25朋ちゃんポイントとギルドマスター
夕ご飯を食べた後にカローラさんは来てくれた。
「こんばんは。ちょっと今日は遅れちゃった、お話はどうでしたか? 朋ちゃん」
「はい、悩んでたことが大分スッキリしました。それでなんですが、明日、此処を出ようと思います」
「――――そうですか、どうなさるのですか?」
「ええと、まずは何処に住もうか考えています。この街に当面いる事にしようかなぁと……」
「それは良かった。あ、決まるまで此処にいてくれても全然大丈夫ですよ?」
「じゃあ、もし、決まらなかったら、出戻りしますね」
「うんうん、えーと、家を借りるのか、若しくは泊まるところを探すか、それか、住み込みって考えもありそうですけど何か、決めたのですか?」
「あ、えーと、とりあえずは宿を探して、冒険者ギルドでクエストをしながら、ですかね」
「そうですか。何かありましたら、此処を頼って下さいね。私は此処の住み込みなので大概はいますので何時でも相談に乗りますよ」
「ありがとう、カローラさん。あ、そういえばカローラさんは魔法使いなんですよね?」
「えぇ一応……ですけどね。そんなに優秀では無いですよ」
「新しい魔法や、上のレベルの魔法ってどういう風に覚えました?」
「え…………あぁ、はい。ええとですね私の場合は実家で少し教わり、その後スクールというつまり学校に行きました」
「そうですか。私は、姉さんに教わっていたもので、どういう風に覚えていこうか考えていました」
「朋ちゃんは今十四歳でしたっけ?」
「はい」
「スクールは基本、十五、十六歳からなので……来年以降ですね。一応例外的ではありますが、年齢に達していなくても試験を通れば何歳でも入れます。そして通常は二年から三年で卒業で、それ以上は研究をしたい者が契約などにより学園に残ったり、先生を目指したりと様々ですね」
「なるほどー、この街にもあるのですか?」
「一応ありますが、行くのなら王都か、パスタメールの街のスクールどちらかが魔法に強いから良いと思います。此処からだと距離は同じぐらいで、どちらも馬車で一週間程です」
「そうですか、ふむふむ…………」
「おすすめは図書館で昨今のスクール案内という本を読んでみると良いと思います! 特色が載っていますよ、私が在籍していた頃と比べると両スクール共に変化はありますから…………」
「それは良いですね! ありがとうカローラさん」
もう結構良い時間になったためお開きにして明日午後に此処を出る事をカローラさんに伝えた。
名残惜しいけど、自分で何とかしていこう。
今日は色々なお話が聞けて良かった、明日も頑張れる。
タッタララーン…………私の中で音が鳴った。
ん? どゆこと? しかし私は盛大に寝ている。
ぐうぐうのすやすやー。
『…………突然何だよもう』
朋ちゃんポイントを手に入れました。
Tポイント(朋ちゃんポイント)を使用しますかY/N
『なにこれ? 突然タッチパネル現れたんだけど?』
『朋ちゃんポイントって何? うーん、えーと…………Y』
→朋ちゃんにプレゼントをあげる(ちょっとした物)
朋ちゃんのカメラを増やせる(メインもサブもあるしズームも出切るよ)
朋ちゃんに話しかけることが出来る。睡眠時ね(一日三分間ぐらい)
朋ちゃんの思考を誘導する(口八丁で捌け。上手くいけば誘導成功)
朋ちゃんに悪戯する(もう戻れないよ?)
朋ちゃんに勇気を与える(紳士的、優しいお兄ちゃんで行こうぜ)
朋ちゃんを洗脳する(????)
朋ちゃんに(此処を作れる)
朋ちゃんとレトロゲームを楽しむ(おじさんと平安京エ○リアンでもどうだい?)
