4.美術部の事情
10月に入り、学習文化発表会の準備が始まった。
夏休み前に行われたアンケートでそれぞれの係が決まり、黒板にプリントが貼ってある。「見に行こうぜ」友達に誘われ僕も見に行った。僕はいつメン(いつものメンバーの略)と壁新聞をすることにした。すると、クラスの女子達に「男子だけで大丈夫なんですかー?」と言われたため、ヘルプとして美術部の3人の女子が入ってくれる事になった。
その中の1人が彼女だった。
心の中で「やったー!」と叫んでしまった。
彼女は何の係に立候補したのんだろう、
「えっ...」と口が空いた。
見間違いだろうか、印刷ミスだろうか、
プリントを見ると彼女は劇のキャストだった。
目立たない、声も大きい所を聞いた事がない、オーラが違う、そんな彼女が劇に立候補していたので思わず疑ってしまった。
後で、ある美術部の女子に聞いた話、1、2年生の美術部は文化発表会の看板作りで忙しいため、1番時間を取る劇に入ると顧問に怒られるらしい。
しかも、意外と美術部は部活中も歌を歌ったりダンスをしたり、賑やかな部活だと、何故か自慢された。まぁ、今の3年生だけだと付け加えられたが(笑)
なので、3年生になって部活を引退したら皆で劇やりたいね!と話していたそうだ。
友達でキャストに入った奴に聞いたらキャストの女子の半分以上が美術部だそうだ。
それから彼女は総合がある日は来るようになった。彼女の姿が見れる数が増えて僕も嬉しかった。
そして、本番1週間前になって壁新聞の題名や小見出しなどの配色や色塗りをヘルプの3人が手伝ってくれるようになった。