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115大魔王の審判

久遠が後ろを見ると其処には学校帰りの大魔王こと青葉が立っている。


「誰が大魔王よ。…………朋。ちょっとやられすぎって、あれ? ……ごめんなさい。少し展開がおかしい――――みたいね」


青葉は状況に何かを察したのか俺に何故か謝っている。

あの青葉が……。


「こんにちは、貴女もプレイヤーですか?」

「…………はい。こんにちは、礼儀正しいのね?」

「どっちかって言うとそうですね。僕の名前は久遠。よろしく」


状況をまったく理解していない間抜けな敵は目の前の大魔王に挨拶をしている。

青葉は………………。


「そう。でも、私はこの状況で貴方に名乗る名前は持ち合わせていないわね。ついでに礼儀も無いし――――そうね。貴方には忘れられない恐怖を刻んであげようかしら……」


その瞬間空気が変わった。



ヤバい。これ青葉、結構オコだゾ。



「おい久遠。悪いことは言わない。早く逃げろ……というか、死ぬなよ?」


俺は久遠に後ろから声をかける。が、青葉は待ってはくれない様だ……。


「癒やしの風」


青葉が言葉を発すると、見える限りの地にきらきらと輝くものが降り注ぎ俺の傷は完全に癒えた。

……恐らく穂美香の傷も癒えているんだろうな。


「ほみちゃんは…………気絶程度ならそのままにしておきましょうか」


もうカウントダウンが始まっていると思われる。


「…………君がどれぐらい強いか解らないけど僕は今レベルが上がって気分は良いんだ。温厚な方だし、計画的な方だから見逃してあげるよ」




「………………それって ど う い う 意味かしら?」




青葉を測るような言葉を使うが、青葉の刺さる切り返しを前に久遠はどうするんだろう?

俺はほんの少しだけ久遠に同情する。


「こういう意味だよ!」


久遠の巨大な石の魔法が青葉に向かう……が、青葉が目の前に居る虫を手で払うような仕草をしただけで巨大な石はかき消えた。


「あ、あれ? ひ……」


……再び何度も攻撃しようと魔法を発動させているがその都度青葉にあしらわれる。



「陽炎、斥候を。古代燈、裏を取りなさい」



青葉が言葉を発すると薄い蝶々のようなものと黒い斑点のようなものが空中に現れ消える。

そして再び手を払うと「ビシッ」と何かが壊れる様な音がしてその場の雰囲気が変わった。


「結界が…………再構築?」

「――――さて。最後の審判よ? 貴方は自分の意思で此処に来てこれをやったのかしら?」


理不尽な質問が久遠を攻める。

同情はするが自業自得だ。


久遠は青葉がした事に対し何かを理解したのか顔面が蒼白になっている。


「あ、あの、その、ひ、博士兄ちゃんが、この辺にいる、二人組を痛めつけてぽ、ポイントを稼いで来いって……ご、ごめんなさい。半分は僕の意思です」


「…………ふーん。まぁまぁ誠実ね。でも駄目。私は優しく無いから…………恐らくだけど、ルールを大幅に破っているわね。実行犯も罪は償いなさい」


「え? あ、、ひぃ……」

「おい……青葉。手加減してくれ」


俺の姿を見てから青葉は少し考えている。

久遠はもう涙目で足はガタガタと震えていた。


「…………解ったわ」


その流れのまま直ぐに青葉は立て続けに言葉を発する。


「ドクターグリモア。負を刻みなさい」


空間が軋む――――。

歪み、風の淀み…………まるでブラックホールの様な空間が生み出され中から黒い。


そう黒くて蠢く者がゆっくりと、ただゆっくりと……。




ゆっくりと動いている様に見えるのにそのタールの様な体つきの物体は気付くと久遠の間近まで移動している。


そして久遠の顔を覗いている様な仕草をした瞬間。

久遠の左腕の辺りを黒いタールが触れる。



対象の久遠は何も出来ずにその様子をただ眺めている。


『苗種完了シマシタ』


ドクターグリモアと青葉から呼ばれた全身タールの物体はそう言葉を発するとどんどん薄くなりスウーっと消えていった。


俺は青葉がした事が何か解らなかったが対象の久遠は涎を垂らしてぼーっとしている様に見える。

更によく見ると目の焦点が合っていない。


「はい。おしまい」


その後に青葉が柏手を一つ鳴らすと、久遠は正気を取り戻した様だが恐怖か何かに捕らわれていて、先ほどの黒い物体はもう消えている。


「良いわよ? 消えて?」

「は、はひぃ――――」


久遠は背を向けると直ぐに逃げ出した。

足と腕が変な風に動いていて上手く逃げれないのかカクカクした動きをしている。


「何をしたんだ? …………ちょっと、やりすぎじゃね?」

「ちょっと左腕に魔界蛇の卵を植え付けたみたいね。まぁ、そんな事も有るわよ」


「お前、本当に魔王だったんだな?」

「え? そんなんじゃ無いわよ?」


「そうなのか?」

「そうよ?」


ほっぺたを少し膨らませている青葉に俺は事のあらましを話す。

すると青葉は何かを考える様な素振り、動きをして最後に一言こう言った。


「帰りましょ」


俺は気が抜けたのかその言葉を聞いた時、意識を失った――――――――。





 ◇◇◇◇





「…………入れ替わっている二人の事柄も含め、色々とおかしいわね。陽炎と燈が戻ったらもう少し考えようかしら……」




「あら、おかえり、ありがとう。燈」



…………………………………………そう。




解ったわ、遠ノ井博士ね。

それと、緋夏に久遠。



そして――――――柏木ルカ。


青葉は朋の机の椅子に座りベッドで寝ている朋を見つめながら考えを纏めるかの様に片方の腕でほお杖をついた。


「そろそろ二人とも起きるかな?」

今年ももうすぐ終わりですね。


みなさま、良いお年を!

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