朋ちゃんにエッ○を教える(慰めてあげよう、おい。人として止めとけ)
朋ちゃんと合体(○万年とかなんとかかんとか……)
朋ちゃんと感情を共有出来る(嬉しいとか恥ずかしい等を共に感じることが出来る、意識もね。上級者向け)
『…………なにコレ? えー、何々……………………うん。これは酷い』
説明文? 朋ちゃんが君を受け入れるのは現状、無理です。
どうにかして少しずつ耐性を付けさせましょう。
どんどんレベルを上げてTポイントを手に入れて項目を解放させよう、君だけの君になれるよ。
『キモ…………いや、落ち着け、俺がキモイから仕方ない(心理)。でももう少しあるだろ? 方法がよぉ』
『だがある物は使わなくてはいけない(貧乏性的な)』
『あーでも流石にそこまでするのは人として…………へっへっへ(ゲスの予定調和)』
『矢印は下がらない、ん、初めはプレゼントとか、良いね! 頑張っている娘にはプレゼントはあげないとね(ぽろん)。という事でぽちっとな』
『おい…………何もおきないぞ?』
『俺、騙されたか?』
『まぁ、良いよ。どうせそんなことだろうと…………チラッ』
『いじけるぞ? おい』
『……………………』
ポスッ。
『突然ベッドに何か落ちてきたぞ? 空間から? なんだこれ? 暗いから余り見えないな。んー、バッグか何か、かな? 明日になれば解るだろう』
「ふぁー、またのご利用お待ちしています…………」
あふぁ、朝みたい。
むにゃむにゃ……もう起きなきゃだめ?
あれ? 何か、足に当たる、何だろう……でも眠い。
ん? でもきになった、うん、起きよう。
「…………あ!」
足下には私が無くしたバッグがある。
「え? なんで? 本物なの?」
私はバッグの中身をみてホッとした。
「コレ、私のだ…………でも、どうして?」
中には姉さんの手紙とカラスの羽根とかも入っている、残念ながら登録証は無いみたい。
「んー神さま。ありがとう」
これは奇跡だ。こんな時は感謝しよう! 私は盛大に神さまへ感謝した。
……さてと、とりあえず私の荷物はこんな所。大して無いのよ。少しの間だけど、このお部屋にはお世話になった。お掃除終わって準備出来たよ。
まずはこの街、サラダエクレアの宿が多くある所へ行ってみようかな。
あ、その前に冒険者ギルドへ行って登録証を貰わないとね。
それからお宿かなぁ? 面倒でも宿を決めて、お食事出来る所を探して、それからもう一度冒険者ギルドに行こう。
時間次第では最後の冒険者ギルドは明日でも良いよね。
よしっ、おっけー。
後はカローラさん来たら行こうかな。
「…………寂しくなったら戻って来て良いんだよ? 朋ちゃん」
「うん、大丈夫だよ。私、頑張るから、でもありがとうカローラさん」
カローラさんは私を気遣ってくれた、でも私にはやらなければいけない事が幾つもある。
此処にいたら甘えてしまいそう。
そうなんだ。
進め、すすめ、少しでもー。
すずめ、からすー、かなめだよー。
…………また、姉さんが歌っていた何かを思い出した。
変な元気でた、うん、これで良い。
此処に来て初めて外へ出た。
私の数日間暮らしていた場所は地下施設で箱の中に箱の中に箱みたいな変な作りのお部屋だった。
なんだろこれ? なので三回扉を開けて閉めてを繰り返し、その先に階段があった。でもその前にも鉄格子の扉があった。
どんだけ厳重なんだろ……と思わざる終えないぐらいの、部屋? だった。
階段を上るとそこはお外かなぁと思った私はやはり駄目みたい。
床には何かの魔方陣が描かれている、部屋中に。
その部屋の出口をカローラさんがノックすると扉が透明に変化した、そして外にいる人が何か魔法の呪文みたいなのを詠唱して扉が開いた。
その先に普通の扉があってそこを出たらお外だった。
「では、行ってきます」
「…………行ってらっしゃい」
外に出るとそこは普通の一軒家みたいな作りだった。
大きさも少しだけ大きいぐらいで、中の構造がこんなになっているなんて外から見ても絶対に解らないよ、こんなの。
私は自分の中で命名したよ、びっくり箱ハウスと。
何時か、何時か姉さんに話すんだ。
こんな凄い場所に泊まれたよって。
ちょっとしたお庭を通り、門を出た所でカローラさんに手を振った。
さてと、冒険開始。
