32しーの実国のお姫様
しーの実を持って夕顔ちゃんと冒険者ギルドを出た。
ガサガサと音を立てながら歩くのはもう仕方が無いの。
届ける場所は図書館とは反対の方向だね、夕顔ちゃんと場所を確認して向かう。
図書館へ行く前にお昼ご飯食べたいかな。
幾つかの通りを抜けるとなんとなく高級そうな住宅の一角。
此処みたい。
敷地の門を通らせて貰い、夕顔ちゃんと顔を見合わせてからその建物の扉を叩く。
こんにちはーの声と共に。
返事が無い、唯の……とその時に、はいはい。
と声が聞こえてカチャ、と扉が開く。
そこには私から見ればお姉さんぐらいの年齢の方が佇み私を見ている。
柔らかさと凜とした芯がある。
しかしそれは無機質な何かを感じる様な女性だった。
「はい、何か御用ですか?」
「こんにちは、ええと、し、しーの実をギルドの依頼で持ってきました」
「あぁ、ありがとう。んー」
部屋の中、遠くから入って貰いなさい。
と声が聞こえた様な気がした。
「どうぞ、こちらへ…………」
屋敷の中は広く天井も高い。
正面玄関から奥には大きな階段があり二階へと続いていて、綺麗な絨毯が敷き詰められている。
こちらへと案内されたのは正面から見て左の部屋。
そこは見たことが無い作りの部屋で床も絨毯では無く、何か藁のような、緑色の何かが並列している。
低めのテーブルが部屋の中央に置かれ、その両側には余り見たことが無い一人掛けの低い椅子がある。
「どうぞ、お掛けになって少々お待ちください」
と屋敷の方に言われたのでガサガサと移動して座ってみた。
少し堅いけど座りやすい椅子テーブルに日差しが少し差し込んでいて光源、外の方を見るとお庭がありそちらの方を見ている女性の後ろ姿が見える。
その光景を見ていると先ほどの案内してくれた女性がテーブルの上に飲み物を出してくれた。
そしてその隣には見たことが無い……お菓子かなぁ?
「ようこそおいで下さいました、しーの実の件ですね」
「はい。此処で良いですか?」
「どうぞ」
女性に一応了解を取っている夕顔ちゃん、流石わきまえている。
机の上にしーの実の入った袋を夕顔ちゃんと一緒に置く。
計四袋、結構な量になる。
「こんなに集めていただいて、ありがとうございます」
「いえいえ、ロレンの花を摘みに行ったついでですので……」
女性は袋の中身を見て明日冒険者ギルドへ行って依頼完了と話して下さいと私たちに話す。
「しーの実を何に使うんですか? あ、差し支え無ければ教えて下さい」
私は興味が出て聞いてみた。
すると女性は少し考えている。
「つぐね、良いわよ」
こちらの話が聞こえたのか、庭の方を見ている女性が話すと目の前の女性、つぐねさんが話しだした。
「私の名前はつぐねと言います。今回はしーの実を集めて頂いてありがとうございました、このしーの実はまぁ、簡単に言うと未来を観る為に今回必要だったのです」
「…………み、未来を観る?」
「まぁ、予言とか、占いとかそんな感じですね」
「なるほど…………。あぁ、私の名前は朋と言います、遅れましたがよろしくお願いします」
隣の夕顔ちゃんも私に続いて自己紹介をしている。
私が名前を話した瞬間、ほんの少し、庭の方を見ている女性の意識がこちらに向いた気がした。
「あぁ、ごめんなさい。どうぞ、召し上がって下さい」
「「いただきます」」
目の前のつぐねさんはそう私たちに話す。
目の前のお菓子みたいなのが何か気になっていた私は、飲み物を一口飲むと、お皿の上に乗っている
木で出来た様なフォーク? で一切れ切ってみて食べてみた。
「……………………おいしい」
夕顔ちゃんと顔を見合わせた。
何だろう。
凄く、甘い…………でも優しい甘み。
何てお菓子だろう?
「お二人は冒険者なのですか?」
前にいるつぐねさんは私たちにそう聞いてきた。
そう、そうね冒険者かなぁ?
「そうですね、まだ駆け出しですが……」
夕顔ちゃんが受け答えする。
「まだ若いのに、凄いですね」
「いえいえ、何事も経験で……」
「あ、すみません、ちょっとしーの実を運ぶのを手伝って貰えませんか?」
「あ、はい――――」
夕顔ちゃんが立ち上がり、私も立ち上がろうとするとつぐねさんが「すみません、一人で良いので手伝って下さい」と話した。
私は夕顔ちゃんと目配せして夕顔ちゃんが、手伝う事になり部屋をつぐねさんと出て行ってしまった。
「………………」
私と庭を見ている女性の二人の空間になり時が経つ。
その時――――
「少し、こちらへどうぞ……」
庭を見ている女性に声を掛けられた為、少しだけ悩んだけど行ってみた。
声の主の女性の近くへ行くと、女性はどうぞ、そこへ座って下さいと話すので、少しだけ距離を開けて女性の隣へ座る。
すると女性はこちらを見ている。
「可愛い…………」
私はその女性をみて綺麗だなと思った。
気品とか、透き通る感じ、幾つぐらいだろう。
端正で耳が少し長い……。
しかし、目が……。
「お姉さん…………綺麗ですね」
「ありがとう、今はこんなだけど、しっかりと見えているのよ。朋ちゃん」
「そうなんですか。お姉さんは……エルフの方ですか?」
「…………そうね、正確にはハーフエルフかしらね」
「お姉さんは、うーん…………」
「ん。どうしたの?」
「いえ、お姉さんは、以前、私と会った事がありますか?」
「……………………どうでしょうね。それを…………あら、戻って来たわね」
夕顔ちゃんがつぐねさんと戻って来た。
夕顔ちゃんはニコニコしているみたい、何か良いことあったのかな?
「依頼を受けてくれてありがとう、しーの実。助かりました」
「いえいえ。また、依頼があったら必ずやりますね、つぐねさん」
「ありがとう夕顔ちゃん」
依頼を終えて私たちは外へ出た。
終わったね、どうだった? と二人ともお話をした事を話し合い。
色々と凄かったねと感想を話した。
「やはりあれだけのしーの実があれば……」
「あれば?」
「我が国は安泰なのであーる」
「あはは、しーの実国だね」
◇◇◇◇
「如何でしたか…………」
「はぁ…………やっぱり凄いわね。色々と限界だったわ」
「そうですか、やはり目をつむっていて正解でしたね」
「そうね、本気で危なかったわよ、だって、あんなに可愛いんですもの…………もう手の震えが危ななな……」
「……今回はレイ様の方は良かったので?」
「うん。私が勝ったのよ、というか、ごり押しかしらね、悪いけど今回は譲れなかったわ」
「次回のお告げが楽しみですね」
「そうね、また明日から頑張れる、私…………」
「そういえば、お弁当渡しておきましたよ」
「あぁ、バターとイチゴジャムのパンと龍の肉のサンドイッチね」
とある和室の部屋の縁側で話す二人。
彼女達の目的は何か。
関わっている事などを含め、
運命の導きと真実を朋ちゃんもお兄ちゃんもまだ知らない。




