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13魔法少女でしゃらんらー

夕食を姉さんと共に食べ終えた後に街の様子について姉さんへ話す事にした。


買い物では影帽子のヒヤリハットが中々見つからなくてリーアさんに手伝ってもらえた事と共に、折角友達になったリーアさんは近々王都の周辺へ新しいお店を出すのを手伝いに行ってしまう事を話したら、大丈夫行ってしまってもまた会えるよ。と話してくれた。


「あぁ、折角だし買ってきてくれたお菓子食べよう」


「そうだね。うん、用意するね」


買ってきたお菓子をテーブルに並べると姉さんは海星のえびせんを見てあら、懐かしいと話している。よくこれを選んだわねと聞かれたので、それはおまけだよってお店のお姉さんがくれた事を話した。


「師匠がこれ好きで良く買いに行かされたのよね。これ」


と言うと、えびせんを二,三枚手に取ると弾く様に上へ軽く投げた。すかさず柏手をひとつ。


瞬間えびせんは消えた。


「何かしたの? 姉さん」


「あぁ、師匠に送ったのよ、えびせん」


この家の何処かにいるらしいんだけど、送るってニュアンスが謎。


「そういえばリーアさんにアクアリウムの砂時計について聞かれたんだけど、やっぱり海から何か持ってくるの?」


「そうそう。よく知ってるねー。まぁ出来る人は少ないから、アレだけどね」


「どうやって使うの?」


「あ、うん。えーとさっきのえびせんと同じだよ、理屈はね。唯、海の物は触媒があった方がよりしっかりした物が取り寄せられるからねー。そんなとこ」


「私がその、方法を覚えるのってどれぐらいの時間が掛かるものなの?」


「うーん、今の朋ちゃんなら、恐らく一週間って所で行けると思うよ」


「そうなの?」


「うん。教えるのが上手い人が此処に居るでしょ」


「確かに姉さんは教えるの上手いと思う」


「今度、教えてね」


「……………………いいよ。今度ね」


その後、図書館に行ってきた話もあったけど、先に『ゴブリン襲来』の話をしておいた。


「へぇー珍しい。ダイラックだと、二年振りぐらいかしら、そういえばゴブリンキングの首が欲しいのよねー。……うーん、でも襲来だと手間か、今度かなー。あ、帰り大丈夫だった?」


「発生してから間もなかったから大丈夫だったよ。今回は西で発生したらしいよ」


「うん。ダイラックでのゴブリンイベントは必ずスタートが西だから、時間が経過すると他の門などもゴブリンだらけになる事もあるね」


「そういうもんなんだ」


「そそ。頃合いだし、そろそろ朋ちゃんにも攻撃手段を教えていくわね」


「えっ。あ、うん。解った。ちょっと怖いけど、頑張るね」


「でも私が忙しいから、結構スパルタになると思う。頑張れ!」


「えぇー。ね、姉さんー」


「うん。金平糖も美味しい。ミントチョコも久々ぁー」


「ちょっとぉー」


「あぁ、言い忘れてたけど、近いうち知り合いの愛弟子が此処へ来るって。頼まれててね。一応名前を教えておくね」


「えぇっ。突然だね」


「そうだね。名前はルカって子だよ。朋ちゃんより少しだけ年上かな」


そんな一日の終わりを姉さんとお菓子を広げて楽しんだ。




『もうすぐだよ。もうすぐだよ。色んな運命が動き出すよ。朋ちゃん。いっぱいいっぱい備えてね。お胸もいっぱい育ててね。ぐへへぐへへ』


『あれれ、お久々だね朋ちゃん。今日も可愛いよ。魔法少女でしゃらんらー言わせたい願望がががが、ぐへへへへ』


「んん? はえ? あれ、あ、何か、この感覚。あ、えーと確か煩悩さん?」


『そうそう良いね。物覚え。俺の名前は煩悩さん。流石朋ちゃんさすともちゃん。裏方で萌えを極めたい紳士見習い。あーでも、もう紳士失格だなぁ、朋ちゃんに言葉で攻めてるし。済まないみんなよぐへへへへ』


