を知ってから、毎日闘技場へと通った。

闘技場で私が対戦する者は今の所ほぼ固定されており、毎日の様にプリンスちゃんと姉さんとあの男の子とグラ子さんと夕顔ちゃんと戦った。


一週間経過するのに私はこの中で安定して勝てる相手はまだあの男の子とグラ子さんだけ。

夕顔ちゃんとは良い勝負、勝ったり負けたり。


姉さんとプリンスちゃんには毎日の様にコテンパンにされた。

今日も闘技場へと通う私。


受付のお姉さんには顔も直ぐに覚えられてしまう。

そして毎日の様に闘技場へ行くために街中を歩く私はもれなく誰かに視られていた。

こちらももう日課。まぁ別に、良いよ。



……しかし、戦う相手に何故勝てないのか、毎日、自分自身での反省会をするのだが、此処をこうしておけば、とか、あの時の判断がとかちょっとした判断での負けが多く。

逆に毎回がそうなので、どれだけの差があるのか未だに掴めなかった。


今日こそは!



「よぅ。昨日振りだな、ゲハハハハ。マタ尻を引っ掛かれに来たのか? お前も本当にスキダナ、スキモノダナ、将来がシンパイダ、嗚呼シンパイダーシンパイダ」


「う、うるさい。今日こそ勝つわよ!」


対峙する私とプリンスちゃん。

此処ではもう何回目だっけ? こうして戦っていて解った事が幾つもあった。


そう、彼等は出来ることが固定化されている。

技や魔法、剣技や術に関してだが。それに対し私は新しい何かを持ってくる事が出来る。


これは戦いに於いては概ね有利に働いた。

しかしその後土壇場でひっくり返されるんだ……何故かね。


私の事を適当に心配してくれているプリンスちゃん。

今日も多分ギリギリで負けた。


勿論お尻は最後に引っ掛かれた。

勝利を奏でるプリンスちゃん。


カリカリ、ギリギリ、ガリガリと…………もう、痛いんだって!




「はい。朋ちゃん。また戦うの?」

「うん。姉さん、お願い」


「手は抜かないわよ。多分ね」

「うん、それでお願い……」


……次の相手は姉さんなんだよ。


私は出会えるだけでも嬉しいんだ……偽物でもね。

しかし、この姉さん、私が想像している位の強さなんだよね。


ホントは多分、もっともっと強い。

しかし、そんな姉さんにも今の私は勝てない。


恐らく凄く手を抜いているのにね。

姉さんの戦い方は基本召喚術メインなんだけど、魔法攻撃も凄く強いし早い。


全体的に考えると一回りも二回りも強い。

体術も何というか、私の体術じゃ捌かれて、いなされてしまう。


そして追撃の魔法攻撃。


魔法による攻撃、体術、召喚術。とてもバランスが取れている戦い方だった。

やはり今日も負けた。


「惜しかったわね」

「そ、そうかなー。……全然勝てる気がしないよ、姉さん」


「それは良かった。私は貴方の壁であらねばならないし。うふふふふ。何時までも頑張るわよ……またね、朋ちゃん」



…………でもね、此処に来れば、何時でも姉さんに会うことが出来るんだ。

それってとっても凄い事なんだよ……姉さん。




「…………」

「………………」


「お、繋がった。と思ったけどうへー。あの男の子かよぉー」

「…………」


「あー。なるほど、そういう事なのか。それじゃー仕方ないな……おっとスマンな、朋ちゃん」

「…………誰?」


目の前の男の子。

んん? 何か違う、中身? 中の人が変? 違う?


「ハハッ。やっぱ解るか。そりゃそうだよな。んー。あぁ、こうして対峙するのはある意味では初めてなのかも知れないな、朋ちゃん」


「……キミはあの時の男の子ではないの?」


「んー。そうとも言うし、そうとも言わない。あぁ、朋ちゃんの裸はバッチリ覚えてるよ! 将来が楽しみだな! 朋ちゃん」


「…………殺ってやる。全てを忘れるまで!」


将来が心配だとか楽しみだとか何なのよ、もおおお。


「うっは。ごめんごめん。調子に乗った。ホント許して、そんなつもりは無いんだよ、俺は……」


…………この人は誰だろう? 知らないのに何故か知っている気がする。

でも私はこの人にも見られたのは多分確定。


どおいうこと?


