33みゃー子先生は何でも知っているよ
しーの実を届け終わった後、道すがらの休憩できそうな所で貰ったお弁当を食べてから私たちは図書館へ向かった。
なんだろうあのお弁当、何処も美味しいんだけど、あのジャムのパン。
甘酸っぱくて、最高に美味しかった。
何かに目覚めそうな程に。
そしてあのサンドイッチのお肉。
何のお肉だろう、濃厚でジューシーで、柔らかくて、とろける。
あれ以上に美味しいお肉なんて存在しないのでは? 夕顔ちゃんと二人でほっぺたを落っこどしながら美味しく召し上がった。
ありがとう、しーの実国のお姫様。
私はあだ名を付けてみた。
図書館は夕顔ちゃんが場所を知ってるというので調べる手間も無し。
何を調べたいかと言うと、魔法四種以外の魔法について、それと古代召喚術の召喚方法について。
何を見れば良いかなって一瞬思ったけど、とりあえずみゃー子先生の本で調べてから駄目だったら他を当たろうかなぁ、という今日の図書館での方針。
夕顔ちゃんはモンスターについての知識を調べて各クエストの場所についても調べてくれるみたい。
夕顔ちゃんありがとう。
私的にはやっぱりゴブリンをどう退治するか、もし吐き気が襲ってきたらどうしようって考えたけど、もう何も考えずに魔法を放つのが一番良いのかも知れないと考える私は過激なのかも。
目をつむって魔法を放っても当たる気がする。
でもそれだと克服にはならないよね。
やっぱり向き合うか…………。
うーん、どうしたもんか。
「ねぇ、夕顔ちゃんは苦手な物とかある?」
「え? 苦手な物? うーん、どうだろ…………勢いというか、威圧のある男の人とかは苦手かなぁ」
「…………なるほど、そんな状況の時どうすれば解決するかな?」
「あんまり考えたこと無いなぁ……あぁ、ゴブリンの話だね」
「まぁ、そうなんだけどね」
「どうしてそんなに苦手になったの?」
「どうして…………理由は良く分からないよ。ええと、私の目の前で○を吐き黒○げになりみじん○りにされ、○だけとか、内○だらけ、あ、もう駄目だおええ……」
「……………………そっか。それはもう脳内に映像が残っているんだよ、そして凄そうだね。○で隠しておくよ、ピーって感じのモザイク大事」
「うぅ。あー。上がってくるね色々と、うぷ」
「乙女だから我慢して! あの美味しかった物を出さないで」
「私、もう乙女じゃ無いかも……ふぅふぅ」
「これは重傷だ。というか、もしかしたらゴブリンというより…………単にエグかっただけでは?」
「それも考えたんだけど、多分緑が駄目な可能性はあるね、うん。エグいのは姉さん、あ、昔の特訓で耐性は付いている筈なのに」
「そうなんだ……」
「はぁはぁ。どうしようこれ。もういっそ根絶やしに…………」
「朋ちゃん一旦落ち着こう。思考が怖い」
夕顔ちゃんは近くの茶屋で持ち帰りの飲み物を買ってきてくれた。
私は道の隅っこ、少し隠れて何度かうがいした。
「あーさっぱり、夕顔ちゃんありがとう。私、夕顔ちゃんがいないと駄目な身体に……………」
「私はこう見えてお姉ちゃんだから任せて! 朋ちゃん」
「うん、頼もしいよ夕顔ちゃん、ついでに飴ちゃん買って、お姉ちゃん」
「はいはい、持っているよ。朋ちゃん」
「…………あんまり甘やかさないでね、危険だから」
「……そうだね、危険だね、何かこれでも良いかもって思っちゃう私も危険だよ、朋ちゃん」
「「あはははは」」
サラダエクレアの街の図書館はダイラックに比べると建物自体は小さめに見えたけど中へ入ると同じぐらいかな、石作りを基調とした結構歴史を感じる建物で結構古く感じた。
中へ入るとダイラックの図書館と作りは同じで入り口正面に受け付けがあり、隣に鍵が出てくる機械がある。
確か、あの機械に登録証をかざせば鍵が借りられるはず。
一応、夕顔ちゃんに小声で確認したら合ってるよ、大丈夫と教えてくれた彼女は今日も頼れるお姉さん。
同い年だけどね。
受付のお姉さんに挨拶をして、慣れていますよという雰囲気を作りカードをかざす、すると鍵が出てくる。
うん、大丈夫だね。
さて、みゃー子先生何処かな。
ダイラックの図書館で見かけた場所を見に行くとやはりあった。
『教えてみゃー子先生』よしとばかりに鍵を差し込みロックを外すと本が持ち運び可能な状態になる。
私は椅子を探して座ると隣に夕顔ちゃんも座って小声で話しかけてくる。
