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35運が悪い男のその後(1)

…………此処は何処だ? 周囲を見ても此処が何処なのか解らない。


質素な部屋。

薄い白色の壁が周囲には見える。


俺はベッドで寝ている様だが何故か身体が思うように動かない。


「うっ…………」


そこら中痛い。

何故こんなになっているんだ? 俺は…………。


そんな事を考えていると部屋の扉が開いた。


「お、少しは元気そうだな……」


恐らく俺を訪ねてきている男は俺を見下ろすように目線を下げて見ている。

しかし俺には目の前の相手に見覚えが無い。


誰だ、こいつは? うーん、何て返すか……。


「まぁ、なんだ……斥候を頼んだのは俺だし、済まなかったな、ジロー。あの時の事を見ていた者の証言によるとだが、お前は地面に激しくぶつかっていたらしいぞ」


「斥候…………あぁ、そんな夢を見ていた様な気がする」


「――って、おいおい大丈夫か? ……もしかして記憶が?」


「…………そうらしいな。俺が覚えているのは、可愛らしい女の子が大量のゴブリンを相手に魔法を放っている事ぐらいか、夢だけど……」


「マジかよ、俺の事は解るか?」

「……………………済まないが」




「うっ、嘘だろ…………」


それから目の前の人物、タローは俺の事を知っている限り詳しく教えてくれた……。


今回の経緯、ゴブリンの逆襲というイベントの事。

斥候に行き、担がれて戻ってきた際に俺の顔面がもう○シャグ○ャだったとの事。


俺とタローは昔からの友人らしいという事で、俺の実家はダイラックという街にありそこには俺の幼なじみもいるらしい。


目の前のタローはとても良い奴そうに見える。

しかも俺の為に泣いている。


この街サラダエクレアの冒険者ギルドに言って経緯を話せば知りたい事など、含め大体の事は解るだろうという事も教えてくれた。


「ジロー。俺はお前にどう接して良いか解らない。……すまん、また来る」


…………タローは肩を落としながら部屋を出て行った。

ふむ、俺の名前はジローというらしい。


彼はヤマダのタロー。

安易だな……まぁ、良いけどさ。


そして幼なじみはハナコかよ…………まぁ良い。

そういう設定だろ?


…………この世界が奴の言っていた世界か。

本当だったんだな、こんな事になるとは思わなかったぜ。


マジかー。

多分、此処異世界だよな?


すげー嬉しいけど設定がおかしいだろ、ジローは二十四歳かよ。


ちっ、リアルの年齢より七個も上かよ、しかも体中痛いぜ、頭もズキンズキンするし。


でも異世界かぁー。

マジで夢見てたからなー。


俺の名前通り故郷に帰ってきたって事だろ?


そうだな……。


やっぱ目指すはハーレム王だろ、こんなんよ。


魔法とか使えないのかな、俺。


……とりあえず身体が治ってからだな、全ては。

はっはっはっはー、楽しみだぜ。


あんなにも夢見ていた異世界に来ているなんてな! あーでもこれ、転生か、転移か? ジローってキャラの中だから転生だよな。


まぁ良いや。


回復魔法とか俺、持ってないのかよ、くそー。


頭が痛い。


多分、トミエクマってゲームが関係しているんだろうけど殆どプレイしてないんだよな、俺は。


……こんな事ならもっとプレイしておくんだったぜ。

まぁでもこのゲームを初めに教えてくれたアイツにも感謝だ。


友よ。


俺は、俺は念願の異世界にいるぞ。


……って、もしかして、朋や穂美香ちゃんもこの世界にいる…………のか?



あの夢の女の子…………穂美香ちゃんに似ていたよな。

更に幼く見えたのが解らないとこだけどなぁ…………。


もしも、夢じゃ無くて、俺が転生する前の記憶だとしたら…………。


……色々と調べないとな。

――――でも幼い穂美香ちゃんもストライク過ぎる。


あんな彼女が欲しい前世だった…………。



タローの話からするともしかしたらジローは死んだのかも知れないな。

地面に激しくぶつかっていたって話だし。


それで俺の人格が目覚めたとかか? もしもジローが死んでいなかったら展開にもよりそうだが色々と面倒なことになる可能性はあるが、まぁ、どうでも良いか。


とりあえず少し療養は必要だな。


うん、寝よ…………。

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