27可愛いあの子は夕顔ちゃん
朝起きて受付のある一階で朝ご飯を食べた。
此処でも朝ご飯は泊まると付いてくるらしい、適当にチョイスして窓際にの席に座る。
いただきますと食べ始めると同時に結構混んできて、相席良いですかと年齢が近そうな可愛らしい女の子に聞かれた。
はい。
どうぞと私は話して再び食べるとその女の子が話しかけてきた。
「すみません、此処に昨日か今日来られたのですか?」
「…………はい、昨日です」
私は突然話しかけられて、もぐもぐしていたが何故か日にちを特定された事に気がついた。
何故だろう。
「あ、やっぱり。私は結構此処に長く泊まっていて初めて見かけたのでご挨拶をと……」
「…………なるほど、どれぐらいの期間泊まっているんですか?」
「もうすぐ半年になります。もう此処の宿ではきっと誰よりも長いですよ」
「そうなんだー。私も長期で何処かに住もうと思っているんだけどちょっと考え中なんです」
「へぇー、私は来年丸々まで此処の街で暮らしてから次の年の魔法学校に行く予定で言わば修行中なの。……もしかして同じかな?」
「ああ、私も似たような感じです、ええと……私は朋といいます」
「あ、ごめんなさい、私は夕顔。よろしくねー朋ちゃん」
「よろしくです、夕顔ちゃん」
「朋ちゃんはどれぐらい魔法覚えた?」
「ええと、私は基礎だけですよ」
「ていうと、ファイア、ウインド、アイス、サンドかな?」
「うんうん」
「そっかー、私も同じぐらい。最近その先の魔法とか、回復魔法を覚えたりしてるんだー。後は護身的な意味での剣術とかね」
「あぁー。やっぱり必要ですよね、剣術。私も少しですけど教わりました。……回復は故あって覚えられません」
「そうなんだー。結構便利だよ、回復魔法。薬草に回復ポーションも要らないで済む事多いし」
「なるほど…………私は姉さんに……あ、私の師匠に禁止されていて」
「へぇー。そんな事あるんだ、初めて聞いた。まぁでもあくまでも便利ってだけだしね、凄い怪我とかは専門職の僧侶とか賢者、聖女とか以外直せないだろうし」
「この前初めて戦闘したんで、もうそろそろ上の魔法も覚えなきゃって思ってて……」
「おおー。もう戦ったんだ、凄い。やっぱギルドのクエスト絡み? スライムとか、コボルトとか、虫系とかの」
「あ、この前の、ゴブリンです」
「ええー。ほ、ほんとにー? 私も参加してたんだけど、支援側だったからなぁーあの数はほんとうに。あ、私の人生終わったかもって本気で思ったもん」
「凄かったよね」
「そうそう。聞いた話だと八千体以上いたらしいし、この街壊滅するっしょって、言う人も多くて、逃げ出している人も結構いたよ、あの時」
「私も殺されるって本気で思って戦った、あ……」
私は色々な事を思い出し突然、気持ちが悪くなって口元を塞いだ。
お食事はもう食べられない。
…………よそったけどごめんなさい。
「あ、ごめん、ちょっと悪い事、聞いちゃったね、もうこの話は止めよう」
「ありがとう。まだ色々と消化出来なくて…………」
「そっかぁー。でも仕方が無いよ、あんなの生きていても、そうそうお目にかかれないよ、それ位には珍しい、レアなイベントだったらしいよ」
「そうなんだ……」
「何でも十数年に一度とか、しかも何処で起こるか解らないから対策の仕様も無いし、しかもこの街有数の強さを持っている人達も他の街や何処かに遠征に行っていたり、様は凄く手薄だったみたい。この街」
「なるほどねぇ…………でももうあの光景は見たくない、とは言えないけど、余り見ていて良い物では無かったから…………」
「あー。そうなんだ、そんなに凄かったんだ…………でも、それでも戦闘の経験は貴重だと思うよ!」
「あ、うん。そうだねそれはそうかもしれない。私の目指す物はその先にある事は間違いないから」
「ふーん。何か良いね、ねえねえ朋ちゃん。私と一緒に冒険者ギルドのクエスト一緒にやってみない?」
…………何でも、夕顔ちゃんが話すには、この街に後一年半ぐらいはいるから冒険者ギルドのランクを上げたいみたい。
ランクは無名から始まって、Fランク→Eランク→Dランクと、どんどん上がっていくらしい。
Bランク位になるともう街に数人という感じで、それ以上はこの国でも結構名が通った人達という感じみたい。
姉さんはどうだったのかなぁ?
