訓練兵 カナディア王国軍洗礼
基礎訓練期間のある日の朝、訓練所の空気に動揺が走っていた。問題が起きたのだ。
僕の同室のカインが起き抜けの散歩中に、あまり使われなくなっていた納屋で死体を発見した。そいつは以前にランニング中に泣き叫んでいたイワノフスキーと仲の良かったマルコだった。
どうやら自分が勧めた訓練所入りでイワノフスキーが酷い仕打ちを受けているのに耐えられなくなったようだ。自室からマルコの遺書が見つかった。
どちらの世界であろうとも世の中は悲鳴をあげられないヤツから死んでいく摂理は変わらないらしい。
その日の訓練は急遽取り止めとなり、2人の訓練生が脱落した。それからのカインとイワノフスキーは酷い状態だった。カインは間接的に同期の死に関わったことによる自責。イワノフスキーは自分の情けなさに塞ぎこんだ。
だが、軍では自殺等は日常的にあることらしく弔いが終わった次の日には訓練が再開した。
基礎訓練残りの一週間、マルコの仇とでも言うかのように教官に対し反抗的な態度が目立った。
基礎訓練が終わり、さらに2人の脱落者と教官が訓練所を去り、実践訓練まで一週間の準備期間が設けられた。