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43このゴブリンが!

『ゴブリン耐性+1を獲得しました』




『…………っぶねぇ。おいおい。何だよ、この展開は。悪意が強い。難易度も高いしノーマルモードでは無いだろこんなんよ』


『でもギリギリ受かってるな、さっき手に入れたスキルなら行けるだろ。しっかし、ゴブリン界のプリンス? そんなのもいるんだな。俺の嫁だか何だか知らんが笑わせるな、後で消し炭にしてやんよ。夕顔ちゃんに腹パンしてたし許すまじ。でもこれ何処へ向かっているんだ一体。洞窟に入らずに側の隠し扉の先へ進んでいたが、もう少し様子を見るか? 朋ちゃんまだ起きないだろ、泡吹いてるし。吹いては無いか?』


『んー。前にいるゴブリンに担がれているのが夕顔ちゃん。とても良い尻からの半身が見える。ゴブリンはプリンスと四体の計五体か、大分もう進んだと思うのだがまだかよ? さっきからプリンスとゴブリンが話しながら歩いているんだけど言語が理解出来ない。あ、でも明かりが漏れてきている。近いか?』



『…………おいおい。これは、地下帝国か何かか? 結構広い空間に出たと思ったら周りゴブリンだらけじゃねーかよ。……此処、ゴブリンの街だな』


『ザッと見で千体越えてるな、数。この広さの街レベルだとすると一、二万ぐらい居ても可笑しくないな』


『ふむ、そうだな。殲滅させるか安全重視で逃げるか、適度に倒すか。んー。多分一番難しいのが逃げるなんだよな、きっと……』


『それかさっきのプリンスに交渉するって手も一応あるか? ダメ元でだが』



『今回もだけど俺自身が優柔不断だし、選べない。どれも大差ない。だから安全重視で逃げて駄目だったら適度に倒して逃げる。逃げ切れなかったらプリンスに交渉して駄目なら殲滅だな。うん、それで行くか。おっけおっけ。方針きまり、ぽちっとな「朋ちゃんの身体の自由を手に入れた」ふむ、良いぞ、みなぎるね』


『そいえばさっきゴブリン耐性+1を手に入れたってログが流れたな。俺には効果無いだろうけど朋ちゃんにどれだけ影響あるかね? 気になる所だ』




『…………さて、大体二時間が経過したか? 現状牢屋かと思ったけど結構普通の部屋だ。檻みたいのには囲まれているけどな。朋ちゃんの身体は猿ぐつわに手足を縛られていて、夕顔ちゃんはそれに袋を被せられている。さっきのまんまだな、袋ぐらい取ってやれよ、まったくよ……………………では、復讐しますか』


『まずは無詠唱で猿ぐつわに手足の縄をウインドで搔き切った。朋ちゃんはまだ目覚めそうに無いな。夕顔ちゃんを見ると短めのスカートからパンツがチラ見えしている。ふむ、エッチだ。しかも袋を頭から被せられている。良いシチュエーションだが可哀想で無理だ。結構デリケートな俺。ウインドで袋を切り猿ぐつわも丁寧に切った』


「夕顔ちゃん。大丈夫か?」

「…………と、朋ちゃん。あぁ……。うわーん」


夕顔ちゃんは朋ちゃんである俺に抱きついて来た。

んー。怖かったよね、よしよし。よしよし。よしよし。よしよし…………時よ、止まってもええんやで。


「…………落ち着いて。夕顔ちゃん、今まだ敵の本拠地みたいな所なんだ」

「ううっ。怖かったよぉー」


憔悴して涙で顔もぐしゃぐしゃ。

ああ、可哀想に。よしよし。ぽんぽん、さわさわっと、いけね。だめだめ。久々の人肌の感触においちゃんむせび泣きそうだお。


おっと本音が。


「うんうん。もう大丈夫だから。これから脱出するから付いてきてね」

「うっ。……うん、朋ちゃんありがとう」


「現状ね、ここはゴブリンの街みたいでね、数え切れないぐらいのゴブリンがいるの。だから逃げ切れなかったら殲滅するから付いてきてね。夕顔ちゃん」

「……うん。解った。あ、でも、大丈夫?」


「問題ないよ、任せて。ちょっとやり過ぎちゃうかもだけど、お、私を、信じて……」

「うん。何時も信じてる」


なんだろう。

ちょっとした罪悪感が悩ましいけど夕顔ちゃんかわいい。


はぁー、とおとし……………………。



ん、近くに気配を感じる。

何者かが此処を目指している感じか? なんとなくだけど。

これは気配察知かね。


「夕顔ちゃん、何か来るよ。私の後ろに……」

「……はい」


ガチャと部屋の扉は開かれる。

そこにいたのはやはり先ほどのゴブリンプリンス。


早くも役者は揃う。


「……アー。俺の嫁よ、今夜ハカワイガッテヤルからな。お楽しみダ。グヘへ……ツメを一杯立ててヤルゾ」


性癖かい。

それはそれはお楽しみでしたね。

涎垂らしやがって、欲情してやがる。


このゴブリンが。


お、誰かに言って欲しい台詞が浮かんだな。

この、ゴブリンが!


