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24国の歴史と魔女に対する者、勇者

「はぁ、少しだけ。楽になった」


あれから同じ事をずっと考えて考えて、どれぐらいの意味があるのかを考えた。

結局、私は後悔しかしなかった。


大体三時間に一回、定期的にカローラさんは来てくれた。


国内の地図も持ってきてくれたので此処がどの辺だかもやっと解った。

その後、カローラさんから今日此処の責任者の人が会いに来る事を私は聞いた。

その時は私も立ち会いますのでとカローラさんは話してくれた。


その日の午後になって責任者の人が会いに来た。


「こんにちは、初めまして」


「あ、こんにちは…………」


「私は此処の責任者でシグレナルと言います。よろしく」


「わ、私は朋といいます。よろしくおねがいします」


「ええと、早速だが、体調はどうかな?」


「はい。おかげさまで、だいぶ良いです。気持ちも落ち着きました」


「そうか。君はサラダエクレア、此処の街の西の平原。ゴブリンの大群が現れた側に倒れていたんだよ」


「あ、はい」


「その時の事を覚えているかい?」


「ええと、はい。意識を失った様な、失うまでの事は覚えています」


「ふむ。良ければその時の事を教えてくれないか?」


「私が解る限りなら…………」


「うん。それで良いよ」


話し相手の此処の責任者の人にあの時の事を話した。

魔女の住処へ戻ろうとしたら、何故か此処へ飛ばされた事。

姉さんの使い魔が私を助けてくれていたこと。

私が何十体かはゴブリンを倒したことと。

私以外の何かが途轍もない攻撃をゴブリンに対し行っていた事。

これらを解る限りで話した。


「なるほど。大変だったね、朋。…………君はこれからどうしたい?」


「…………私は、姉さんのいる場所、魔女の住処へ帰りたい」


「そうか。解った。今度、私は三日後にまた来るから、そこで私が話せることを資料と共に話そう。それを聞いて、君はどうしていきたいか考えてくれ」


「――――――――はい。解りました」



 ◇◇◇◇



「――――閣下」


「おう。待っていたぞ、シグレナル。色々と状況が解ったようだな」


「はい。資料をお持ちしましたので、状況も含めて報告させて頂きます」


「解った。何か飲むか?」


「ええと、ではエクレアナッシュ水で」


シグレナルが答えるとダイソアルは従者に用意しろと話した後、シグレナルから資料を受け取った。


「では、あの子供について、説明します。名前は朋と言い、魔女の住処の見習いでした」


「ほう。それは…………アレだな」


「はい……で、その朋ですが、その日、魔女の住処へダイラックから戻る時、閉じられた空間に拒絶された様です。この辺の真意は解りませんが、弾かれたとか、拒絶とかでしょう。その時に丁度『ゴブリンキングの逆襲』が行われていた場所サラダエクレアの西の平原へ飛ばされた様です。それから、その場所でゴブリンの大群と戦闘になり悠久の使い魔と戦ったとの事です。なお、高火力の攻撃魔法は本人の意志では無いとの供述がありました。突然に自らが攻撃はしているんだけれどもそこに意志は無かった様です。本人、朋はその攻撃を間近で見てその状況下で気を失ったそうです」


