閑話3 『碧』と『金』
『ちょっと!ちょっと起きてよ『金』!!』
『なんじゃい…珍しく話しかけてくると思えば…『碧』の字か。』
『あんた何、呑気な事言っているの!ホムラの封印が解けちゃっているじゃない!』
『んん?それは本当かね?』
『気付かなかったの!?』
『…ふむ。確かに儂の可愛いジェネラル殿が“戻ってきている”な。どれどれ…ほぉほぉ、なるほど。』
『何一人で納得しているのよ!情報あるなら教えなさいよ!』
『そう急かすな。お主は見た目に反してせっかちでいかん。大地に張る根のように、ゆるやかに、しなやかに、大らかにいかねば、事を仕損じるぞよ。』
『あー!もう!!じじぃ!早く教えなさい!』
『…こっちは寝起きというのに。せっかちな娘だな。ホムラを抜いたのは“資格者”じゃ。』
『そんなことは分かり切っているって!『白』がそう作った部屋だったし!』
『そうだったかの?まぁ良い。その資格者じゃが…これはこれは、端整な少年じゃ。たどり着くまでに苦難が多く伸し掛かっていたのだろう。可哀想に。』
『え、端整な少年…!?』
『お主は相変わらずじゃのぉ。』
『どんな子が見せられないの?』
『それは無理じゃな。お主が此方に来るなら話は別じゃが、念話ではどうすることもできんて。』
『ぐ…。』
『時に、ホムラはどのような状態じゃ?』
『ちょっと待って…。げ、嘘でしょ…』
『?』
『なんで71番の封印が解けているのよ!あいつ、まさか!!』
『これこれ落ち着きなさい。いくらなんでも早過ぎるのではないか?』
『いや、本当に71番が…って、あれ?全部で解除は14個??あれ、あれれ??』
『ほれ見たことか。いつになれば落ち着きを持てるのかね、主は。』
『えー…何よこれ?13番まで解かれているのに、なんですっ飛ばして71番解除なのよ…。』
『何か問題があるのかね?』
『たぶん問題は無い…はずだけど…。むしろ70番まで解かれていたら、絶対あいつ、私のところに乗り込んで来るよ!?無理無理!あいつ五月蠅いし!!絶対いや!!』
『儂から見れば、お主らは仲睦まじく姦しく見えるがのぉ。』
『ちょっと!?あんな子と一緒にしないでよ、ガンテツ!!』
『カッカッカ!世には同族嫌悪という言葉があるからの。』
『だから一緒にしないで!あー、もう。あんな五月蠅いのと一緒にされるなんて屈辱でしかないわ!』
『ところでスイテン。封印が飛び越えて解除した話、『白』と『黒』にしなくても良いのか?ん?』
『ってそうよ!!完全にこれ、異常事態よね!?えーっと、シロナとアグロに繋ぐには…。よし、これね!じゃあね『金』!!!』
『ほっほっほ。息災での。『碧』の字よ』
『それにしても、相変わらず喧しい娘だ。さて、もう一眠りするとしようかの…。』