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45ミルクのように混ざったり砂糖のように溶けるもの

『ふーん。そんな感じで落ち着いたか。まぁ、良いだろ。……確かにプリンスちゃんはまだ生きてる可能性が高い。あの時ファイアボールが発動したとは思えないんだよなぁ。何か、ファイアボールを抑えるアイテムとかで抑えたとかかね? ご縁があれば再戦するでしょ。無くても良いけどね』


『いやぁ、夕顔ちゃん。惚れちゃってー。俺はもう惚れてんよ両思い待ったなし。ぐへへへ、じゅるり。あんな良い子そうそういないよ』


『前世? でも可愛い子も好きな子もいたけどんー。優しさが足りない。俺に対して。皆んな気が強かった気もするしなぁ……』


『まぁしゃーない、今は今だ。あーでも俺の身体は何処かにあるのかねェ? 確かタナシナプスがペナルティーって言ってたけど説明が何も無いから解らないんだよね』


『どちらにせよ強さは必要かな。何をするにもだけどさ。しかし、さっき気がついたんだけどもう一つのコードが無いんだよなぁ。昨日まではあった筈なのに……』


『あのコードが手っ取り早かったんだけどなー。残念だ。他、探さないとね…………』









「ふんふんふんふんこけこっこ。ふんふんふんふんこけこっこ。…………何だそりゃ? むーん、むにゃむにゃ」

「すやすやー。夢を見ないと生きていけないのれすよ…………」



「…………ふぁー。朝だね。うん、よく寝た。あ、おはよう夕顔ちゃん」

「おはよ……朝だね」


夕顔ちゃんも起きたみたい。

今日は何するんだっけかなぁ…………。


とりあえず顔を洗って……。

まだ眠い頭をコーヒーで醒ます。


ブラックは大人の味、私にはまだ早い。

そんな私はミルクとお砂糖たっぷり入り、甘くて美味しいよ。

夕顔ちゃんには大人ブラックを注いでおく。


「コーヒー入れとくね」

「うん。ありがと、顔洗ってくるね」


大人な夕顔ちゃんは果たしてブラックコーヒーを飲めるのかしら。

ちょっとした悪戯心。


「ふー。さっぱりした。ゴクゴク…………ふー。良く寝たなぁ……もう十時近いね。朋ちゃん」

「やっぱり大人だった…………」


「ほえ? どしたの?」

「いやいや、何でも無いん、無いんだよ?」

「…………そう」


なんとなく負けた子供な私と理由も知らない勝者の大人な夕顔ちゃんは、朝ご飯を食べて身支度を済ませてから、村長さんに会いに行く。


昨日の事をはなしにね。


どうなるかなぁ……。

村長さん宅に着くと丁度、外にお掃除をしているノエルさんがいた。


「おはようございます。ノエルさん、村長さんいらっしゃいますか?」

「あ、はい。おはようございます。はい。いますよ、どうぞ中へ……」


通されたリビングで待っていると村長さんはノエルさんと共に直ぐ来てくれた。


「どうされました?」

「はい。進展というか、状況が解ったので報告に来ました」


「ほお。……という事は残りのゴブリン数体だけの話では無いと?」

「はい。ええと、結構な話になるのですが、ノエルさんにも聞かせて良いですか?」


「…………構わない。私に何かあったら現時点ではノエルが代理になるので、という事でお願いします」


ノエルさんは村長さんの後ろに立っていたのだが、その言葉により村長さんの隣へと座った。


「よろしくお願いします」


きりっと覚悟した顔で夕顔ちゃんがこちらを見ている。

うん。今日もとっても可愛いよ。


私は目を合わせて頷いた。


「まず、この村はかなり危険な状況化にあります」

「…………そ、そんなにですか?」


初めの言葉で慌てている村長さんとノエルさん……。


「はい。状況を説明します――――。このパプリカ村から出て二十分程進んだ所に大きめの崖があるんですけど。そこに隠された入り口があって…………その先へ大体ですが一時間程進むとゴブリンの街があります」


「ゴブリンの――――街?」


「はい。大きさは街レベルです。人数は約ですが、一万は下らないかと思われます」

「そ、そんなに…………」


「――――端的に説明します。昨日その大きめの崖を調査中、私たちはゴブリンに捕まりました。敵の本拠地まで連行されそこから脱出といった感じです。その脱出の時に街を見て大量のゴブリンを見ました。でも逃げるときに出口と入り口を魔法で封鎖したので直ぐにでも此処へ来るかは今の所、不明です」




「そんな…………どうすれば良いの、お、お父様……」

「ううむ……そんな近くに街なんて……信じられん、いや、信じたくない」


「敵、ゴブリンの親玉は恐らくですが、ゴブリンプリンス。私も知らないので恐らくですがユニークモンスターの一種で特別変異種個体と思われます。知能も高く言葉も話します」


