49時計の針が進むとき
「失礼します――――」
「ん、何だ、こんな時間に……? お前か……どうした?」
「閣下。ご報告です…………先程、数年振りに針が一コマ進みました」
「…………そうか、また進んだら報告をくれ」
「かしこまりました。では、失礼します――――」
「……次また進む様なら良いのだがな、出来れば数ヶ月以内に……。何故こんなに現れないのか……もうかれこれ十二年になるだろう。…………ハードルが高いのか、枯渇してきているのか、どっちだ」
部屋の主以外は誰もいない部屋でつぶやく様に一人話した。
これから夜も更けようとする時間帯。
報告を受けた人物は眠気を覚ます様に目頭を揉んだ。
◇◇◇◇
「朋ちゃん。おはよう」
「あ、夕顔ちゃん、久々だ……」
宿の朝食スペース。
何時もの定位置で朝ご飯を食べていると夕顔ちゃんがやってきたよ。
三日振りかな?
何かさっぱりとした顔をしている気がした。
あぁ、おでこの眉がここの所、寄ってる事が多かったからかなぁ?
「ごめんねー朋ちゃん。最近ちょっと忙しかったんだ。でももう大丈夫」
「そっか、良かった。んーとね、この前のプリンスちゃんでランクが上がったじゃない?」
「うんうん」
「残りのクエストはどうする?」
「あー。確かエアリアルとかエアゴーレムとかあったね。私的にはやっておきたいかなぁ……朋ちゃんはどう?」
「私は何時でもウエルカムだよ。少しでも先に進むんだー」
「うん。じゃあ後で冒険者ギルドに行こうか」
「では食べ終わってから一時間後に行こー」
私たちはこの前のイベントで無事Fランクになることが出来た。無事と言って良いのかは微妙だけどね。
この前グラ子さんに提示されたクエストの残りは確か、エアリアルとエアゴーレム、それとグールにトレントにアーマーナイトだったかな? アーマーナイトはスルーで良いって感じだったと思う。
私は何でもウエルカム。
アーマーナイトも見てみたい。
実際鎧だけが動いているんだよ? 中身ないんだよ? どおいうことなの?
知りたいよね、見たいよね、うんうん。
私は何時でもはらぺこなのだ。
だって気になるんだもん。
貴方って……中身、空っぽなのね。
って言っても怒られないかも知れないよね。
良いなぁ何だか。
ランクと依頼の関係もこの前グラ子さんにレクチャーしてもらった。
ランクが上がるともれなく責任が付いてくるんだって。
Dランク以上になると依頼を受ける時も諦める時も金銭が必要となりFランク以下は依頼が他のパーティーと被ってもある程度の成果が出ていれば依頼達成となる。
様は依頼が被っていても早い者勝ちとはならない。
低ランク者を優遇するシステムって話。
お出かけの準備をして先程の所で待っていることにした私。
冒険者ギルドに行くのも久々、とは言ってもたったの三日なんだけどね。
夕顔ちゃんが忙しそうだったから冒険者ギルドにも誘えなかったんだよね。
でも私も部屋でじっとしていた訳では無く、折角だから図書館へ入り浸ってたんだ。
ん? まぁ、ある意味それも引き籠もっているのと変わらないかもだけどその成果はじゅうぶんにあった。そうなのだ。古代召喚術で召喚出来る子が増えた。
まだ試してないからホントかは解らないけど。
そして古代召喚術に関してまた少し詳しくなったんだよ。
何でも古代召喚術にもランクという物が存在していてそのランクにより召喚出来る子の種類が増えると、まぁレベルアップ制みたいな感じかな。
ランクは数字の1から10まででその上にもあるみたいだけど、その先は載って無かった。とりあえずランク10目指すには毎日の様に召喚するのが良いみたい。
実は私はもうランク3。の筈なんだけどランクアップのテストがあって、まぁ単純に召喚してその子と戦って認めさせれば良いということ。
勝っても相手が認めないと駄目っていう微妙な感じ、逆もありで負けても相手が認めれば…………って事らしい。
それで私はランクアップテストを保留中。
今、行うと間違いなくどのランクもスケルトンちゃんが出てくる。
だってスケルトンちゃん以外まだ召喚したこと無いんだもん。
つまりはそういう事みたい。スケルトンちゃんは実質ランク1に分類される。
鍛えていけばランク10のスケルトンちゃんに育つって書いてあったけど。
ランク10って多分ドラゴンとかだろうから、鍛えればドラゴンぐらい強いスケルトンちゃんになれるのかなぁ?
召喚する子の種類もランクによる制限があるから実質的には私は今ランク3だから後二種類は選んで召喚出来るって事みたいだね。
それ以上選ぶ事も出来るみたいだけど余り広く浅く召喚していると信頼関係が築けないからお勧めしないんだって。
んー。とりあえずあと二種類どうしようかな。
空とか飛べる子が良いなぁ。
んーと、ランク3でちょうど良い子は…………あ、そだ、姉さんが呼べなかったカラスにしよっと。
かぁかぁ。
ランクアップテスト今度やらないとね。
そんなこんなで夕顔ちゃん来た。
「おまたせー。朋ちゃん」
「やっときた、夕顔ちゃんー」
夕顔ちゃん……私は我慢できなくなりがっしと両手で抱きしめた。
成分が足りないのだよ。
「わっ…………三日振り、朋ちゃん」
「うん……」
「…………さぁ、冒険者ギルドへ行ってグラ子さんに会いに行こ」
「……そうだね、いこっか、夕顔ちゃん」




