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28受付嬢は皆の目線をかっ攫う

一時間後に宿を出発した私たちはギルドに着いた。


夕顔ちゃん曰く初めは採取のクエストがお勧めみたいとリサーチした内容を教えてくれた。

でも私たちの目的は二つ。


冒険者のランクを上げることと、魔法使いとしての強さを手に入れる事。

となるとやはり何かを倒すクエストが良いよねという話になったが、初めの一回ぐらいは採取でもやってみて少しでも慣れようよという結論に至り今日の目的は採取のクエストになった。


「さてと、冒険者ギルドに着いたね」


「えーとね、私の担当の人の名前はグラ子さんという方です」


「おっけ、じゃあ入って番号票取りに行こう」


ほほー、あれは番号票って言うのか、確か前回はその木で出来たプレートを使ったんだけど違ったんだよね、今回は良いのかな?


夕顔ちゃんに聞いてみたら、へぇーそうなんだと知らないみたい。

この世界は難しく出来ているんだ。

採取のクエストは夕顔ちゃん何回かしたことあるみたいだから、私としては安心安心。


他にはお使いのクエストとか、物探し、ペット探しとか、ちょっとしたお手伝い系などなど色んな種類があって何かを討伐するクエスト以外は一通りやったことがあるって話していた。


私は自分で選ぶのならやっぱり戦わなくちゃいけない気がする。


でも安全マージンは大事って姉さんに教わった。

この前までのミサンガがある状態の私ではない今の私は弱々だ。


うーん、何にしろやっぱり攻撃方法と防御方法を確立しないと駄目かも知れない。


姉さんの教えでは古代召喚術は使い勝手も良いから早めに何かしら覚えるとそれだけでも幅が広がって行くよって話してたし、図書館で調べてから特訓かなぁ。


姉さんを一人にしてはおけない。

一日も早く、少しでも早く手伝いたいし助けたい。


番号標を夕顔ちゃんがもって来たぐらいの所で番号が呼ばれた。

今日はとても空いているみたい。

二人して受付に向かい私は受付のお姉さんに話す。


「すみません。私の担当のグラ子さんに用事があるのですが…………」


「え――――。あ、はい。朋さんですね。解りました。今呼びますのであちらにある五番カウンターでお待ちください」


二人して五番カウンターに向かう。


「凄い。本当に担当官がいるんですね…………朋ちゃん。あなたは――――」


「ん? どうしたの夕顔ちゃん」

「いや、えーと、うーん…………」


夕顔ちゃんは私に何か言いたそうにしているけど言葉に表せないのかそんな仕草、動きをしている。


「おっとっとーお待たせお待たせーおはよう朋ちゃん」

「はい、おはようございます。グラ子さん」


「おや、そちらの方は……っと、まずは座ってーな、二人とも」


席に座りグラ子さんに状況を説明すると解った。

幾つか見繕って来ちゃる! と言って話すがいなや行ってしまった。


遠くでぴょんぴょんと棚の所で跳ねているグラ子さんが見える。

応援したくなる動きは結構、機敏だ。


あぁ、でも短いスカートが……。


ひらり、ふわりと動きと共に跳ねている、受付をしている他の冒険者たちの目は釘付けだ。


男なんてそんなもんよと姉さんは話していた気がする。

しかし、そんな時間はそこまで長くも無くその後、私たちの所に戻って来た。


「ふー。朋ちゃんの初依頼! 色々持ってきたでー、いやー久々に動いたわー、朝から良い仕事したでほんまに!」


「「…………」」


ハァハァと息を切らしているサービス満点なグラ子さんは一汗拭う仕草を入れてから、どゃぁ。

と目の前の机に今持ってきてくれた資料を並べた。


「凄く……多いですね」

「ふーん、色々あるのね。こんなにあったんだ、種類」


「まぁ初めのうちは採取場所が近場の方が安全で良いと思うよ、んーこの中から厳選するとー。…………この辺かな」


グラ子さんが並べたのはどれもサラダエクレアの街から歩いて、三十分以内の比較的強い魔物が現れない場所だった。


「四種類ですね」

「うん。サラダエクレアから東西南北どれかやねー」


「あぁ、私これだけやったこと無いかも、ねね、朋ちゃん。これにしようよ!」

「え、あ。良いよ、夕顔ちゃんに任せる」


「サラダエクレアの東の森林帯付近へ主に自生している植物で名前はロレンの花と言います。主にポーション原材料の一部だね、他にも使い道はあるみたいだけど」


「じゃあこれで!」

「よっし、ではお二人さん、登録証を出してーな」


言われるがままに登録証を机の上に出すとグラ子さんは何か見たこと無い道具を登録証にかざしていた。

かざすとその道具からピッピッて変な音が聞こえた。


「あー。あとこの依頼もどうかな? それをやるんだったらセットでそれもすればお得だよ」


グラ子さんが見せてくれたのは同じ場所付近でよく取れる木の実で、しーの実って実を回収しそれをお得意さんに届けるというお届けクエストみたい。


「ふむふむー、これって幾つでも良いの? グラ子さん」

「うん、幾つでも良いって話だよ」


という事で二つの依頼を受けることになった。


その際に夕顔ちゃんはグラ子さんに担当官について色々聞いていた、話しているうちに、ええで、うちが夕顔ちゃんの担当にもなったる! って話していた。


うん、良かったね夕顔ちゃん。


「あとな、次からは番号標は要らないよ、此処の席のそこ、ボタンがあるやろ? それ押して此処で待っててくれたら誰かしら来るからそーしてな」


大概はうちの耳に入って来るからとグラ子さんは話している。