「……まぁ何だ。俺は多分キミの味方だ。俺かキミが変わらない限り……」

「味方って……どういう意味?」


「意味は無いだろうね。今の所だけど。でもキミの目的には力を貸す事が出来る。これは間違いない」

「…………私の目的とは?」


「え? あー。何だ、アレだろ?」

「…………何?」

「お前の姉さんを助ける事だろ? 違うのなら俺はキミを見誤っている事になる」




「………………そうだね、正解だよ。……でも何か男の子って信用できない」

「あぁ、そうだな。それは概ね正しい…………おっと、時間無くなるから、戦っとくか? 俺と」


「…………強いの?」

「能力は昨日までの男の子と変わらないよ? 今の所だけど」


「じゃあ私の勝ちでしょ?」

「そう? じゃあ仕方ない。追加して、遊んであげるよお嬢さん」


瞬間。


目の前に居た筈の男の子が消えた。

…………ええと、スキルか何か? 周囲を見るけど何も無いし誰も、男の子もいない。


消えてしまった。

ええ? と頭にハテナマークが浮かんだ所、背後から抱きつかれた。


「ハハッ。こっちだよ」

「…………ちょ、止めてよもう」


私は拘束を解く。

単に抱きしめられただけなんだけど遊ばれた。


「多重スケルトンちゃん!」


私の周囲にスケルトンちゃんがわらわららと生まれ出た。


総数二七体。

これならもう見失わないでしょ。


「なるほどねー。そう来たか! じゃあコレなんてどうかな? …………バインド」


目の前の男の子がバインドの魔法を唱えた。

確かこの魔法って相当に実力が離れていないと効き目無かったはず……。


しかし、スケルトンちゃんも私も動けなくなった。


「んー。やっぱタイミングは重要だね」


ゆっくりと私の方へ歩いてくる得体の知れない男の子。

何なのこの魔法力は…………。


「俺とキミだと魔法に関しては結構な差があるけど、魔法が掛かるのは色んな状況にも依るんだ。覚えておくと良い」


「そんなの分かるもん」

「そうだね。でも俺の力は解らないでしょ?」


何なのよもー。

動けないし、強いし…………一体何が目的なのよもう……あぁ、そっか。


「…………貴方の目的はなぁに?」

「ふむ…………キミを助けてその先にある状態を目指すこと……かな? いや、まだ解らないが、正解かも。実際解らないことだらけなんだよ、今はまだ」


「ふーん……それは信じてあげる。でも貴方と私の関係って何なの?」


「あはは。それはある意味、核心を突いているのかも知れないね、まぁ、それは徐々に分かるようになってくるんじゃない? 多分俺とキミは親族だよ、何処かしらで血が繋がっているってのは合っていると思う。それ以外は憶測になるかなぁ……」


「親族って……お兄ちゃんとか?」


「近いのはそうだろうね。でも断言も出来ないんだよ、複雑すぎて……あれ、今日はもう時間だよ。また来てよ、此処ならキミと直に話せるからさ、朋ちゃん」


「……分かったよ。最後に教えて……貴方の名前は?」

「んー。ラオーアって言っておくよ。偽名だけどね。じゃあまた来てよね」

「…………」


扉の前に戻って来た私。

うーん。


この状況は何だろう? 何処までが真実なんだろう? か、仮にあの男の子、ラオーアくんの事を全て信じるとしたら彼は私の味方って事になるね。


それで姉さんを助けるのを手伝ってくれるとも話してた。


……多分だけど、彼は強いよね。

もしかしたら、姉さんより強いのかも。


いや、そんな事無いか……でも私では相手にならない事は確定したね。

それに、私の事を何処まで知っているんだろう?


…………もしかしたら、私以上に私の何かを知っているのかも…………ふーんだ。


やっぱあの子はエッチだ。

男の子は皆んなゴブリンだってグラ子さんも話してたし。


やーなの。

ふーんだ。


それでも……。

…………それでも信用は出来る気がした。


あーやだやだ、そう考える私も大っ嫌い。

え? 思春期まっしぐらだって? 何よそれ!


その後も戦おうと闘技場の扉を開こうとしたけど扉は開かなかった。

はぁー。また明日だね。

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