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books ~僕らのものがたり~  作者: 海純/六郎
5/12

4冊目.不審者

今日も特に難もなく学校は終わった。


ふぅと、息を1つつきながら、僕は帰り仕度をしていた。


教室には今僕以外いない。


僕は教科書類を整理しながら他に何かやっとく事はないか見回した。


黒板が少し汚れていたので軽く綺麗にして、教室を出た。


廊下を歩きながらボケッと歩いていると前方から女子生徒が歩いてくる。


その女子生徒とすれ違う時、冷たい空気が流れた。


「あなた、このままだと死にますよ」


女子生徒が通りすぎる時にその言葉が僕の耳を掠めた。


僕は足を止め振り返る。


女子生徒は何もなかったように歩いていってしまった。


僕は不思議だなと思いながら、そのまま校舎の出入口に向かった。


コツッ、コツッ、っと、僕の足音だけが響く。


僕は早足で駐輪場に向かった。


駐輪場には誰もいない。


僕は直ぐに自転車に乗り、正門から学校を出た。


学校からでて、近くの細い道に入り、喉が渇いたのでそこの自販機でジュースを買おうと、自転車から降りた。


近くに嫌な空気を感じ、その空気を発しているであろう方向を見る。


そこには右手にナイフを持った見た目が完全に不審者な人がいた。


僕は思考の隅で今日のHRで不審者が出たとか先生が話していたなぁと思っていると、不審者はこちらに走って近づいてくる。


僕はヤバいと思い、逃げようとする。


しかし、不審者の足は早く直ぐに近づかれる。


不審者はナイフで切りつけようと腕をふった。


僕は少し後ろに下がりよけるが、ナイフの先が当たり薄皮が切れる。


危ねぇ


更に不審者の追撃がくる。


僕は逃げなきゃと思うが逃げれそうにない。


自転車を見るがその視線に気づいたのか不審者は直ぐに僕の自転車のタイヤにナイフを刺しパンクさせる。


切れ味良すぎだろ、あとあの自転車買ったばっか何だけど


不審者はナイフをふる。


ナイフは僕に当たりそうに何度もなる。


そんな中で急に右目が熱くなる。


僕は右目を手で抑えながら寸でのところでナイフを避け続けた。


「お前、俺と同じ臭いがするぜ」


鼻息を荒くしながら、不審者はそんな訳のわからないことを言いながらもう一度ナイフで切りかかってくる。


僕は避け続けた影響か、体力がなくなり上手く避けられない。


ピシャッ


避けるときにとっさに出した左手にナイフが当たり血が出る。


僕は右目を抑えていた右手で左手を抑えた。


僕は恐怖に支配され始める。


心を落ち着かせようと思考する。


しかし、不審者はそんな時間をくれやしない。


更にナイフが飛んで来る。


不思議な事もあるもんだ。


不審者の腕の動きが凄くスローモーションに見えはじめた。


今正に僕の顔に向かって飛んで来るはずのナイフの軌道が僕の目には完全に見えていた。


ゆっくりと不審者の右手が左側から綺麗に弧を描き僕の顔へと向かって来る。


僕は自分の目を頼りに、寸でのところでかわす。


目のギリギリをナイフが通り僕の心臓はバクバクと鳴り始める。


ハァ、ハァ


息づかいも荒くなる。


地面を思いっきり蹴って僕は後ろに跳んだ。


不審者は凄く驚いた顔をしている。


しかし、それで逆上したのか更に素早いナイフが来る。


「俺は血が見たいんだよ」


不審者は目を見開きながら危ない発言をしている。


目は焦点が合っていない。


不審者の動きがゆっくりに見える僕は何度もナイフを避ける、避ける。


「どうして、僕なんだ」


口からこぼれた。


それに不審者は反応する。


「気分だよ、それと俺と同じ空気がするからな」


不審者は言う。


えっ、そんな理由で僕はこんなになってんの?と、驚きつつ不審者のナイフを避ける。


すると不審者は、急に自分の持っているナイフ舌で舐める。


汚いなぁ


「もっとスピードあげてくぜ」


不審者はナイフを舐めながら言う。


僕はそれをみながら、少し後ろに下がる。


不審者はそれを見て舐めたナイフを僕の方に投げた。


その飛んで来るナイフも僕にはゆっくりに見える。


真っ直ぐに僕の顔めがけて飛んで来る。


ナイフ投げるの上手いなぁ


僕はそんな事を思いながら半身になって避ける。


今、命の危機に会いながら僕は何度も死を回避している。


カランッ


後ろでナイフが壁か、何かに当たって地面に落ちる音がした。


僕は後ろを向くか悩んだがそんな事考えている暇は完全になくなった。


不審者は懐からナイフを出した。


まだあるのかよ


不審者は僕の方を見た後、ナイフの刃に触れた、すると、ナイフの刃がゆっくりと伸びていく。


嘘でしょ


不審者の持っていたナイフはどんどん刃を伸ばし、剣というにふさわしい長さになった。


そしてその剣を僕に向かって振るう、僕は必死に避けるがリーチが長くなったことにより距離感が上手くつかめず服に切れ線が入る。


僕は自分の呼吸音を聞きながら、この状況を打破する方法を考える。


不審者の剣がまた僕の方へ来る。


また、スローモーションに見えた。


僕はもう一度目を頼り後ろへ跳ぶ。


しかし、転がっていたナイフを踏み、尻餅をついた。


絶体絶命な状況だな


不審者はこちらに近づき剣を振り上げた。


僕に向かって振り下ろされる。


剣の軌道までゆっくりと見えるが体は上手く動かない。


ゆっくりに見えているのが凄く憎たらしい。


僕はその剣をじっと見つめることしかできなかった。

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