「えーと、何か聞きたいことがあったんだけど、うーんと、何だっけ?」


『えーと何々。多分自分の事だよね? 朋ちゃん』


「そうだと思うんだけど、要領を得ない? うーん何でだろ?」


『そんな時もあるよ。まぁ、大体解るから拙者が教えて進ぜよう。ぐへへへ。まずは、おさらいかな? 朋ちゃんは男の子でした。男の娘なのかな? 多分生きていく内に男の子の記憶も少しずつ戻って来るから心と体が上手くバランスを取れなくなるかもだね。一気に戻ったら多分自分を保てないかもしれないね。そんな時はこの煩悩さんが可愛く洗脳してあげるよ。だから、気にしないでね。それも一つの結果で答えだと思うんよ。こんなチャンス逃したくない。俺色に染まってね。ぐへへへへェー』


「うーん。私、悪い悪魔か何かに騙されてるのかな? 色んな人からそういうお話聞いたもん。何かあやしーの」


『えー。そうなる? まぁ、仕方ないか、でもでも信じて救われて、俺は嘘はつかないよ。冗談は言うけどなー。もう少しワシを信じて』


「うー。自分だって、自分の心だって信じられない時あるのになぁ。もう少し紳士でいてよね。男の子なら」


『自分、変態でも紳士代表なんだけどなぁ。へっへっへ。しっかしお前の母ちゃん何処行ったんだよって爆弾を投げかける俺はやっぱり紳士代表失格者』


「…………お、お母さん? い、いるの? 私に?」


『木から産まれた訳じゃないしさ、勿論いるさー。ろりともちゃんより複雑かもだけどねー。何時か会えるよ間違いなくね。おっと、これ以上は秘密なの』


「ちょっと煩悩さん。何か今日は酷いの。何時か締め上げてあげるんだからっ」


『おほほーっ。そんな事言ったら締め上げられたい願望が爆裂的に炸裂しちゃうよっ。自分、変態ですから…………。まーでも朋ちゃんがどれだけの事を覚えていられるかなぁ?』


「そんなこと……。ぜーったいに覚えておくんだから!」


『こんな所で時間かな? またねーさすろりちゃん。ちょっと今回からかい過ぎちゃった。ごめんねてへぺろ忘れてね』




「………………もう名前の欠片も無いよう」


「あー。朝だ。何か嫌な夢みた様な気がする。何だったかなぁ?」


「駄目、思い出せない。えーと、しゃらんらー?」




悪夢から覚めた私を待っていたのはやる気がみなぎっている姉さんだった。

あれ? これも夢? 若しくは悪夢は終わらないの? と本気で考えている所に姉さんが何か布…………服を私に手渡した。


「えっと、これは、何?」


「昔から使われている修行の時に着る服よ」


「ええと、これを、着るの?」


「うん」


「本当に? これを?」


「私も昔、着たのよ。これを」


「これを?」


ニコニコした姉さんが手渡したのはなんだろう? これ、上着は白い生地で出来ていて胸の所にもう一枚、生地を縫い付けて私の名前が書いてある。しかも大きく。


そして、もう一枚。えーと黒、いや、紺色のパンツ? 結構生地はしっかりとしている。けどパンツだ。そして白い靴下。何処の国の誰のセンスだろうか。


これを着て人前に出るのは恥ずかしい。というか無理。何なのよコレ。もう! ……どうか姉さん以外に見られませんように…………。

「これが魔女の修行で使う服で名前を体操着と言います。今回は時間にリミットがあって三ヶ月。この服を着て本格的に修行して貰うわ!」


姉さんの勢いが凄い。これは本気だ。


「…………はい。よろしくお願いします。姉さん」


そんな感じで突然に修行は始まった。

ご拝読頂きありがとうございました!




もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、


差支えなければブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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