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ホームレス
いつからか認識していた。
小学校の通学路にあるボロボロの家と、ボロボロの服。
ボサボサの髪に、黒い肌。
そして毎朝、話しかけてくる。
「よぅ!元気か!」
くしゃくしゃの笑顔。
「タメ!おはよー!」
「ちーちゃん!だめだよ!タメと話しちゃ…」
後ろを歩いていたりんちゃんが、気まずそうに小声で私に話しかける。
私は、りんちゃんの方を振り向いた。
「え!なんで?」
「と、ともかく…後ろ詰まってるから行こっ」
りんちゃんに手を引かれて、タメから引き離されるように私は歩いた。
「タメばいばい!またね!」
タメに手を振ると、タメもくしゃくしゃな笑顔で手を振り返す。
りんちゃんは相変わらず、タメとは目を合わせないようにしていた。
私はりんちゃんがタメを避ける理由がわからなかった。