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バニラエッセンス

冷たい。

左手にあるバニラのアイスは、時間と共に溶けていく。けれど、口に入れれば冷たいままだ。

正直を言えば、無理をして欲しくない。

ちゃんと面を向いて言えば、心配をしている。

多分それも、ただの自己満だったりする。


大丈夫?

お疲れ様。

ただの言葉で、中には微量の感情しかない。

ただただ遣る瀬無い、よく分からない気持ち。

俺の知る記憶の公園で、緑に佇んで笑っていて。

星が見えない夜。

君の返事は来ないままで。

怒りや悲しみはないけれど、意味もなく、君が現れる時を待っている。

自宅のソファで夜を寛ぎながら。

呼吸で心を落ち着かせながら。

いたずらにアイスを溶かしながら。


僕の指先に君が現れるのを待っている。

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