狼犬ウルフハウンドの新たな主、森ガールウィニー。
クワィアット
ミャ~ミャ~……
ミャ~ミャ~……
崩れかけた壁の向こうで聞こえる黒い仔猫の、なき声。
ゆっくりと足音を潜ませて近付く森ガールのウィニー。
『もう……逃げないでよ。』
彼女は、そろっと壁に寄りかかり仔猫の声がする反対側へと視線を移した。
カサッカサッ……
カサッカサッ……
辺り一面に広がる落ち葉の上を走る仔猫の足音。
ミャ~ミャ~……
ミャ~ミャ~……
なき声は聞こえるが姿は見えない。
『もう!』
『隠れてないで、でてきなさーい!』
少しイラつき気味のウィニーだったが彼女は、少し考えた後、閃いた。
上着のポッケから取り出した仔猫の大好物、マタタビを取り出した。
『ボァ~』
『大、大、大好きな、マタタビだよ~♪』
マタタビの匂いに誘われて瓦礫の中から顔を出す仔猫のボァ。
タタタタタ…………
しゃがんでマタタビを手に持つウィニーの元へとピョンピョン跳ねながら駆け寄って来た。
『もう!、君は本当に食べ物にしか興味がないのね……』
マタタビを美味しそうに食べる仔猫のボァを優しく撫でるウィニー。
仔猫のボァは、しばらくするとマタタビを食べるの止めた。
ウィニーの後ろを頻りに伺う様子を見せるボァ。
『どうしたの……?』
『もう、お腹いっぱいなのかしら?』
ウィニーは不思議に思いボァの視線を追って見た。
『キャッ!!』
いつから、そこにいたのよ?!』
森ガール、ウィニーは腰を抜かしてペタンとその場に尻餅を着いた。
少し離れたところにある崩れた壁の影から現れた二頭の狼犬。
クウゥ……クウゥ……
力なくないている。
『あなたたちも、お腹空いてるのね。』
ウィニーはカバンから、木の実やパンなどを取り出した。
『こちらへいらっしゃい~』
駆け寄る二頭の狼犬はむさぼるように食べ物を食べた。
二頭の頭を優しく撫でる森ガール、ウィニーの姿。
その光景に通り掛かった一人の男、青年クワィアットが視線を止めた。
『あれは……森ガール、ウィニー。』




