一話 簡単筆記テスト
1話目でヒロイン登場!
可愛いヒロインにしていきたい!
「ついにこの日がやってきたか……」
今日はグレイラット騎士学園の入学試験の日。俺はこの学園の入学試験を受けに来てる。
周りには沢山の人がおり、校門をくぐっていく。みんな、入学試験を受けに来ているのだろ。貴族の子供のなどはそんな飾りいる? と思うほどの豪華な馬車で来ている。
このグレイラット騎士学園は、キールフェルト王国国立の学園で、騎士や冒険者を目指す十五歳の子供の達が通うところだ。騎士学園はこの王国にここを除いてあと四つある。
王国の北にあるリーロンド騎士学園。南にあるロゼット騎士学園。東棟にあるナルメア騎士学園。西にあるサイザール騎士学園だ。グレイラット学園は国の中心の王都にある。
学園のグレイラット、リーロンド、ロゼット、ナルメア、サイザールは五百年前にこの国を救った英雄の名前だ。
国を救った褒美として、五人の『救国の英雄』はこの学園を建ててもらったのだという。
俺は大きな校門を潜り、受付けへ向かった。校内はとても広く、迷子になりそうだ。
受付けには小さな行列が四つできていて、職員が四人で対応している。一番人の少ない列に並び、俺は自分の順番を待つ。
三十分くらい待ったくらいで俺の順番になった。
「こちらに名前の記入をお願いします」
紙に自分の名前を書いていく。名前しか書かなくていいんだ。
「リオ・カンヘルさんですね。受験番号は85番です。こちらは受験票になりますので無くさないように注意してください。試験会場は東棟の校舎の一階になっておりますのでそちらへどうぞ。試験開始時間は十時です。遅れてしまわないようにしてくださいね」
「はい、わかりました」
受付の奥の時計を見ると、針は九時半を指していた。まだ、少し時間があるので先にトイレに行っておこう。
トイレに着くと、直ぐに用を足し、手を洗う。ふと、前を向くと自分が鏡に映っている。
「そういや、鏡で自分の顔見るの久しぶりだな……」
黒髪に深く青い瞳。イケメンとまではいかないがある程度整った顔。結構成長したなと感じる。
トイレを出ると、女の子がオロオロしている。
綺麗な銀色の髪に燃えるような真っ赤な赤色の瞳。顔はとても整っていてめちゃくちゃ可愛いし美人だ。超絶美少女だ。
彼女は困ってるのか?
「どうしたの?」
「っ!?」
いきなり声をかけられて驚いたようだ。
「え、えっと……、試験会場が分からなくて、迷子に……」
なるほど。彼女もこの学園の試験受けに来たようだ。なら、試験会場も同じだし、一緒に行ってあげた方が良いだろ。
「なら、俺と一緒に行く?」
「えっ! 連れて行ってくれるの!?」
「うん」
「ありがとう。たすかったよ!!」
銀髪の彼女はとても嬉しかったか、俺の手を握って感謝を伝えてきた。いきなりのスキンシップ行動に俺は思わず赤面する。
「あっ、私ったら。ご、ごめんさいいきなり!」
彼女は自分が俺の手を握っていることに気づいて戸惑っており、直ぐに離したが頬がほんのり赤く染まっている。めちゃくちゃ可愛い。
「君この学園の入学試験受けに来たんだよね。俺もそうなんだ」
「そうなんだ。なら、入学試験に落ちないようにお互い頑張ろうね!」
彼女は満面の笑みで握手を求めてきた。
「お、おう!」
凄く可愛い……。なんだろう、惚れしちゃいそうだよ。そんなことを考えながら俺も握手を返す。さっきも思ったけど手めっちゃ柔らかくて気持ちいい……
「そ、それじゃ行こうか」
「うん! あっ、名前言ってなかったね。私はユナティア・アストレアって言うの。ユナって呼んでね」
「俺はリオ・カンヘル。リオでいいよ」
「よろしくね。リオ!」
「よろしく、ユナ」
こうして俺は、ユナと出会ったのであった。
――――――――――
この学園の試験は二つある。
