第1話 10年後ニテ待ツ。
夕日を背にして、
「じゃあ、行ってくるわ。じゃあな。」
ガタイのいい男が苦しい笑顔で、いった。
まだ10歳にもならない男の子が泣きながら、
「おとうさん、いってらっしゃい。」
お母さんは今にも泣きそうだが、こらえていた。
「頑張ってね...」
そう言った瞬間、腰を抜かして地面に座り込んだ。
お父さんは2人を抱きしめた。強く、強く抱きしめた。
「じゃあな...」
小さな声でボソッと、呟いた。そして、何も言わずに立ち上がり、夕日へ向かって歩き出した。とても、荷物が多く、重たそうだった。2人はお父さんが夕日に消えても、まだ手を振っていた。
その晩、2人はずっと泣いていた...。
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「あれからもう10年か...」
18歳の壮年が、3人が写った写真を見ていた。
「ルドー、ご飯~。降りてきなさ~い。」
「ちょっと待ってー。」
慌てて写真を置き、急いで食卓へ向かった。
「今日のご飯は、なんと...」
「カレーでしょ。」
「なんでわかったの!!」
ルドーは、呆れた顔でいう。
「一昨日カレーだったでしょ。あと、昨日も。」
そう、カトリ家では1日目にカレーが出ると、3日目まではずっと、残ったカレーだったのだ。そして、貧乏なため、具はにんじんと芋だけの、具だくさんの反対、具少なめカレーだったのだ。もちろん、おかわりはなし。
「ごちそうさまでした。」
と2人が手を合わせていうと、
ドンドン 「すみません~」
ドアをノックする音が聞こえた。
「皿、片付けておくね。」
「ありがと、ルドー。」
母は玄関へ。
「は~い。どなたですか?」 ガチャッ
「あっ、フランキさんですか?」
「はい...」
「こちら、お届けものです。失礼します。」
母は1枚の手紙を持って、食卓へ来た。ルドーも近づいた。2人とも座ると、母は手紙を開いた...。
続編は、いつになるかわかりませんが、5月中には出したいです。これからもよろしくお願いします。