閑話1 『白』と『黒』
「姉上、どうされた?」
「…ホムラの封印が、解けました。」
「それは…誠ですか!?」
「ええ。先ほどから魔力を感知しております。ただ、抜いただけでは…」
「確か、番人がおりましたな。『金』が寄越した、屈強なエビルブル・ジェネラルが。」
「資格が本物なら、きっと打ち破るでしょうが…。」
「!!!」
「姉上?」
「どうやら、打ち破ったみたいですね。ホムラの力を上手く引き出せたのでしょう。」
「では、本当に…」
「ええ、間違いありません。ホムラの封印を解き放つ、選ばれし者が誕生したのです。」
「ならば我らは…」
「今は動く必要はありません。あの魔物を打ち破ったのですから、恐らく“装”にもすぐ気付くでしょう。それも解除の鍵です。予定では6つ目の封印が解けたはずです。」
「然らば、この地に向かう切っ掛けを知り得たのか。」
「ええ。恐らく。宿主次第でしょうが、こちらに向かってくることでしょう。そのうち会えますよ。」
「…」
「不安ですか、アグロ。」
「あの時とは違う、そう理解はしております。きっと御せるはず。そうでないとなると、また我らが…」
「今は信じて待ちましょう。どのみち、私たちの元へたどり着けなければ、封印は全て解けないのですから。」
「…彼等には、何て?」
「特に。放っておいて良いと思います。恐らく『碧』は気付いたはずですが。」
「ならば導かれるか…または、殺されるでしょうな。」
「任せましょう。今、私たちに出来ることは待つことだけです。」
「なんとも歯痒いが…約束ですからな。」
「ええ。その通りです。」