運命により集いよる屑鉄傭兵団(スクラッパー)
『負けんじゃないよーーー!!』
『屑鉄ド根性、見せてやーーー!!』
黒髪少女のフォローの言葉?を背に武装機甲団五体に立ち向かうスパナー。
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【武装機甲団】
特殊金属アボイタカラで造られた戦闘ドローン。
武器=戦鉄槌。
身長=180㎝。体重=150㎏
動作=遅い。
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スパナーは黄金戦工具を頭上高く掲げた。
『スパナーブレード!!』
機甲ドローンはスパナーをグルリと取り囲み包囲陣形を取った。
『小僧!!』
『黄金戦工具を捨て我らに投降せよ!!』
『女神フレィヤを、おとなしく差し出せば命は取らぬ!!』
機甲団頭領の言葉を意に介さないスパナー。
『お前ら、鉄屑にしてやる!!』
その言葉に武装機甲団はスパナーに対して総攻撃を開始した。
『やれーーー!!』
『力でねじ伏せるのだ!!』
包囲網を縮めて戦鉄槌をスパナー目掛けて振り落した。
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
黒髪少女が少し離れた瓦礫の上から叫ぶ。
『右ーーー!!』
スパナーは左に身を交わし背後に回り込み、まず一体の背中を激しく叩いた。
ドカーーーーーン))))
倒れ込み破壊される一体目。
黒髪少女が、更に叫ぶ。
『後ろーーーー!!』
スパナーは、その声に前方へ回避、体制を立て直す。
『左ーーーーー!!』
右へ体を捩らせ間一発で戦鉄槌の攻撃を避けた。
振り抜いた武装機甲ドローンの背中にスパナーブレードがヒットする。
ドカーーーーーン))))
倒れ込み破壊される二体目。
『足元ーーーー!!』
その声に高々とジャンプするスパナー。
体制を低くして戦鉄槌を振り抜いた武装機甲ドローン。
スパナーは空中で二回転しブレードを武装機甲ドローンの頭部、目掛けて振り落した。
ビユーーーーーーッ》》》》
ドカーーーーーン))))
頭部が破裂し倒れ込み武装機甲ドローン三体目。
降り立ったスパナー背後から襲い来る武装機甲ドローン。
思わずブレードで受け止めるが戦鉄槌のパワーに体制を崩すスパナー。
『終わりだぁーーー!!』
スパナーは覚悟を決めた。
『俺も、ここまでかぁ!!』
その時、疾風の如く黒髪少女が飛んで来て武装機甲ドローンの首もとに足を絡ませた。
『あんたも、まだまだだねーーー!!』
『少し、そこで休んでな!!』
黒髪少女は武装機甲ドローンの首もとにある急所ボルトを戦闘工具で絞め込んだ。
『一撃必殺!!』
『螺切り(クラッシャーレンチ)ーーー!!』
武装機甲ドローンの首がこれでもかというほど絞め込まれ切断された。
ドカーーーーーン))))
武装機甲ドローン破壊4体目。
黒髪少女へ襲い来る武装機甲ドローンの頭が叫ぶ。
『屑鉄傭兵団長レンチーーー!!』
黒髪少女レンチは体を素早く回転させた。
余りの俊敏な動きについて行けない武装機甲ドローン頭領。
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
ブーーーーーン))))
空を切る武装機甲ドローン頭領の
戦鉄槌。
背後に回り込む黒髪少女レンチがドローン頭領の首もと急所ボルトを捉えた。
『くらえーーー!!』
『螺切り(クラッシャーレンチ)ーーー!!』
『一撃必殺!!』
ドカーーーーーン))))
胴体から首が吹っ飛ぶ武装機甲ドローン頭領。
空中で二回転し地面に着地した黒髪少女レンチ。
額の汗を袖拭いため息をひとつ。
『ふーう……終わったか。』
唖然と、その戦いぶりを座り込んで見ててたスパナーに手を伸ばす黒髪少女レンチ。
『まぁ、あんたも初戦だし……よく、やっとほうだよ。』
『約束通り、屑鉄傭兵団の仲間に加えてやるよ。』
スパナーは首を傾げてレンチに語りかけた。
『そんだけ、強いなら俺、戦わなくてもよかったんじゃないか?』
『それに俺、あんたの屑鉄傭兵団に入る約束なんかしてないよー!!』
不思議そうにスパナーの顔をのぞきこむレンチ。
『はぁ、何だって?』
『あんた、ハンマーとかう入団希望者だろ?』
その時、彼女の後ろからドシドシと足音を発てて近付いてくる大きな鉄槌を肩に抱えた太った少年。
『ごめーーーん!!』
『遅れた、遅れたーーー!!』
太った少年は辺りを見回して破壊された武装機甲団を見て、ため息を突いた。
『はぁ……戦闘、終わっるう。』
『おいら、入団無理かなぁ…』
黒髪少女レンチは両腕を腰に当ててムッとした。
『あんたがハンマーかぁ。』
スパナーの方を見てレンチが訊ねた。
『じや、あんたは誰よ?』
スパナーは立ち上がり首を竦めた。
『それは、こっちのセリフだよ!』
小走りに近付いて来た幼女ルチアがスパナーの袖をつかんで呟く。
『おにーちゃん、お腹空いたよ……』
しゃがんでルチアの頭を撫でる黒髪少女レンチ。
『わかった、一緒にご飯食べに行こう!』
グーウとスパナーのお腹が鳴った。
スパナーのほうを向いたレンチがポッリと声を掛けた。
『あんたも腹空いてるんだろ。』
『加勢してくれたお礼に飯食わせてやるよ。』
『そこの機甲団の屑鉄を荷車に全部載せて私についてきな!』
『おい、そこの遅刻入団希望者!!』
『ボーッとしてないで、あんたも、屑鉄傭兵団に入りたいなら、さっさと手伝いな!』
スパナーと太った大柄な少年ハンマーは黒髪少女レンチが用意していた荷車に
屑鉄となった武装機甲ドローンを積んで
彼女の後を付いて行った。
『何で俺が、こんな目に会わなくてはならないんだ?』
スパナーの、その言葉に太った大柄な少年ハンマーが答えた。
『よかったじゃないか♪』
『レンチねーさんに気に入られたなぁ。』
ひょんな事から知己となった四人。
屑鉄傭兵団の資金源を運ぶ荷車の一行。
瓦礫な屑鉄の、そこかしこから顔を出す子供たちが口々に笑ってついてくる。
『あ、レンチねーちゃんだぁ♪』
『わーい、わーい♪』
幼い子供たちに周りを囲まれる黒髪少女レンチ。
『彼女は人徳かあるんだ。』
荷車を引くスパナーがポッリと言葉をこぼした。
その言葉に後ろから荷車を押すハンマーが彼に語りかけた。
『レンチねーさんを知らない者は、この街にはいないよ。』
『お前……よそから来たんだなぁ。』
夕日に暮れる街を進む一行の先には、この街の闇市があった。