一つは筆記テストだ。この国の歴史や演算方法が主に出題される。
もうひとつは実技だ。この学園は主に戦い方を教える。そのため、受験生をある程度戦えるか見極めるのだ。
俺は今、筆記試験の試験会場でユナと隣同士で席に座っている。テスト開始まで、あと十分くらいだ。
「リオは筆記と実技、どっちが自信ある?」
時間を確認しているとユナが質問してきた。
「そうだな……。俺は実技の方が自信あるな」
筆記か実技かでは実技の方が自信がある。なにせ師匠にめちゃくちゃ鍛え挙げられたからな。
「へ〜。リオって、もしかして相当強い?」
「う〜ん……どうだろ? 対人では、師匠としか戦ったことないからよくわかんないな」
何度も師匠と戦っているが一度も勝ったことがない。けど、そこら辺の人よりは強いと、俺は確信している。
「リオ、師匠がいるんだ」
「うん。師匠は、五年前に身寄りのない俺を引き取って育ててくれたんだ。師匠にはとても感謝してるよ」
父と母を失ったあの日から俺は一人になり、居場所を失った。そんな時に師匠は俺に居場所をくれた。そして、生きる方法を教えてくれた。俺の第二の親のような存在だ。
「お師匠さん、とても良い人なんだね」
「あぁ。とても良い人だよ」
師匠は俺に『リー君は友達いないから学園で作ってきなさい』と、この学園に入学するように言った。人間関係面でも心配してくれるとても良い人だ。
ユナと俺の師匠の話しをしていると、前の扉が開き試験管が入ってきて、供託の前に立つ。
「筆記テストを始める前に注意事項を言っておきます。カンニングは当然禁止です。筆記テスト中に席を立つことも禁止、人に聞くのも禁止しています。これを破った場合、即失格とさせていただきます」
試験管が注意事項を言っていく。その最中にテスト用紙が配られてくる。みんなにテスト用紙が渡った辺りで試験の話してが終わった。いよいよ試験が始まる。
「それでは、筆記試験……始め!」
今、入学試験筆記テストが始まった。
筆記試験が始まって、二十分が経過していた。
ユナや周りのみんなな一緒懸命に筆記試験に向き合っている。俺はと言うと暇していた。
筆記試験が始まってテスト用紙の問題を確認した俺は、上から順番に合計五十門の問題を解いていった。知識面でも師匠から教わっていたので、そう苦労せずに解けるだろうと思っていたのだが、簡単過ぎた。
まず、この国の歴史だ。この国が五人の『救国の英雄』にく救われた経緯や歴代の王の名前などが最初の十五問にあり、残りは全て足し算引き算の問題、後半の十問に掛け算割り算の問題が出てきただけだった。
師匠からは筆記試験に出ている問題以外にも正負の数や方程式、一次関数など様々なことを習った。師匠は『これは、常識なのよ? テストとかにも出るから』と言っていたが全く出てない。
そんなこんなで全て時終わったのでやることがない。見直しも五回はしたし、間違いは無いだろう。時間はあと十分ある。少し寝とこう。
―――――
――――
―――
「そこまで! テスト用紙から手を離してください。これで、筆記試験を終了します」
試験管の声と共に目を覚ます。どうやら終わったようだ。
「次の実技試験は、校内の闘技場で十一時から行う。遅れないうに」
俺はテスト用紙を回収されたあとに席を立つ。隣のユナも席を立った。
「ん〜! 終わったぁ〜!」
ユナは思いっきり腕を上にあげ、伸びをしている。そのスッキリとした顔はとても可愛い。
「お疲れ様。手応えはどうだった?」
「結構良かったと思うよ!」
「それは良かった」
どうやらユナ的に満足のいく結果を残せたらしい。まぁ、あんなに簡単な問題だからそれもそうだろう。
「リオはどうだった?」
「俺も良かったよ。全問解けたしね」
「え?」
「ん?」
何故かユナが驚いた状態で固まった。俺、何か言っただろうか?