「私は一度だけAランクの冒険者を見たことがあるんだけど、もうね、オーラが凄かった。ぴっかぴか、うわー目がやられるーってぐらい人生が輝いていたよ」
「ふむむ、とっても凄いんだね」
目をキラッキラッと輝かせながら、夕顔ちゃんは私に話してくれた。
「どうかな? 朋ちゃん。一緒にやってみよーよ! あ、もしやってみてさ、何か上手く行かないなーとかだったら止めても良いし、ねっ。長くても一年半だよ、どうかなぁ?」
「うーん、まだ私……何もしたことが無いから足、引っ張っちゃうかもだよ」
「それは全然良いよ、私もそんな自分に自信は無いし。……でも少しでも経験を積んでから学校に行きたいんだ。ねぇーやってみよーよー。私と一緒にぴっかぴか目指そうよー」
「ええっ。そんな所まで目指すの!?」
「あは。それは冗談だよ、でも良いでしょ? 目指すのは、ね!」
「それは――――そうだね。私も目指すところは結構遠い場所だし……うん、誘ってくれてありがとう。……こんな私でも良ければ、お願いします!」
「よよっ。よしっ! きまり! わーい、ありがとう朋ちゃん。私、結構人を見る目はあると思うんだ。実は、それが私の才能だから!」
「え…………それって、もしかして? スキルの事?」
「あ、えーーあーうそうそ。あーごめん嘘じゃ無い、実はそうなの。……でも項目のことは話さない方が良いって、お母さんに言われててね」
「あー。……ごめんなさい、そうなんだ……私も知らないというか、私って何にも知らなくて…………」
「大丈夫だよそれぐらい、じゃあ早速今日行ってみようよ冒険者ギルドに」
「あ、うん。私どのみち今日行く予定で、担当の人に会うつもりだったんだ」
「え? 担当の人…………」
「うん。担当の人」
「それは…………んー、まぁ良いか、じゃあ用意して一時間後に行こうよ!」
◇◇◇◇
朋ちゃん大丈夫かしら…………。
「すいません。カローラ様」
「あら、ロイ。どうしたの?」
「実は昨日いや、朝方なんですが、ゲストが居た部屋に何かが侵入しました」
「…………! ほ、本当に? あそこに入ったの? そんな事があり得るの?」
「はい。私も昨夜の担当で、気がつかなかったのですが、さっき帰る前に部屋のログを見ていたら何処かの異空間から何かが入り込んだのです。……おかしいと思ってもう少し解析に回して調べてみたら、あのですね……小さなバッグがあの部屋に侵入しました」
「ん、ん? バッグ? 物だよね? それ?」
「はい――――朝方にゲストが起床した際の言葉に、これ、私のだ、神さまありがとうと独り言の様に話していました」
「…………えっと、い、一応報告しておくわね、多分バッグはどうでも良さそうだけど、あの部屋に侵入を許したという事が許されない気がするわね、やっぱり神さまでも」
「…………そうですよね」
「うん。あの部屋はこの国の技術というか、魔法、魔方陣などの掛け合わせた結晶の部屋みたいなものだから、あの部屋に侵入できる人間が仮にいたとしたら、この国は王族に至るまで丸裸みたいな状態って事だから、これは問題ね。……とりあえず、報告書と始末書も書いておいて、私も付け足すから…………」
「畏まりました、カローラ様」
こんな所で変な問題になっていたが、結局この真相は誰にも分からなかった。
種明かしがされるのは、数百年後。
とある天才児の出現によって。
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