「…………そうか」


「――――――――現状は脅威にはならないかと思われます。が、何からその攻撃がされたのかによっては今後、変化はする可能性が残されています」


「ふむ。悠久絡みの攻撃か、本人の中に何かいるか、全く別の何か、そんな所か?」


そうですねとシグレナルは話し、届いたエクレアナッシュ水を一口、二口と飲み説明を続ける。


「そして朋、自身ですが、魔女の住処へ帰ることを望んでいます」


「それは――――現状無理だな」


「そうですね、半年前に悠久から届いた文章を見る限りは誰も近付けないでしょう。最長で二百年」


「そう。悠久は今、我が国の負の遺産、いや、勇者である碧の者ブルーギアスタスと朱の者レッドシルヴェス。この二人を抑えている」


「恐らくですが、朋はその事を知らされていない、そして魔女の住処の歴史も知らないのでしょう」


「そういう事か。それは別に何時か解ることだろう。教えてやれ。シグレナル。現状を知った上でどうするかを考えさせよう、魔女は勝手に動く者だ」


「解りました」


「そうだな、何か、必要な物や何かしらあれば、助けてやれ、悠久絡みは後々響くかもしれん。お前でも判断が付かない事柄は俺に回せ、今回、俺が会う必要は無いと判断する」


「畏まりました、その様に致します。解放してもよろしいのですか?」


「良い。身元も解ったし状況的に拘束の必要はなかろう。他に何か判断が必要な事が解ったら直ぐに連絡をくれ、物によっては急ぎも考えられる案件だ、手は回しておく」


「はっ――――――――」


「そういえば別件だが、姫の居場所がというか、目撃情報が久々に上がったそうだ」


「それは…………一年振りですね」

「まぁ、捕まらないがな」

「でしょうね。あの方も魔女と同じ、同類です。それは仕方が無い事でしょう」


「そうなるな。だが、そろそろ一旦、帰って来て貰わないとなぁ…………困った人だ」


ダイソアルが困ったと話しているのを本気で言っていない事を知っているシグレナルは何も言わなかった。



 ◇◇◇◇



はぁ…………。

こんなんじゃ駄目。

何かしないと姉さんに怒られる、でも怒ってくれる姉さんがいない。


姉さんに会いに行こう、行けない……怒られない。

駄目でも良い…………駄目みたい、私。


やっぱり、前向きに考えるしかない。

此処のご飯は美味しいし。


確か姉さんか父さんかが歌ってたよね。

ええと、倒れるときは前のめりー前のめり。


うーん、忘れた。


私、姉さん程、歌、好きじゃ無いみたいだね。



そうだなぁ……何か、目標を立てよう。

何かあるかなぁ…………。


「あ、魔法を頑張ろう。あとは召喚術も、それでそれで…………あれ、なんとかならないかなぁ」


魔女の住処へ入れなかった。

弾かれた、でも閉じられた空間には一瞬入れたよね。

結局、閉じられた空間に、あの先に……何かあるのかな。


…………姉さん教えてよー。

あ、みゃー子先生もしかして、知らないかなぁ、今度図書館へ行こう。


よっし。


前向き前向き、今日も頑張ろう! と言っても私は此処から何処へも行けないみたい。

何でだろ、あの人、そう……ええと、シグレナルさん。


あの人に頼めば良いのかな、後でカローラさんに話してみよう。


と考えていたら、ノックの音がした。

カローラさん来たみたい。


「…………どうぞ」


「はい。今日の調子はどう? 朋ちゃん」


「ええと、何もしていないからかどうしても考えが後ろ向きで、でもご飯が美味しいので、少しでも前向きにしようとしている所です」


「…………そうですか。今日は午後にシグレナル様がお見えになります。相談してみては如何でしょうか?」


「そっか、あれから三日経ちましたね。ありがとうカローラさん。相談してみます」




今日も美味しくお昼ご飯をいただいた。

何もしていないのにご飯が出てくる生活。


何か本能に訴える魅力か何かがあるよ。

何故だろうね…………。


私は人生と食について考えているとノックの音がした。


「…………どうぞ」


「やぁ。こんにちは」


「はい。お待ちしてました。シグレナルさん」


「三日振りだね…………何か不自由でもあったかい? 朋」


「いえ。不自由はしていません。唯、此処に居ても何もすることが無くて」


「そうか、それは済まなかったね。でも今回、君が欲しい情報を教える事が出来ると思うよ。数日待った甲斐もあるぐらいのね」


シグレナルさんはそう言い一冊の本を私に渡した。


「これはお土産だ。掻い摘まんで本の内容は今から話すけど、詳しくは君自身がその本を読んで考えて欲しい」


「これは…………」


「まぁ、この国の歴史の一部『碧と朱。奇跡の勇者とその代償』という本だね君の家、魔女の住処の事と魔女についても良く書かれている」


「この本…………あ、図書館だ。何処かで見たと思ったけど」


「そうだね、この本は結構歴史書としても人気もあるね」


「どういう内容なんですか?」


「……少し、長くなるよ。…………君の所のお姉さんは七代目魔女の住処の当主でメルヴィッセ、又の名を悠久という。その悠久から遡ること何年か、四代目の魔女アリアン彼女の時代からのお話なんだけど、その時代、魔女が敵視される事柄が多くあって歴史もあった魔女の住処の魔女も例外なく人々から敵視された。同じ時代に生きた勇者、碧の勇者ブルーギアスタスと朱の勇者レッドシルヴェスは人々の意志という世論に押される様な形で魔女の住処の魔女に戦いを挑んだ。勝負はなんだかんだで互角。両方とも決め手に欠ける戦いだった。幾年もの歳月を戦う事になったが決着は付かない。そんな時に、魔物や魔族が現れこの国を攻撃し出した。その情報も戦いを起こしている両サイド、勇者と魔女にも報告された。そして動いたのは魔女。勇者の二人を次元の狭間の遠くへと飛ばし、その後で魔物や魔族を撃退したらしい。結局、どちらに正義があるか、どちらが悪という訳でも無く、時代に翻弄された人々がいたんだ。しかし、勇者の二人は面白くない。時間を掛けて次元の狭間から戻ってきてみれば時代も変わっている、歴史として扱われているその出来事も魔女が正しいと解釈出来る。自分たちの存在意義を賭けて二人は魔女と戦う事にした様だが、次の魔女、五代目当主サノバは先代が行った様に見るやいなや再び次元の狭間へと飛ばした。それに怒った勇者は――――という様な因縁なんだよ」