「そんなものすらいるのですか? もう、私たちにはどうすれば良いか……」


「調査は以上として私はこれからサラダエクレアに戻ってギルドに報告しようと思います。こっちの朋ちゃんは残ってパプリカ村に何かあったら防衛に入ります」


「お一人で…………解りました。ご尽力ありがとうございます。村の主立つ者にだけ経緯を話そうと思います」


「話が大きすぎるので、今の所、簡単な説明ぐらいが良いと思いますが……ええと、ゴブリンの集落があるらしいとか程度の」


「そ、そうですね、そうしてみます」


「ギルドに報告をしてですが、それ以降の状況はどうなるか解りませんが、考えるに、調査が入りその後に村からの避難。村を含めての防衛及び大規模攻略。入り口の洞窟を魔法による封鎖。辺りが考えられます。勿論他の選択を提示されるかも知れませんが……」


「………………はい」


「ギルドや国からの指示があるまでに此処に攻め込まれた場合の避難先ぐらいは早めに考えておいた方が良いかも知れません。実行可能レベルで」


「解りました。そうさせていただきます。と言ってもサラダエクレアへ向かうのが現実的かもしれません」




「朋ちゃん。良いかな?」

「バッチリだよ。夕顔ちゃん。今の私たちに出来ることはそれ位だと思う。じゃあお昼寝でもして待ってるね。夕顔ちゃん」



「あはは。うん。直ぐに戻るから、無理はしないでね。絶対に……」


夕顔ちゃんは直ぐにサラダエクレアへと向かった。

道中は約二時間ほど、一人にするのはちょっと心配だけど夕顔ちゃんを信じて待つことにした。




私が待っている間にすることは特に無く、広場でスケルトンちゃんを作ってはがらがらを積木の様に繰り返し。

なんとなく近くにいた犬にスケルトンちゃんの骨を一本あげようとしたんだけど見向きもされなかった。


味? ついてないかな? 仕方ないね。


仮にゴブリンが来たら気絶だけはしない様にしないとって考えてたんだけど、気絶した私も誰かが動かしているみたいって思うと気が楽になるのと同時に嫌な感じもした。


この身体は私のだよ。


恋バナとかでお前は俺のものだ! なーんて台詞があるらしいけど少し言われてみたいかも、だってそんな台詞を言う人がどれぐらい恥ずかしいか顔を良く見てみたいからって考えるのは無粋かなぁ?


今度恥ずかしがりながら夕顔ちゃんに言ってみよう。

……いや、やっぱ止めよう。


引かれたら私の心は腹ぺこになっちゃうから。


意味なんて無いよ。

そういうもんなのだ。


私がなんとなく解るのは私の中に数人、誰かがいるんだよね。

それは理解している。


多分だけど男の子と女の子。

別人格っていう言葉がしっくりくるかな。


そんな感じ、少しづつ私に溶けているのも最近解るんだ。

たまに夢でお話しているんじゃないかな。


……覚えてないけど。

ああそうだ、スケルトンちゃんを多重で生成を試してみよう。


まず此処にスケルトンちゃん。


……そしてスケルトンちゃんと、あら不思議。

二体のスケルトンちゃんが完成しましたーって何の抵抗も無く普通に出来るじゃないのよ。


あれれ、どれぐらいの数一度に作れるんだろう? もしも、もしも際限が無かったらって考えると怖いから止めておこう。


それはぶっつけ本番で、とか楽しんじゃってる私。



一杯出せたら凄いじゃない?


なんとなくね。




パプリカ村の広場でスケルトンちゃんを作っては壊すを繰り返してもう二時間近くになる。

時折パプリカ村の住人は怪訝な目で私を見ながらも好意的ではあるみたい。


たまに私に話しかけてくれる人もいる。

まぁ骨と戯れていたら誰でもそんな感じかも知れないけど。




この村は、私が生まれ育ったサーリスト村に少し似ているんだ。

……今はもう無い村。


あの日、私は何も出来なかった。

でも……でも今は違う。


もしも此処へゴブリンが攻めてきてもギリギリまでこの村を守りたい。


今の私にはきっとそれが出来る。

それぐらいの意志と力を持っているはず。

そう、今なら村を守れるんだ。



あの時、守れなかった村を私の力で守る事が出来る可能性がある。

その事実が私を慰めてくれる。

あの時は無理だったという思いと……後悔に近い何か。


サーリスト村の住人を。

私から生活の全てを奪ったのは一人の魔族だった。正確には違うのだろうが…………。




「ふぅー…………」


昔の事を考えてしまった。忘れなきゃ……今は。

夕顔ちゃん成分が足りないよぉ。


「スケルトンちゃん慰めてー」


両手を広げたらがっしと抱きしめてくれた。

嬉しいけどちょっと痛い……でも知性があるよねスケルトンちゃん。

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