「…………言葉は通じそうだね、あのさ、提案があるんだけど」

「ア? お前タチの立場で提案トかニンゲンはバカなんだな、マァ良い、嫌イナ風呂に入って暖まったシヨ。特別に聞いてヤル」


「いや、もう良いや、今ので解ったから。でね、これから私たち帰るから」

「ギヒャヒャ。オマエ、帰れると思ってるのか? コレだからニンゲンは……我がママなのはボディだけに…………」


「うん。帰るよ、ウインド」


ロリ気味なゴブリンに気持ちの悪い台詞は言わせない。


ガッシャーン。


俺たちを囲んでいる檻のような物を壊した。

目の前のプリンスは驚いている。


「ホォ。その拘束檻は特別製だったんだがナ。オマエ、強いな。流石ハ俺の嫁……」


プリンスが距離をユラリとした動きで詰めてくる。

以外にその動きは早い、しかし……甘い。


「エアカッター」


魔法を即時発動。

上級四種のエアカッター。

術者の任意の方向へ二枚刃の風は突き進む、実質この魔法を回避することは不可能に近く。


適正距離なら必中。

距離は前後十メートルぐらい。


対象にヒット、進めないと刃が判断するとずれて進み返す刀の様に戻り凪ぐ。


その動きは生きた刃。

時間で分割され増えていく。

それは獲物を捕らえると執拗に凪ぐ。生物が如く。


「グッ……」


プリンス目掛けて飛んだ刃は縦横無尽に襲いかかる。

流石のプリンスもこれは防げないでいる様で頭を両手で庇い腕をクロスさせている。


しかし執拗い刃に片方の腕が下がっていく。

恐らく先ほどの怪我がまだ治っていないんだろうか、刃はプリンスの肌を幾十にも痛めつける。


刃に負けた肌からは緑色の何かが流れ落ち続けている。

時間にすると三分から五分ぐらいで風の刃は消え去った。

目の前のプリンスは膝を突きこちらを鋭い目で見ている。


「ふーん。流石に強いね、まだ心。……折れてないんだ。でももう動けないでしょ? プリンスちゃん」

「オマエ。何者ダ…………」


「あはっ。良いね、それを、お、私に聞く? まだ何者でもないけどさ。よし、行こっか夕顔ちゃん」


「う、うん……」

「じゃあさよなら、あの世で詫びてね。プリンスちゃん…………ファイアボール」


扉を閉める瞬間にファイアボールを投げ入れ直ぐに扉を閉めた。

時間経過……ドカーンとなる筈なんだけど何も起きてない。


あれれ?


えーと、うん。

見なかった事にしよう、何も無かった。

今、あの扉を開けてはいけない気がする。


「……さぁ急ごう、夕顔ちゃん。出口は…………多分あっち」


監禁されていた部屋を出たら通路があった、んー。

此処作りが現代っぽい建物だな。

感覚だと研究室とかか? しかも結構大きそうだ。


感覚で出口を探す。


「アイスボルト」

「グェ…………」


螺旋を描き凍る電気。

対象に命中。


敵ゴブリンは痺れながら凍っていく。

途中で出会う敵は容赦なく先制攻撃する。


状況に依ってはファイアボールすら厭わないと腹も括る。


私が爆心地だ! 


気配を感じ曲がり角で先の様子を見る。

ひぃふぅみぃ…………四匹。


「根源より生まれた唯一の始まりセフィロトから重ね合う創造四原種の理よ、今此処に姿を形成し表現せよ。フリーズアロー」


詠唱からなる魔法、上級四種フリーズアロー。


空気も凍る先端は絶対零度に限りなく近い透明な氷の矢。

四本がゴブリンの四体に凄く小さなジャリっという音と共に刺さり、微弱な原始の振動すら止まり傷口から凍っていく。


近くに誰か居ても気がつかないかも知れない。

詠唱により精度と性能を向上させた結果の魔法、四体を倒しその場に移動。

出口っぽいのが見える。


指を差し夕顔ちゃんに出口を示すと彼女もか弱い笑顔で頷く。



建物から出るとそこは地下帝国。

一面を見渡せる場所だった。

振り向くとやはり立派な建物で恐らくコンクリートが使われている。


現実でもこんな建物ありそうなぐらいだな、見渡せる一面に広がるのは家々。

適度に段差があるのか下の方まで良く見える構造の街。


文明力が高いな、もし彼等が作ったとなると、この知能は見逃せないレベルだな。

単に遺跡とかならアレだけどな、ええと、確かあそこの端だったかな。


「夕顔ちゃん、行くよ」

「えっ、あ、うん…………」


夕顔ちゃんと手を繋いで最短ルートを進む。

ゆっくりと、観光にでも来たかの様に。


まぁ、当たり前なんだけど出くわすよね。


目と目が合った瞬間にこちらから笑ってみた。

敵ゴブリンはどういう反応をするかね?