「という事は、姉さんは…………」


「そう。今回も同じく勇者二人との戦いなんだけど、前回までとは違い今回、何度挑んでも次元の狭間に飛ばされる勇者の二人は別の力を手に入れてやって来るらしい。その事が先見の姫から伝えられ、今回の魔女、メルヴィッセも対処を進めた。その対処が魔女の住処に閉じ込める事だったんだ。勇者を倒す選択肢もあったらしいんだが、今回、彼女は二百年封印するという道を選んだ。その事を彼女は国の幾つかの機関へと終わらせる旨の手紙を送った。そして私たちが今の状況を掴んでいるという事なんだ」


「そんな。姉さん…………」


「もう今の人々にとってはどうでも良い事でもあり、そんな事が未だに行われているという事、事態が嘆かわしい、勇者に矛を収めて欲しいというのが願いであり、現状でもある。勇者も中々の良い年なんだけど、次元の狭間にいたから年は取ったとはいえまだまだ現役ぐらいの年なんだよ、そこをメルヴィッセが二百年閉じ込める事により確実に終わらせるという強い彼女の意志の現れでもある。もう勇者との話し合いは幾度も決裂しているからね。どちらが正しくてどちらが悪という話では無く唯の人の意地の張り合いが近いかな。そんな話なので人々の解釈も異なるしどちらがどうとかって話ももう今更な歴史なんだよ。詳しくは本に書いてあるから、読んでみてくれ。読む人によっても解釈は変わる。君は魔女の住処に近しい人物だから、どうしてもそちらの目線で物事を見るだろう、それはそれで良いと思う。そういう物でもあるんだ。この歴史は」


「…………そうだったんですね」


「あぁ、なので君が仮に魔女の住処へ帰りたいとなると、様々な物をクリアーしないと帰れないだろう。これもメルヴィッセの意志なんだよ。恐らく、彼女の事だから、君に全く伝えないという事は考えていないとも思う。何かはあるだろう。しかし、彼女がそれを望んでいるかは微妙な所だろうね、きっと。朋、君の幸せを願うとも考えられる。彼女はそんな人だよ? これは私の所見だがね」


「私は…………それでも姉さんに会いたい」


「そうだね。それも理解出来る。それは君の意志で良い。基本的に我が国、エスタリアス国は君に協力する。まぁ、よっぽどの不具合が出ない限りは君の見方だよ。魔女の住処の魔女達にはこの国は世話になった。君にもね。唯、勇者達にもそうと言えばそうなのだよ。なので例えだと君たち寄りのレフリーと言った所だろう。もう正直どうでも良い事柄なんだけど、この国の歴史だからね。放っては置けない。しかし関わり合うのもという微妙な所のさじ加減なんだよ。実際は。まぁ、ここが大人の汚い所なんだけどね」


「それでも、感謝します。私の目的は姉さんに会うこと。決めました」


「解った。何かあったら相談に乗ろう。基本。此処の家に来ると良い。私に繋がる状態にしておくから、

まぁ、それとは逆に目処が付いたりしたら、連絡も欲しいけどね」


「はい。解りました」


「という事で、今日以降、何時でも此処を出られる様にしておくよ。一応、君のことはこの街、サラダエクレアの冒険者ギルドのギルドマスターには話をしておく。そちらも何か困ったら相談すると良い。少しは融通してくれる筈だ。とりあえず、登録証も再発行して貰うと良い。手続きはしておいたから、君が指をかざしに行くだけで再発行されるよ」


「ありがとうございます。シグレナルさん」


「私たちは、朋。君が途方も無い程の魔法使いになると予測している。なので君との関係を壊したくないのも事実なんだ。……だからと言う訳でも無いが、この国に何かあったら手伝って欲しい。できる限りで良いから」


「わかりました。私に出来ることなら…………」


「では君の目的が叶う事を願っている。機会があったらまた会おう」


「はい――――色々とありがとうございました」


シグレナルさんに色々な事を教えて貰った。

そのお陰もあり私の目指す道が少し見えた気がする。


そして本も読ませて貰おう。何か、何かが参考になれば良いんだけど。


後は、冒険者ギルドで登録証を作って、んー、やれることが突然多くなった。

今日…………いや、明日から動こう。

カローラさん来たら話をしておかないと。

後は家だね、うーん。


当面はこの街で暮らすのが良い気がするし、少し慣れたダイラックに戻りたい気もするけど。

そこは割り切って頑張ろう、私。

ご拝読頂きありがとうございました!

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