異世界召喚
僕は筋金入りのオタクだった。そして、待望の大学デビューは中途半端に成功した。
大学から家までの電車通学の1時間半、いつものように小田急線の一号車の
隅でかばんを抱えてこっそりと寝ていた。
そんないつもの不快な時間、目を覚ましたら新宿に着いているはずだった。
目の前は薄暗かった。ああ、数分早く起きてしまったのか。まあいいか。
「目を覚まされました!!」
なんだ??
「本当か!」
「はい!」
僕は気が付いた。その理由はたくさんある。だが結論から言おう。僕は召喚された。いままでのような惰性で生きていては死ぬ世界に。
それからは大変な日々だった。幸い言葉は通じたが、そもそもの文化の違いに慣れる必要があるというのに礼儀作法がなってないと言われ、徹底的に毎日王宮のマナーを叩き込まれた。礼儀作法の勉強の後は時間は有効に使えと体力の限りまで走らされた。
その甲斐あってか僕の歩く姿は大学に居た誰よりも美しいと自負している。やっぱりかっこいいな僕。自分の歩いている姿を思い浮かべるだけでうっとりするものだ。
そう僕はナルシストだし、褒められるとすぐに調子に乗るのだ。だからこそ、僕の王宮ライフは充実していて楽しかった。この時はまだ…。