110未来へと紡ぐ者
関西方面のとあるホテルの一室。
建物の中でこの最上階にある部屋はとても広い。
窓から見える景色は良く、部屋の作りも豪華に整っている事から一泊あたり数万円から数十万円は優に掛かる事が想像できる。
時間はもう夜も更ける頃。その部屋に唯一人いる女性が一言、溜息をついた。
「はぁー」
『今日はどうだった?』
「駄目ね、今日も対象者には会えなかったわ」
『そうか、あのエクストラはどうなんだ?』
「それも……わかんない。実際に反応が殆ど無いから、どういう風に解るようになるのかすら良く解らないから、うーん。意味無かったのかも……」
『当てが外れたな。普通に考えれば当たりの筈なんだがな。エクストラスキルは』
「結局、それを生かせていない、と言うことはその人物と出会えてない、という事なんでしょうね。最悪それが解っただけでも儲けものだわ」
『……でも幾つかの反応はトミエクマ内に有ったのだろう?』
「うん。とても微弱な反応ならね。でも間違いなく違うわ。恐らくだけど、対象者は運命を感じる程の反応の筈」
『しかし、もう時間が無い』
「そうなのよね。このままだと無駄にスキルを解放しただけになってしまうわね」
『他のスキルを選ぶべきだったな』
「それに関しては私のミスね、でも…………まだ諦めないわ。……そういえば全体ではどうなっているの?」
『もう殆どのプレイヤーがあちらに旅立った様だ。今現在残っているのは才能がある者の一部か違反している者などに限られるだろう』
「じゃあ今から出会えればより良いという事になるわね!」
『中々にポジティブだな――――――――っと今、マップに反応が有ったが何かおかしいな』
「え? この世界で反応が有ったって事は確か…………」
『そうだ、通常ならマップに反応は出ない。しかし強い反応や違反者、無資格者が見つかった時のみ我々に解るようになっているんだ』
「場所は何処なの?」
『関東方面だな』
「それは良いわね、交わるわ。明後日からそっちでやる事になっていたし、終わったら駆けつけましょう!」
『少し、反応が強すぎる所が気にはなるが、もう時間が無い。恐らく最後のチャンスになるだろう』
「…………因みに反応は幾つ?」
『……強い反応が2つ。なのだが良く解らない。他にもこれは…………恐らく無資格者だろうか、幾つかあるな』
「解った、全力で行くね。もう最後のチャンスなんだから、敵にせよ味方にせよって感じ」
『マップ上だと3メーター無いぐらいか?』
「うん。まさかマップで確かめる事になるとは思わなかったわ」
『そうだな。我々もトミエクマ内で効果があると思っていたのだがな』
「そうよね…………対象者も必ずトミエクマをしている筈だからね。でもこのスキルは運命の力が具現される前に出会わなきゃ余り意味が無いのよ」
『そうなるな。エクストラスキル【運命を共にするもの】はパートナーとなりえる対象選者に出会えれば今後の戦いを有利に運ぶ事が出来、更に……』
「そう。それは私にとって大きい。なんとしても切っ掛けを作っておかないと……」
『うむ。今回の戦いは激戦も予想される』
「時は来るわ。運命も交わり交差する。これは私のカンよ!」
そうなんだ。
私は未来を自分で選び自分で作る。
絶対に誰にも邪魔はさせない――――――
何が有ったって私が掴んだ此処までなのだから。
いまここに、私が存在する理由。
私の生きている証。
「最後まで私らしく、自分を貫くわ!」




