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118邂逅

時は――――少しだけ遡る。



「――――ここね」



住宅街にある一軒家。

柏木ルカは目的の家に辿り着く。


タナシナプスの信号、座標から見るに此処が目的の家と判断した。

柏木ルカの表情は少し緩くなる。


もう自分の残存時間も僅かという事を把握している為か、これでの最後の目的を果たせるという気持ちからか、先ほどまで張っていた気もだいぶ緩めていた。


――それほどまでに先の戦いは今のルカにとって熾烈を極めたが生き残った。

後は残存する時間で何が出来るか。


そう思い先程の子達に送りを付けて貰うため、もう一度タナシナプスに確認を取ろうと繋がれているパスから合図を送るが何故か繋がらない。


家の場所は此処で間違いない。

仕方なく家のチャイムを鳴らそうとするとそのタイミングで家の扉がガチャという音と共に開いた。



「……………………」

「…………ええと、こんばんは。こちらに蜂月さんはいらっしゃいますか?」


家から出てきたのは女性。

目的の家から出てきたのだから家の人、親族の方と思うのが普通。

ルカは自然に聞いてみた。



「いらっしゃい。貴方が……柏木ルカね」



待っていたわとばかりに話す目の前の女性。

その女性の佇まい、雰囲気などからはとてもでは無いが普通の人には見えなかった。



頭に疑問が沸いたと同時に危険を察知する。

射貫く様な視線。

圧倒的なオーラ、背中が冷たくなる感覚。

プレイヤーでは無い事までは理解しているのに。


この存在感、プレッシャー。

とても同じ人間には見えない。

待ち伏せされた? 何かの能力者? 少しでも距離を取りたい。

ルカは一歩後ずさる足を堪えて聞く。


「…………あなた何者?」

「私は二人の幼馴染みの柚葉青葉。以後よろしくね、と言いたい所だけど、どうしようかしら、会ってみて思ったわ。貴方は…………危険ね」




空気が――――――――変わる。



重く、線のある空気。


殺気なのかその言葉に対しルカは反射的に身構えた。


「うーん。まぁ、敵意は無いのは間違いない様だし調べて見ようかしら」


調べると。

目の前の女性、青葉はそう言った。


何を調べるのかとルカが考えた時。

体に何かが通過した。


今、何かが私の身体を文字通り『通過』をした。


濃厚な風を肌で受ける感覚に近いそれは体を押す様に通り抜ける。

そしてルカを通過した。


「な、今、何を…………」

「72パーセント…………あなた、何者?」

「え? どういうこと?」


青葉はルカを見つめ先程ルカが話した質問を返す様に話した。


「――――そうね。今現在でその数値。これは私にとっては大問題ね、貴方は彼の何になりたいの?」


ルカには目の前の彼女、青葉が何のことを話しているのか良く解らない。

彼とは多分、先程気を失っていた少年。


「何になりたい…………と言われても私はその彼と話をしたことも無いわよ?」


「それは、嘘ね。先程調べた物は関係性が構築されないと数字は出ないのよ。つまり逆説でコンタクトはしている、ということになるのよ」


青葉が話す数字を会話の流れでなんとなく理解したルカはスキル【運命を共にするもの】の効果内容がよぎる。



「解らない事が多いけど良いわ、話すわよ。私は運命を共にする者達を探しているの」


ルカは青葉に対し目的の一つを話す事にした。


「嘘は、言って無い様ね…………でも駄目、これ以上この世界で交わらせる訳にはいかないわ。…………もうこの辺で諦めて。あちらに行きなさい」


「やはり貴方も関係者の様ね。しかもプレイヤーでも運営側でも無いのね。…………私は目的を貴方に話したわよ? 貴方は何者? 貴方ももう少し詳しく話しなさいよ」


「…………嫌。話す必要が私には無いわ。でも、そうね、私の目的を邪魔しない限り貴方には手を出さないわよ。という事でもう行きなさい」


「随分と勝手なのね。でも私が今からすることが貴方にとっては不都合。という事なのね?」


「そうね。ちなみに、貴方のサポーターシステムとはもう連絡取れないわよ。さっき遮断したから」


「っ! 無茶苦茶ね、そんな事が出来ること事態……………………解ったわ。貴方が現在、敵では無い事に今は感謝するわ」


「ありがとう。解って貰えると、私も嬉しい。システムはあちらに行けば復旧する様にしておくから、安心して――――」


青葉はふとルカの後ろ側の方を見る。

ルカも視線が気になり後ろに振り向く。



「あおねー遅いゾ。もうご飯だよ」

「柚姫…………」


ルカの振り向いた先には身長が低い。

小学生位の可愛らしい女の子がいる。


青葉から柚姫と呼ばれたその子はルカを素通りし青葉の傍まで近づく。


「ちょっと歪みが凄いよ。あおねぇ」

「そう? これぐらいなら大丈夫でしょ?」


「だからって良い事じゃない。もう少し考えて動いてよね」

「……解ったわ。用事は済んだからもう終わりにするわ。バイバイ。柏木さん」



青葉は自宅へ帰っていく。

残された柚姫は振り向き残されたルカを見据える。


「こんばんは。あなたはプレイヤーね」


ルカは返事の代わりに頷く。

目の前の小学生からは先程の青葉の様なプレッシャーやプレイヤーなどの感じも何も感じない。


だが、その彼女からプレイヤーの言葉が出た事に対しルカは少し警戒する。


「わたしはさっきのの妹だよ。今回は代理人なの。よろしくね」

「え? ちょっと、待って、代理人ってほんとうに?」


「昨日からね。今回はお手伝いみたいなものだよ。あ、もう送られるね。あなた」



『システムメッセージ 規定ポイントを消化しました。計測終了。六十秒後に移行シークエンスに移ります』


『メインシステムメッセージ 貴方の今回のランクは暫定でxxランクです。今後も活躍を期待します』


頭に突然ノイズが走りメッセージを取得した。




…………ランクxx。

ポイントの上位だった筈。


これなら――――――――――




「おめでとう。良い結果みたいね。でも気を付けて、女神は気まぐれ」

「ありがとう。幾つか心残りは有るけど、この結果に満足しておくわ…………時間ね」


「いってらっしゃい…………良い旅を」

直後、柏木ルカはトミエクマへと旅立った。

あと3話です。

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