カローラさんにさっきこの街の地図を貰った、これがあれば案内板を見なくても済みそうだ。
便利だね。
他にも変な筒とか食べられない金平糖とか、良く解らない物を幾つか貰った。
きっと凄い武器なのだ、えっへん。
冒険者ギルドは此処を曲がってと、うん、見えた。
あの建物みたい、とりあえずは登録証貰わなくちゃ。
扉を開けて中へ入る。
あれ、何か忘れている様な…………気はしない。
では一体何だったのか? あ、アレか。
誰にもぶつからなかったよ。
って当たり前じゃー。
私の頭の中で誰かが掛け合いをしていた。
そういえばこの街ってどれぐらい大きいんだろう? 地図見るだけではわかんないね。
とりあえず冒険者ギルドの大きさは同じくらいな気がする。
受付は…………えーと、良くわかんない、こういう時は観察に限る。
私はじーっと人々を観察していた。
直ぐに一つ解った事があった。
此処の冒険者ギルドへ入った人は必ず、あの箱から何か取っている。
そしてギルド職員のお姉さんは番号を叫んでいる。
そして箱の中身を見に行くと番号が書かれた木のプレートが入っていた。
これは確定。
見切った! とばかりに私も一枚、優雅に手に取り番号が呼ばれるのを周囲を見ながら落ち着いて待った。
ふふん。
三百三十四番さん――――――――
私は可憐に席を立ち呼んでいる受付さんの所へ行く。
「今日はどうされました?」
「ええと、登録証を無くしてしまって…………」
「はい、再発行ですね。それでしたら、受付が違うのであちらの窓口に直に向かってください」
「…………ありがとう」
私は気を取り直して教えて貰った受付へ向かい、別の受付のお姉さんに用件を話した。
「はい。ではお名前を――――」
「ええと、朋と言います」
「では住所を…………は、言わないで良いです、朋さんですね、承っております。こちらへどうぞ…………」
私は承れていたらしい? こちらへと案内された部屋の前にクールビューティーな受付のお姉さんと一緒に向かった。
お姉さんがノックをしてゲスト様をお連れしました、と扉の向こうへ話している。
「おう。良いぞ」
お姉さんが扉を開けるとその部屋には、いかにもな屈強そうな男性が一人。
そしてこちらを見ている。
受付のお姉さんは目の前の男性に少し頭を下げると私を置いて行ってしまう。
いかないでー。
扉も閉めてしまった。
しめないでー。
……………………目の前の男性は私をその間もじっと見ている…………そんな感じのお見合い。
もうどれぐらいの時間が経過しただろうか?
私は何処からか変な汗が出ている気がする。
しかし男は何も言わない。
唯、ずっと、私 を 見 て い る。
私は根負けというか、この状態、空気に絶えられなくなって声を掛けた。
「おとうさん」
「は? いや、違うから…………いや、違うだろ?」
「ごめんなさい、私が言葉を間違えました。全然違う言葉を言おうとして、何故か間違えました」
「ぶっ。…………そ、そうか、まぁ、小さい頃には良くある話だ、気にするな」
私が言葉を間違えて更に微妙なカオスちっくな空気になった。
ど、どうしようこれ、私はとりあえずもっと逃げたくなった。
もう限界は近い。
お腹痛い。
「…………」
「……………………話は聞いている、そこの机にある銀盤に指をかざせ、用意はしておいた。数分で出来るから」
「…………ありがとう、知らないおじさん」
「言い方よ……」
「……ごめんなさい、何か噛み合わなくて」
調子が狂いっぱなしの私は指をかざした。
確か前回はこれで気絶した様な…………
「どうした?」
「あ、はい。大丈夫みたいです」
「お前のことは色々と聞いている。何か、困ったことがあったら此処を訪ねろ、悪いようにはしない」
「色々…………解りました、ありがとうございます…………」
良いようにしてくれるらしい、屈強そうな人が。
「今日の所はこれで終わりだ。受付で待て」
目の前の屈強な男が壁を二回叩くと先ほどのクールビューティーな受付のお姉さんが来た。
「ではこちらへ…………」
「これは、中々な上物だ、姉貴よ…………運命は紡がれたな」
一人、先ほどの来訪者の言動に対して、思い出し笑いをしていた屈強な男は後で名乗るのを忘れていた事もついでに思い出し後悔していた。
ご拝読頂きありがとうございました!