やっぱりそれだよねと。
私はみゃー子先生の表紙に手を置き魔法の事を考えながらページを開く。
私が知りたいのは、基本四種以外の魔法の事。姉さんは必要になったら教えるわねと、濁していた気がする。一応アンデットとか、精神系の魔法と基本四種の次の応用や中級の魔法を覚えておきたかった。
実践はこの前のしかないけど、練習は結構やった。
魔法を制御するという意味も感覚で理解したと思う。
基本四種は始まりの文言が同じなので覚えるという概念もほぼ無い。
語尾を入れ替えるだけ。
先ずは基本四種の先。
中級四種として『ファイアボルト、ウインドカッター、アイスボルト、サンドカッター』
という魔法で、ボルト系とカッター系と呼ばれる下地の魔法を組み合わせる事により威力とスピードが増す。
更には応用で『ファイアカッター、ウインドボルト、アイスカッター、サンドボルト』
という裏の魔法と呼ばれる物もあるとの事。
こちらは制御が難しく、使い方も癖があるので好んで使う人も少ないらしい。
中級四種も基本四種と同じで始まりの文言が四種共に同じらしく詠唱は覚えるのが簡単らしい。
そして精神系、こちらは基本二種類。
中級二種類となりその先に応用、上級は僧侶や巫女、聖女、賢者の範囲となるみたいね。
精神系の基本二種類は『アストラルリームとアストラルシール』
精神世界に存在する者に有効な魔法。
対象に向かって外側から攻撃するアストラルリーム。
対象の内側、内部からの攻撃アストラルシール。
両魔法。
結果はそこまで変わりは無いが事象も過程も違うため分別されている。
中級との大きな違いは当てなければいけないという所。
中級のレクイエムでは音が届く範囲が対象となる。
近いほどに効果が高くなる。
なるほどねェ、上級も気になったから調べてみたけどみゃー子先生は教えてくれないみたい。
私の力不足か、みゃー子先生の制限か、どっちかかな。
では、本命の古代召喚術の召喚方法…………。
こちらも無理、うーん。
何か、理由があるのかなぁ? 古代召喚術の本があるかどうかも調べたけど無かった。
何時か私が書いてやる!
むーん、召喚術の本も見てみたけど駄目だった。
くうー、どうすれば…………あ、そういえば、もっと凄いみゃー子先生の本があるって前ダイラックの図書館のお姉さんから聞いた気がする。
受付のお姉さんに聞いてみようかな。
「すみません」
「はい、どうぞ」
「ええと、この『教えてみゃー子先生』の違う本があるって聞いたのですが…………」
「あぁ、はい。ありますよ。でも閲覧制限が掛かっている本なので、図書館の寄付が一定額されている方か、ギルドのランクがC以上であれば閲覧可能です」
「そ、そうなんですか……なるほど。ありがとうございます」
受付のお姉さんに聞いてみて解ったけど結構ハードルが高いのかも知れない。
寄付についても聞いてみたけど、お金の量だけでは無く一定の期間、継続的にという制限が設けられているらしい。
どうしたものか…………。
ちなみに名前は『教えてみゃー子大先生』と『教えてみゃー子先生外伝』の二冊が制限掛かっている
みゃー子先生の本みたい。
ランクについてグラ子さんに聞いてから考えよう。
夕顔ちゃんに私の用事が済んだ事を伝え、少し待つ。
それから、夕顔ちゃんと明日以降の準備についてお話した。
一応、体力回復と魔力回復のポーションを十本づつぐらいかなぁ、と夕顔ちゃんに話すと、魔力回復を優先にしたいけど状況も読めないから十本づつにしようかと纏まった。
後は一応、解毒薬。
色々な毒があるらしいから、ある程度カバーできて即効性のある物にしようとこちらも意見は纏まる。
毒はケチっちゃ駄目な気がした。
良いやつが欲しいね。
後は麻痺とか、昏睡状態、眠り状態とか色々あるけどその辺も一括りでカバーできるポーションがあるらしいからそれが良いねとなった。
私も夕顔ちゃんも基本的には魔法使いだから、攻撃を受けないで先制攻撃主体のスタイル。
剣を使えるソルジャーや騎士や盾役など誰もいないのでピーキーな戦いというより先制攻撃で殲滅させるしかない。
私達は魔法の種類も少なく攻撃の幅も狭い。
古代召喚術ので盾役のモンスターとか作れたら少しは違うのになぁ、と思っていたから当てが外れてしまった。