「グァ…………ゲ?」


言葉は理解出来ないがきっと驚いているだろうな、半径二メートル。

このラインを越えてきたら瞬殺しよう。


うん。


なだれ込まれそうになったら戦争だね。

そんなん俺が爆心地と化すよ。薙ぎ払うよ、レーザー欲しいな、ビームも良いね。


違いは分からんけど。

夕顔ちゃんを見ると少しおどおどしている。

そりゃそうか、こんな状況だもんね。


「夕顔ちゃん、大丈夫だから」

「う、うん。でも…………あの辺一杯いるよ?」


「んー。ん、そうだね。でもそこを進むよ、あえてね」

「朋ちゃん…………ゴブリン大丈夫なの?」


「っ、あー。そういえば忘れてた、っじゃなかった。えーと、うーんと。今は、大丈夫! 後ではわかんないよっ、そんな感じでよろしくね」


「ん。…………解った。信じるよ」


もうコレ好感度MAXだろ。

あー。


こんな彼女が欲しい前世だった。

ん? 前世で合ってるよな。微妙に俺の立場も良く解らないんだよなぁ。


タナシナプスかルカニー早く来てー。


進むにつれゴブリンの数も増えていく、何か切っ掛けがあれば全部が襲ってくるかも知れない。


一触即発。


ゴブリン達は適度に距離を取っている。

しかし数が増えているから進むにつれてどんどんと距離も近くなって来た。


完全に囲まれているけど俺たちの進む道は空けてくれているのかプレッシャーなのかは謎。

何時でも魔法は放てる準備は出来ているからなんとなくゴブリンの顔をよく見てみた。


……微妙に皆んな違いはある。解らないと言っても良いレベルだが。

装飾品も違うしまぁ、そんな感じだ。


一応お口直しとばかりに夕顔ちゃんをチラ見。

もう少し、あの辺なんだよな。


建物の出口からだともう結構な距離を歩いてきている。

てくてくと、夕顔ちゃんの手は微かに震えていた。


一触即発なのだが切っ掛けは生まれない。

いっそのこと暴発させるか? わっ! って大きな声出しても始まりそうな感じなんだけどね。


きっとゴブリンもオマエ行けよ。

いや、オマエ行けよ。

どうぞーみたいな感じなのかもしれない、モーゼの海の様に割れて道は開かない。


まぁ、初めに動いた奴は確実に倒すけどね。


戦犯だし。


もうすぐ街の端。

そこの斜め上の方向に多分繋がっている洞窟がある。

恐らく俺たちはゴブリン数千匹に囲まれている。

多分異様な光景だろう。


ここまで来たら俺としては倒さずに立ち去りたい心もある。

何かね、仕切り直したい。

俺が倒すのもアレだし、って思ってたんだけど時間切れ。


もうすぐ朋ちゃん目覚めそうだ。


「…………夕顔ちゃん」

「ん、何、朋ちゃん」


「ええとね、残念ながら時間切れ。もうすぐ私ね、瞬間気絶すると思う」

「え? どういう…………」


「このまま聞いて。あそこの上まで登って洞窟に入った瞬間にファイアボール撃って塞ぐから……後はよろしく」


「えー。…………うん。解ったよ。後は任せて!」


良いね、夕顔ちゃん、凄く頼りになる。

うん、朋ちゃんは良い子を見つけたなぁ。


「走るよ、夕顔ちゃん!」

「うん。行こう、朋ちゃん」


せーので走る。

前にもゴブリンはいるが少数、突っ切れば道幅も狭い。

うぉーとイキって走り出す俺たちに正面のゴブリンはびっくりした様で慌てている。


倒しても良かったけど倒さずに隙間を二人して無理矢理すり抜ける。

ゴブリンともぶつかり合うが、まかり通る精神。


タイミングも見計らった為か、そう難しくはなく通り抜ける事が出来て、少し高い所へ登り振り向くと瞬間、枷が外れた様になだれ込む大量のゴブリン。


もうぐちゃぐちゃ。

多すぎてひしめき合っている。


道は狭く通れても二人ぐらいの幅。

二列に並んでどうぞゆるりとそのまま走って洞窟の入り口に到着。


気の利いた捨て台詞と共にファイアボールを投げようと思ったけどもう意識が飛びそう。

洞窟へ入りすかさずに魔法詠唱。


「根源より生まれた唯一の始まりセフィロトから重ね合う創造四原種の理よ、今此処に姿を形成し表現せよ。ファイアボール」


魔法詠唱からなる俺の魔法は絶大な威力を誇る。

暇なための鍛錬で得た力。

俺に自由をよこせ。

反逆してやんよという心意気でファイアボールを表現した。


狙いを洞窟入り口の天井にしたのだが、そこまで距離を取っていないで発動させた為、爆風で二人共飛ばされる。


そりゃ見事な程に飛ばされた。

ぐるんぐるん、でも夕顔ちゃんの手は離さなかった。


そこで俺の意識も飛んだ、ぐるんぐるん。

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