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訓練兵 基礎訓練

 一通りの礼儀作法を学んだ僕はいずれ現れる魔王と戦うため訓練兵として基礎訓練を受けることになった。

 この訓練はまさに地獄だった。朝の6時には起床の鐘で叩き起こされ、15分で食事を終え軍服で整列。まずは行進訓練が始まった。


「お前ら!!今日からはこの前召喚された勇者が訓練に加わるぞ!!!俺たちの気合いを見せつけてやれ!!!」


「「我らカナディア王国のために!!!!」」


「よろしくお願いします!!!」


 兵士達から返ってくる言葉がおかしい。どういう神経してたら王国のためになるんだそれは。守られるのはお前達の誇りだけだろう。

 その後、小休止を挟み剣術の訓練が始まった。さらに昼休憩を挟んだ後、教官はあろうことか帯剣したまま城壁周り5周を言い渡した。


「殺す気かよ…」


「勇者さんよ、気張りな。走る前から気持ちで負けてたら余計辛くなるよ」


「いつもこんな訓練を?」


「噂じゃまだマシな方らしいぜ」


 その言葉は真実だった。数週間後、体がやっとメニューに追いついてきた頃。さらなるメニューが言い渡された。城壁周りに鎧の装着が義務づけられ、城壁登りも加わったのだ。

 そんな皆の精神が限界に達していたとき、ついにランニングの最中に脱落者が出た。


「もう走れませええええん!!!」


 そいつは這いつくばったまま泣き叫んだ。


「立て。立って走るんだ」


「できません!!!動けません…!」


 そいつはすでに叫ぶ気力もなくなってしまったようだった。教官も諦めたのかそいつの肩を持った。


「カイン。こっちへ来てこいつを立たせるのを手伝え」


 教官の言葉に僕らは衝撃を受けた。


「お前ら。私に続いて叫べ」


「「はい」」


「みんなのために!」


「「みんなのために!!」」


「あと一周!」


「「あと一周!!」」


「走るぞ!!」


「「走るぞ!!」」


 その後の一周は疲弊した僕らには永遠のように感じられ、汗ばんだ体に纏わりつくハエの重さですらも体を縛る鎖に感じられた。

 そんな地獄のような訓練だが、別に教官の趣味でやっているわけではない。その可能性も否定できないが。


 この世界では何度も魔王との闘いが繰り広げられていて、尚且つ案の定、魔族は我々人類よりもはるかに上回る力を持っているのだ。そうでなければ、繁殖力で勝る人類が接戦などするはずがない。


 それを補うために限界まで人間のポテンシャルを引き出すため基礎訓練からレンジャー合宿のようなメニューをこなしているのだ。


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