グラ子さんの話だとそこまで攻撃性の強いモンスターは今回いないから大丈夫だよと話してはいたが、私は今まで姉さんの召喚獣に守られていた事が多かった為、姉さんのミサンガが無い今は裸で歩いている様な感覚に近い。
それぐらい私は姉さんの召喚獣を、姉さんを信じ切っていた。
何か対策をしないと不安で困る。
でも姉さんは私の項目を知って、私の戦闘スタイルは近接を強くなるように育てば無敵よと話していた。ううーん、悩ましい。
私は多分どちらかと言うと心配性な面があるから、極寒の中、裸で薄い氷の上を素足で歩く様な真似だけは避けたい。
精神が病んじゃうよ。
まぁ、誰でもそうかも知れないけど。
早く。
早く強くならないと。
雑貨屋さんで必要な物を揃えてから冒険者ギルドへ向かう。
雑貨屋さんではお買い得の商品が多数あって良い感じで節約できた。
出来るお嫁さんを目指せるね。
此処サラダエクレアの街はダイラックの街に比べると人は少ないし色々なお店も少なそうに見える。
でも必要な物は揃っているので不便さとかは全然感じない。
私も此処の街に徐々に慣れてきたという事なのかもしれない。
冒険者ギルドに辿り着きグラ子さんにしーの実の報告をするとそかそかー。
また依頼があったら回しちゃるな! と言ってくれた、楽しみだね。
しーの実の代金は一人五千クアレット。
グラ子さんはこの依頼でこの値段、ちょっと色付けすぎやね。
よかったな、破格やでーと話してくれた。
良い事尽くしの依頼だったねと夕顔ちゃんと話す。
それから私はグラ子さんに図書館の事を相談してみた。
「…………なんだけど、どうするのが一番早いかなぁ?」
「あーそれな。うん、ちと相談してみるから、せやな…………三日以内には相談しとくから待ってみてや、悪いようにはせえへん」
「ありがとう。どうしても読みたい本があるの」
「じゃあグラ子さん、明日からクエストを始めますね余程の事が無ければ三日後に一度顔を出します」
「そか、うん。了解やよ。大丈夫だとは思うけど、気を付けてな、何かにつまずいたら相談に乗るで!」
「はい。よろしくお願いします」
グラ子さんと別れてから夕顔ちゃんと作戦会議。
今日は宿から近いご飯屋さんへ行く事にした。
此処は定食屋さんというのが売りで○○定食などが基本メニューになっているらしい。
私は飛豚の唐揚げ甘辛ソースとほわほわの相掛け定食を頼んだ。
夕顔ちゃんは双子魚の起床焼き定食を頼んでいた。
「明日はどれからやっていこうか、夕顔ちゃん」
「そうね。特にどれでも良いと思うけど、説明された順が一応は強さの順みたいよ」
「じゃあその順番で行こうか?」
「場所が少しだけあっち行ってこっちってなるかも知れないけど大した問題では無さそうだしそれで行こっか」
「じゃあ初めはコボルトだね」
「うん、場所はサラダエクレアから南へ三時間ぐらい歩いた所に村があるらしいわね。次のゴブリンが南東の方角だから道があれば続けていけるかも」
「ふむー。ゴブリンかぁ…………ずっとゲーしてたらごめんね、夕顔ちゃん」
「どうしようも無かったらその時に考えましょうか。あ、雑貨屋に吐き下止めも売ってたわよ」
「あー。見たけど…………あれは使いたくないよ、夕顔ちゃん」
「そうなのよね、座薬は流石に抵抗があるわよね…………」
「……普通に飲み薬だったら買ったのになぁ。でもちょっと気になって聞いてみたんだけど、吐いている人が飲むのは大変でしょって言われた」
「あぁ、そんな理由が…………」
「でも前もって飲むのもあるんだけど、単に今は売り切れだってさ」
「あらら、残念。昔はサラダエクレアにも薬屋さんあったらしいんだけど、老齢でお店を閉めちゃったらしいのよね」
「そうなんだ……」
「あ、でも今年中には薬屋さん出来るって聞いたよ」
「それまでにどうにもならなかったら今度からお薬に頼らせて貰うよ」
「後は…………今回は朋ちゃんがアタッカーでお願い。私がサポートに回るから」
「うん。良いよ。頑張るね!」
「とりあえずは徐々に色々試していこうね」
「うんうん」
夕ご飯を二人とも食べ終わり明日に備えて早めに眠ろうとなり夕顔ちゃんと別れて部屋に戻ってきた。
さてと、明日だね、此処からだよ、姉さん。
頑張らないと…………。
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