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117兄妹の在り方

穂美香に俺が聞いた事情を説明し【トミエクマ】にログインして貰った。


昨日キャラメイクを一通り終えていたのでコンソールに見えるフィールドにキャラが見えるとそこで繋がったらしく穂美香はタナシナプスと会話をしている様で偶に「えーとかあーとか」いう声が出ている。


少し間が開いた俺はゆっくりと台所に行きココアをコップ二つに注ぐ。

しっかし【神々のゲーム】と突然言われてもなぁ。


自覚する前にこの展開は厳しいな。

星を奪い合う……。

俺はもう奪われ掛けている…………?


頭の中で整理しつつココアを入れたコップを二つ手に持ち穂美香の部屋へ戻った。

穂美香が座っている机にココアが入ったマグカップを置き俺はベッドに腰を落とすと再び声が聞こえた。


『穂美香のパスは繋いで説明も終わった。お前の名前は朋で良いな?』

「あぁ、そういえば名乗って無かったな……で、なんで解るんだ?」


『パスを繋いだからお前の事はある程度理解した』

「…………ある程度って、表面的な事柄ぐらいか?」


『お前の身に最近何が起きていたかも理解した。穂美香にはもう説明した。お前にも現状話せる事を話す』


「あぁ、頼む」


『まず、お前が知りたいであろう出来事についてだが、簡単に言うと混ざったのだろうな』

「混ざる…………」


『星と星が重なり合った。恐らくこれが原因だろう』

「………………」


『今、考えても仕方の無い事だ。これ以上は調べるには時間も掛かる』

「…………そうか。解った」


『それでだが今現在、約半数程の者がイレギュラーな展開ながらも一人、また一人と決戦の地に送られている様だ。お前達のヒットポイントも残念ながら少ない』


「ヒットポイントってつまりゲームで言う所のHPか?」


『そう捉えても良い。本来そのポイントが無くなると決戦の地に送られる。身体に一定量のダメージを受けるなどもポイントが失われる理由の一つだ』


「……さっきの奴か」


『そうだ。お前達二人はもう僅かなポイントしか持っていない。例えるなら十の内に朋が一。穂美香が六、と言った所か』


「今からでも出来ることは無いのか?」


『お前に出来ることは――――何も無い様だ。先ほど穂美香には伝えたが、彼女の方は初期のスキルを持っていた為、使い方を教えた。今、穂美香は使えるように調整している』

「初期の……スキル?」


『ああ。彼女の初期スキルは二つ。攻めと守り。攻めのスキルは簡単な初期の護衛術の様だ。付属の短剣もある。守りはルカの持っていたスキル。降虹の盾に近い仕様の様だ』


「俺にはそのスキルが……無い?」


『そういう事になる。お前の場合は恐らく始めからレベルを上げなければ得られないスキルなどに分類されているのかも知れないが、実際は何で発動条件を満たすのかは我々には解らない』


「前途多難だな……レベルを上げるには、やっぱり戦う? とかなのか?」


『一番解りやすいのはそれだな。だがお前のヒットポイントは僅か1。大雑把に例えるなら敵の少し大きな攻撃を1回受けるか自身の攻撃を数回して終わりだ。レベルを上げればヒットポイントも少し増えるかもしれないが』


「できる限りで試すしか無いか…………」


『敵に勝つ事も今後を有利にする上では重要かも知れないが、それ以上にどう負けるかの方が今後は決定される事も多いと聞く。酷な言い方だがお前に残された選択肢は負け方かもしれない。現状が周回遅れなんだ』


「負け方…………」


『すまないが先程からルカと連絡が取れない。そちらに意識体を集める。暫く掛かりそうだ』

「ルカニーが? 解った。何か解ったら後で教えてくれ」


『解った』


タナシナプスからのリンクが切れる様な感覚と共に慣れない事をしていたからか肩に力が入っていた。

少しは頭の中で会話するのも慣れたかも知れないが意識的に気を使うな……。


「おに――――ゃん」

「ん、あ。穂美香」

「何だか凄いことになっちゃったね……」

「そうだな。でも、大丈夫だろ。ルカニーもいるし、青葉もいる」


「うん。でも、おにいちゃんがいれば、わたしは、大丈夫」

「そうか……そうだな」


俺たちはタナシナプスから教えられた情報を元にトミエクマ内で行動を開始した。

もう余りやれる事は無いらしいが、少しでも足掻く。


何でもトミエクマでゲームをしているだけでも色々な経験が貯まる、との話だったが、俺は何かが変わった様子は見られない。穂美香はレベルがどんどん上がっているらしい……。