「ゆ、ユナ? 大丈夫?」
「え、あ、ぅうん! 大丈夫だよ。リオって頭良いんだね!」
「そうか?」
「そうだよ!」
何故か、硬直から解けたユナに褒められた。なんか嬉しい。
「次は実技試験だね」
「そうだね。あと三十分くらいあるからゆっくり行こうかな」
「うん、そうしよう!」
俺とユナは、テスト問題の事について色々話しながら闘技場へ向かった。そして俺は、話しているうちにある事に気づいた。
「リオは筆記試験の問題、全問解けたっていったよね?」
「いったよ」
「それって、最後の十問も?」
「うん。ユナは?」
「私は……少ししか分からなかったわ」
「え?」
分かったこと。そう、それは掛け算割り算のことだ。ユナはどうやら掛け算割り算が上手く出来なかったようだ。師匠は『こんなの出来て当たり前よ。世界の常識なんだから!』なんて言っていたのに、ユナの話しを聞くと、掛け算割り算は結構難しい問題らしい。
この時、師匠がとても賢いことと常識が間違っていることが分かった。
そんなこんなにしているうちに闘技場に到着。学園内に闘技場あるとか、どれだけこの学園広いのだろう。
入口から入ると中も相当な広さだった。直径は二百メートルくらいで観客席まである。闘技場の真ん中に他の受験生が沢山集まっていた。先程ユナに聞いたが、今年の受験生は百人だという。
俺とユナも真ん中へ向かう。すると、何故か俺は他の男子たちに睨まれた。
「ちっ、リア充爆発しろ」
「なんであんな冴えない男が…」
「あいつに呪いを……っ!!」
そいつらの会話を聞いて分かった。原因はどうやら俺がユナと一緒に居るかららしい。
確かにユナはそこら辺の美人とは違い超絶美少女だ。俺は納得した。確かに超絶美少女と冴えなさそうな男が仲良く話してたら軽く殺意も湧くだろ。筆記試験の時にこのような事を言われなかったのが不思議だ。
周りからの視線を無視してユナと話していると、先程の試験管がやってきた。
「皆さん揃っているようですね。それでは実技試験の説明を始めます」
試験管の説明をまとめると
・五班に分け、一対一の模擬戦を行う
・模擬戦は一人につき一回
・負けても失格する訳では無い
という事だ。
班は受験番号で決まり、1〜20番号がA班。21〜40番がB班。41〜60番がC班。61〜80番がD班。81〜100番がD班だ。
俺は85番なのでD班だ。ユナは92番で俺と同じ班になった。
「それと、今回の実技試験では異能の使用を禁止します。」
異能とは人類の大半が使える力である。なんでも神から授かりし力とか。学園に入学する最低条件でもある。もちろん俺も使える。
「それでは早速D班の実技試験を始めます。受験番号61番と62番は前へ」
模擬戦は着々と進んでいく。みんな、動きにまだ雑さや隙などが多い。異能に頼りきって来たような感じがする。何人かしかまともな人はいなかった。
「次は、受験番号85番と86番は前へ」
次々と模擬戦が終わっていき、俺の番がやってきた。
「リオ、頑張ってね!」
ユナが両手で胸の前に拳を作り応援してくれた。この日何度目になるか分からないが、めちゃくちゃ可愛いと思った。
「「「「「ちっ!」」」」」
周りの男子から盛大な舌打ちを受けたがスルーする。
「それじゃ、行ってくるね」
これから、俺の実技試験が始まるのだ。気合いを入れていく。
「さぁ、師匠以外で初めての対人戦だ。頑張りますか」
評価よろしくお願いいたします!