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15きりがとても良いので歌います。そしてゲームは始まった

今日もトレーニングは続いている。どれぐらいの日にちが経過したかなぁ。もうすぐ二ヶ月ぐらいかな?

姉さんに課せられたトレーニングも大分慣れてきて疲れや身体に痛みを感じることも少なくなってきた。


「うん。これなら…………」


姉さんはその日ぼそっと話していた。午後の座学では此処、魔女の住処の事と召喚システムについて、そして古代召喚術の授業に入った。


「この特訓も残すところ後一ヶ月ぐらいね。という事で今日も始めるわよ」


「此処、魔女の住処の経緯について話すわね……現在、私が此処を継いで魔女の住処の当主となっているわ。先代は私のお婆ちゃん。それより前の当主は私とは血の繋がりは特別無いの」


「魔女のスープでは繋がっているけど。あれは代々継ぎ足して行く物だからね。此処はそこまで歴史的には古くは無いけども私で七代目なの」


「朋ちゃんが何時か此処を継いでくれれば貴方は八代目になるわね。まぁ、どちらにせよ先の話ね。初代の魔女リアノはまぁ簡単に言ってしまえば好きでも無い相手に嫁ぐのが嫌で此処を作ったみたい。二代目は何かの偶然で此処を見つけた小さい指姫のカヤ。三代目から七代目の私に至るまで。……それぞれの先代が一つずつ構築していって今の此処があるの。そして何時からか魔女の住処と人々に恐れられた時にそれは起こったの」


「当時の勇者が世論をたてに此処に攻め込んできたの。四代目の魔女アリアンはこれを撃退した。けれど勇者を次元の彼方へ飛ばすことが精一杯だったの。……五代目と六代目の時にも同じ勇者はやってきた。何度飛ばされても執念でやって来るの。勇者を倒す力は魔女には無いの。私も倒せない」


「――――勇者を倒すには魔王となるか、同じく勇者になるか。それぐらいの力が必要なの。……魔女には少し行き過ぎた行いね。先代の誰もそこまでする勇気も力も無かったの。まぁ、私もかしら。碧と朱の勇者。もう此処との因縁みたいなものね。前回先代との戦いで結界の木が一本壊されたわ。それによりその木を依代としていた三代目とは繋がりも無くなった。あるのはスープのみね。入り口にある一番新しいのは私の木なの。思い出したら近くのお花にお水をあげてね。そんな感じで詳しくは書庫に本が置いてあるから、機会が有ったら読んであげて。きっとみんな喜ぶから」



「次は召喚システムと古代召喚術についてね。他の召喚術師もそうなんだけど召喚術師には専用の部屋というか、安定させるにはスペースが必要なの。まぁ、無くても使えるけど一段階以上弱い召喚になるね。部屋はそこまで大きくなくても良いんだけど広い方が良い事は良いわ。此処の場合は空間魔法で部屋ごと広げているの。だから、思ったより広く使えている。召喚術師は依代をその部屋に置いて、部屋とリンクさせて瞬時に呼べるようにしているの。まぁ、人によるけどね。私以外にも召喚術を使う魔女はいたから大分前からその部屋に構築されているわ。代々これらも受け継がれているわね。朋ちゃんは古代召喚術だけど似ているところも結構あるから召喚術を教えるわね。古代召喚術は時間も無いしみゃー子先生にでも教わってね」


「私が一番初めに召喚したのは鳥。まぁ、魔女だし、黒猫か、カラスかなーって思っていて来たのがカラス…………では無く九官鳥だったの」


「名前は私が付けたんだけど、九官蝶かなめ。今は、っと脱線する所だったわ。かなめはどうでも良いか、えーと、とりあえず魔法もそうだし、召喚もそう基本は全てに於いてイメージなの。初めのとっかかりは。どれだけその技に精通するかどうか。根本を理解するかどうか。その感覚を覚える事が召喚でも重要になってくるわ。何でも良いんだけど戯れるとか、遊ぶでも良いし話すでも良いわ。貴方のことを認めてくれた子がいたら召喚に応じてくれるわ」


「召喚術はこの大陸の生き物と異次元の概念的思念体。架空の生き物などね。しかし、古代召喚術との境目があるから余り昔の生物などは召喚出来ないわ。後は作る事も出来る。古代召喚術の方が作るには特化しているけどね。殆どがもう現世でいない者達を召喚する術だから。まぁ、作るにしろ呼ぶにしろなんだけど、依代が必要なわけ。極端な話その依代すら何でも良いんだけど、解りやすく説明するとカラスならカラスの羽根とかね。あくまでも形が大事なんだってさ。思いや想いも含めてね。勿論、別の方法もあるわよ。力で認めさせるや、恐怖も一応対象かしらね」