「一応、依頼は最大一週間迄だよ、本当はこの採取クエストに制限は無いんだけど、付けないと五月蠅い人もおるんよ、よろしゅーな。しーの実も同じで!」


「「はい!」」

「でわでわ頑張ってーな、お二人さん」


ギルドを出て、ちょっと作戦会議しよーという話になり側のエメラルド茶屋でお茶することにした。


「んー。何頼むー。朋ちゃん」


「あー。私はファルナ紅茶にしようかな、夕顔ちゃんは?」

「んんー。ハスラム珈琲にする」


何か持って行く物無いかなって夕顔ちゃんに聞いてみたけど「んー特に……無いんじゃないかな」と話している。


私はポーションを一応二、三本買っておくねと話すと「回復も任せてよ」と夕顔ちゃんは言った。

けど、まぁ予備で持っていても良いかと賛同してくれた。


「そういえば良かったね、担当になってくれるってね」

「そうそう、んー。私の認識違いかもって思っちゃったんだけど、普通は担当官って中々なってくれないのよ」


「え、そうなんだ?」

「うん、多分…………でもなってくれたね。だから良く解らなくて」


「ふーん、謎だね」

「そうなのよ」


「後は、しーの実を渡すのはギルドを通さないで良いから直に渡して来てよって事だから、その人の家まで行かないとね」


「えーと依頼人は東条さんだったっけ?」


「そうそう。まぁ、今日一日あれば十分終わらせられるはずだから、気楽に行こうね、朋ちゃん」

「うん、解った」


お茶の後に近くの雑貨屋さんでポーションの三本セットお買い得品を買ってお昼のお弁当とおやつも近くで購入、準備おっけ、二人で東門へと向かった。


門番さんにお出かけかい? と聞かれたので、直ぐそこの林までお花を摘みにと話すと難しそうな顔で気を付けて行っておいでと話してくれた。


私は多分慎重派。

三回ぐらい気を付けるもん、何をって? そんなの内緒だよ。


私の中の誰かに聞かれちゃう、きっとそれは王子様。


おじさまじゃないよ。


私がピンチの時に駆けつけてくれる凄い人なんだ。

ダンジョンの最深とか、迷宮の遠くとか、大量の敵のど真ん中とかで颯爽と駆けつけて助けてくれる。


好きになっちゃうよね、惚れちゃうかな、うんうん、良いじゃない、夢ぐらい見ても。


姉さんも、私が駆けつける夢を見ていて欲しい。

多分まだまだ大丈夫、時間はある。


私が妄想をしていると採取場所に着いたみたい。

夕顔ちゃんがほらほら、この辺だよって話している。


「へぇー、結構咲いているんだね」

「そうだね。えーと、ギルドで貸してくれた袋、三袋分一杯になったら終了。取り過ぎも駄目なんだって」


「うんうん、おっけーだよ。頑張ろうね、夕顔ちゃん」


私たち二人は森林の近くでお花を摘んでいる。

えーと名前はロレンの花。

摘みかたも良い摘み方があって下の葉が咲いている少し下付近から摘むと良いという話をグラ子さんに聞いた。


大体二時間ほど経過した所でお昼にしよーと夕顔ちゃんの声が掛かった。

お昼はサンドイッチ、近くの丘の上で食べることにした。


「後、一時間ぐらいで終わりそうだね、朋ちゃん」

「うん。それが終わったら木の実だね、夕方の鐘は此処でも聞こえるかなぁ?」


「あー、どうだろう。結構音、大きいからこれぐらいの距離だと聞こえそうだね」


これからの午後の予定とかをお話しながらご飯を食べていたら、ん? あの辺に何か見える。


「ねぇねぇ。夕顔ちゃん……あれ、何だろ?」

「ふぇ? どーれ? 朋ちゃん」


「ほら、あそこ、何か、動いている…………様な」

「んー。あ、あれはスライムかなぁ? うん、多分そうだね。でも、少し色が…………紫、黒いね」


「そっかー、スライムって久々に見た気がする。……でも凄い色だね」


「アレは多分毒とか持っている奴じゃないかなぁ、どうしようか……」

「毒っ。そっか、そんな事もあるよね、今度から毒消しも用意しようっと」


「私も、毒はまだ、直せないんだ……近づかなければ害は無いから、放っておく? 朋ちゃん」

「そうだね、下手に遠くから攻撃しても失敗したら大変だしねぇ」


「うーん……まほー。ううーん、やっぱり火かなぁ……」

「え? 夕顔ちゃんやるの?」


「あれ倒さないと、しーの実拾えないし、残りのお花摘むのも気になるし、ふむー」

「そっかぁ、うん、そうだね、じゃあ私がサポートするよ。夕顔ちゃんの攻撃が効かない場合とか、何度か避けられていたら私が攻撃するね」


「うん、それで行こう。あとは……全然効かない場合は逃げよう。それと早すぎて当たらない時も逃げよう……そんな所かな?」


「おっけ。解ったよ夕顔ちゃん」


私たちはゆっくりと距離を埋める。

スライムはふよふよしている。

目配せして此処から狙おうとして、夕顔ちゃんが呪文を唱える。


「この世界にある万物の源より――――力を我に示せ。ファイア」


夕顔ちゃんから発せられた呪文。

ファイアは敵、スライムへと良い早さで一直線に向かう。


しかし、当たる瞬間スライムは跳ねる。


「なっ!」


一瞬だけ、こちらを見た気がした。

再び朝顔ちゃんが詠唱。


魔法を放つ前に敵、スライムは逃げてしまった。


「……………………」

「うん。おしかったね、夕顔ちゃん、あれを躱されるなら仕方が無いよ」


「…………そ、そうだね、あれは――――早かった。結構、私の会心の魔法だったんだけどなぁ……タイミングとか、全部」


ありがとうございました!

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