墜落
「ここは…」
どうやら眠っていたようだ、身体を引きずりながら辺りを、見渡す。そこには、静かな森が広がっていた。そして、直前の記憶を呼び覚ます…。
「確かにRPGの直撃を受けたはずだが…。」
と言いながら立ち上がる。ふと背後を見ると墜落したヘリコプターが目に入った。なんとか無傷で生き残ったらしい、運が良かった。
「そうだ!他の連中は!?」
俺の他にも操縦士2人と隊員が5名いたはず…
幸いヘリは炎上していないが、用心するに越したことはない、慎重に探そう。
そしてヘリの中を調べたが誰一人として居なかった。
「くそ!誰かいないか!!」
声をあげるも返答はなかった。
とりあえず装備品をヘリから回収し武装を整えた。しかし、ここは何処なのか?なぜ仲間の装備品は全て残っているのか?普通は見知らぬ土地で装備している防弾チョッキや銃を置いてくのか?あり得ないが…ん?
装備しているComTac6ヘッドセッドから異音がした。雑木林の方からら何かが、近付いて来ている音だ。咄嗟に銃の安全装置を解除する。今装備しているP90は装填弾数50発とかなり多い。弾薬は5.7x28mmのSB193を装填している。
多少の人数差はなんとかなるはずだ…
「そこの人!逃げて!!」
始めに雑木林から飛び出してきたのは少女だった。
そして、遅れて出てきたのは、俺の記憶が正しければファンタジー作品に出てくるオークに似た生物だったのだ。
女の子は俺のそばまで来て言った。
「早く逃げないと!」
そりゃそうだ、攻撃手段がなければ逃げるしかない、しかし…。
ババババババババッ!!!!
俺はオーク向かって引き金を引いた。
「グオオオオオオ!!??」
と大きく咆哮したオークだったがそのまま倒れ動かなくなった。
「全弾撃ってやっとかよ…お嬢さん大丈夫かい?」
俺はリロードしながら言った。
「だ…大丈夫です…助けて頂きありがとうございます。」
「あなた様は魔法使い様ですか?」
いや、何を言っているのだこの少女は、魔法なんて…いや…さっきのオークは本物だった。まさか…。
「いや、魔法使いではない。ところで、ここはどこか教えてもらえるかな?」
「はい!ここはリファの森です!」
リファの森…作戦地域にはそんな森は存在しないしあんな化け物も出ない。どうやら本当に剣と魔法のファンタジー世界に来てしまったらしい。
「あなた様のお名前は?」
「少佐と呼んでくれ。君は?」
「アルジェといいます。」
俺はファンタジー世界での一歩を踏みしめるのだった。