「朋ちゃんが目指す古代召喚術師はどういう形を目指すのか、そこに重きを置いて考えていってね。

先ずは初めに使い魔的な召喚を行ってみると良いわ。イメージしながらね」


「大体解った。うん。修行が終わってからゆっくりと試してみるね」


私は何も焦りも感じずに唯、姉さんの教え通りの生活をしていた。明日は何を教えてくれるかなぁ、と日々毎日。新しい知識をどんどん吸収していった。


――――あの日までは。



その日は別に特別な日でも無かったけど、姉さんが夕ご飯を作っていた。

私は眉を寄せて訝しむ。んー。何か有ったのかな? それともこれから何かのお祝いかしら。

姉さんが私に話すまでとりあえず聞かないことにした。そして夕食。


「さんはいっ。わーたーしーのーおーなーかーはー腹ぺこだー。はいっ」


「ぺこぺこだー」


「ぺこぺこだー」


「じゃあ、いただきます」


「いただきまーす」


久々に歌を半分強要されながら歌った。この歌は譲れないらしい。


「今日は何かご飯が豪勢だね。姉さん。何かのお祝いか何か?」


「……………………今日で朋ちゃんが来てから約四年と二十八日経過しましたのできりが良いのでお祝いです」


「……きりが、良い?」


「うん。きりがとても良い」


「そうなの? 姉さん」


「そうなのよ、朋ちゃん! てなわけで、ご馳走です。沢山食べてね」


「う、うん。ありがと、姉さん」


久々に食べる姉さんの食事は美味しかった。何時もより一杯食べた気がする。


「あぁ、そういえば朋ちゃん、明日お使いに行ってきて欲しいんだ」


「久々だね、特訓を始めてからは無かったから凄く久々。またダイラックの街?」


「――――そうだね。ダイラック。そう。あのね、近々入荷するとかしないとかなんだけど、何時入荷するか解らないんだよね。でも直ぐに売り切れてしまうかもしれないから、何日か宿屋に泊まって毎日見て回って欲しいんだ。大体一週間ぐらいの間で何処かに入荷するかもって話だからさ」


「そんなに売れちゃう物なんだ。買う物の名前は?」


「水母の骨っていう骨とハーストイーグルの爪」


「ふーん。解った。明日の朝出発で良いの?」


「いや、どうせ泊まりだから、お昼過ぎで良いよ。一週間ぐらいの長期だから、色々持っていきな」


「うん? 解った。そうだね。一週間は長いもんね。お守りとかも持って行くね」


「……あぁ、それが良い。宿屋は、いや、宿屋も朋ちゃんが見つけて借りてみてね、あ! エッタにも言っといて泊まりのこと」


「うん。解った。やってみるね。そして言っとくね」


「あー。朋ちゃんと一週間もお別れかぁー。今日は一緒に寝ようね! 久々に。よし、今日は酔っ払うから、やっぱり今夜は寝かせないぜ!」


「あぅ。あんまり酔わないでね。姉さん」



……もう、フラグしかない。でもこれも後で思えばの話だ。その時には意外に気づかないものなんだ。これは私の失敗。でも姉さんの立場から見ると、仕方が無かったのかもしれない。私は唯の足手まとい。何も出来ない魔女見習い。大切な者を守るには守れる力が必要なんだ。


共に闘える力が必要なんだ。何も出来ないと嘆くより出来ることをする勇気が必要なんだ。その為には察知して気づいてあげることも必要。



この世界、必要な物のなんて多いことなのか。そんなの出来…………。



『さぁさぁ始まったね。ぐへへ。朋ちゃんがどんな成長するのか楽しみだね。もっとエロい展開が好みなんだけどなぁ。ワシとしては。ぐへへへへ』


『いやー体操着姿の朋ちゃんいーね。エロいわぁ。あの膝裏たまらん。ぐっとボタンをたくさん押したい。あのお尻の食い込みを直す仕草なんてもう、うへへへへ』


『闇落ちも良いね。見るに堪えないエグいのでも。可愛くエロい朋ちゃんが見られるなら、あぁ、ねとられも良いね。でも竿役いねーし。なんだよもう』


『もうルカちゃん早くきてー。ゆりゆり待ったなし最高かよ。秒で来てくれワシのためにぐへへへへ』


『…………五月蠅いなぁ。裏でやってくれ、裏でってあれ、数が足りてないじゃんよ。あと二人何処へいったんだよ』


『おぉ。竿役キター。んん? お前は竿役になれるのか? ワシらと同じ扱いじゃねーか今現在。裏でヤルからお前は早く表に行けよいや行かないで。今が良いときなのかもしれんし。心地良い微エロでも良いわワシ。妥協大事。今さえ良ければ今が良いよんそんなワシ。ニートな煩悩これいかにいえい』


『あれっ。何か、壁があるのか? 此処何処だよ。これ、扉か? 鍵頑丈じゃねーか。くそ。今どうなってるんだ? ちょっと調べないと…………ん? 今、頭の中でゲームスタートって響いたな、今何か始まったのか?』

ご拝読頂きありがとうございました!

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