タナシナプスからのパスを繋いだ後、目の前に各種ステータスなど、自分の情報が文字として出せる事が出来るようになった。でも、俺はレベルが上がらない。


経験値の項目も何故か数値が全然上がらず。

どういう事かさっぱり解らなかった。


何かが阻害しているのか……タナシナプスが言っていたポイントが足りない所為なのか。

解らなかったが、色々と試していった。


――――――――数時間が経過しただろうか、余り体調面でも良くない俺は大分疲れが貯まっているのを自覚しだした時だった。


『朋、待たせたな』

「あ、タナシナプスか? 色々聞きたい事が有るんだが…………」


『すまない。ルカの方で問題があってもう時間が無い』

「え? 何か有ったのか? 大丈夫なのか? ルカニーは……」


『私はルカとのパスをメインとして繋いでいた。お前達とパスを繋ぐ少し前から接続は切れていないのだが、連絡が取れない。しかしルカの時間がもう切れる筈だ。それと共にお前達との接続も切れてしまう』


「それって……」


『ルカのポイントは消滅寸前だ。もう飛ばされるだろう。少ない時間だが、ルカにお前達をサポートして欲しいと話が有った為トミエクマに集合体を接続していた』


『端的に言うと、ルカは2人と戦い、相打ちという形でそのうちの二人と消費し合った』

「さっきの奴らか?」


『そうだ。 一人は別の男性だった。結果無理をしてポイントを全損とまでは行かないが、敵に勝っていようがもう長くはない』


『ルカが飛ばされた時点で我々と朋、穂美香のパスも切れる』

「何か…………出来ることは無いか?」


『……先ほど出来ることは何も無い、と話したが今回お前が選ばれている以上、そこには何かが存在する。逆説的ではあるが――――――示し、足掻け。運命を変えるのは些細な行動力だ』


「………………」

『最後に――――ルカから、伝言がある』


「伝言?」


『先程、トミエクマ内のメールボックスから見つけた。お前達への伝言は「ポイントを奪いに、恐らく敵の生き残りは此処に来る。気を付けて、そして、少なからず私とも絆は出来たはず…………必ず。あっちで会おうね」との事だ』


「そうか……………………解った」


『もう時間の様だ――――最後に――お前達も少しだがサポート出来て良かった。今回のこれは緊急的な措置――――。言わばルールスレスレと言った所だ。恐らく大なり小なりのペナルティーが――――。今回はどう――なるのか――――全く予測が付かない。お前達は――――』


――――声が聞こえなくなった。

恐らくは……そういう事なんだろう。


「タナシナプス…………ありがとう」


俺は短かったが力になってくれたタナシナプスに感謝の言葉を捧げた。


その後穂美香と共にこれからの対応に際し話し合う。

まず、俺たちは何かに巻き込まれた。選ばれた、と言うこと。


その結果、今後トミエクマで戦わなくてはならない。

今回は負けても余程の事が無い限り護られる。


恐らく敵は此処に来る。どう立ち向かうか。

この辺を二人で話し合った。


俺は解る範囲で穂美香を安心させる為に俺なりの解釈でこれらを話す。

実際、穂美香に何処まで伝わったか少し心配は有ったが俺もそこまで余裕が無かった。


「覚悟を決めてやるだけやってみよう」

「うん。もう大丈夫。絶対」


「何が起こっても俺たちは一緒だ。だが結果は恐らくそんなに良くはない物になるだろう。俺の事は後回しで考えてくれ」


「…………わかった」



その一言。



穂美香は俺に何かの感情を隠す様に話していた。

しかし俺にはそれを察してやる事は出来なかった。

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