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サバゲーテイル・トラジック  作者: 一条由吏
ソロプレイ編
2/13

第1話 再現確認

お読み頂きましてありがとうございます。


 今回、再現確認を行う舞台として選んだのは、第10回の拡張アップデートという、けっこう初期段階で実装された妖精国では有名なソロイベントのボス戦だ。


 経験値という点では、PT戦やレイド戦のイベントのほうが高いのだが、その場合、1人頭の経験値に換算するとソロ戦のイベントのほうが高い。しかも、過去にこのバグ技を利用したと思われるプレイヤーが複数人出てきたことが無いことを加味すると、頭割りされるPT戦やレイド戦で戦闘中のプレイヤーは、始めから除外されている可能性すらある。


 さらに既に攻略済みのイベントの場合、回数を重ねるごとに得られる経験値は減少する傾向にあるため、攻略していないイベントのほうが良いのだ。


 俺が、このイベントを攻略していなかったのには、訳がある。このイベントのボスは、グレードラゴンなのだ。このドラゴンは、ドラゴンの中でも攻撃力は少なく比較的戦いやすいのだが、ドラゴン族なだけあって、非常に硬いモンスターなのだ。


 中堅プレイヤーの俺の防御力を持ってすれば、戦線を維持することは容易いのだが、弓使いという攻撃方法が中心の俺では、3時間以上攻撃し続けなければ倒せないレベルのモンスターなのだ。しかもこのRPGの戦闘システムの制約である3時間タイムアウト制により、必ず戦闘途中で中断されてしまうため、これまでこのイベントには、手をつけていなかったのだ。


 しかし、初期段階に実装されたイベントであるため、検証・解析はほぼ完全と言って良い。すべての攻略手順が非公式有名Wikiに載っている。しかも、事前準備に必要な持ち物は、イベントで取得済みの装備やNPC売りのアイテムで賄えるので、余分な労力は必要ないのだ。


・・・・・・・


 このイベントでは、各プレイヤーが得意とする分野で作成したもの(例えば、俺だったら生産職の木工の熊の置物だが。戦闘職だったら、特定の武器で行う演舞だったりする)が妖精国のアイドルが気に入り、そのものが妖精国の文化財的扱いになり、そしてドラゴン族の目に止まる。


 ドラゴン族は、種族としては温和な種族なのだが、このVR世界では、最強の生き物でもあるためグレードラゴンは力におごり、強奪同然に妖精国のアイドルを奪われ、プレイヤーを悲劇が襲うのだ。そこから、プレイヤーとの死闘に発展していくという流れである。


 よし、戦闘がアップデート時刻の30分前に始った。このイベントが実装当時には、存在していなかった。ドラゴン族の骨を使った鎧がその後に実装されたイベントでGETできるのだから、維持するだけならば生産職特化のプレイヤーにすら容易いと思われる。


 俺は、この再現確認が成功すれば、知り合いの生産職特化のプレイヤーにこの情報を教えて、彼女を結婚システムの相手として口説くための材料にしようと思っていたのだが、まさかこんなことになろうとは、思っても見なかったのだ。


・・・・・・・


 結果は俺のシミュレートと一致する結果となった。さすがに戦闘中に生産系スキルは使えないので伸びなかったが30分の戦闘の割りには、戦闘系スキルの伸び率が異様に高く。Wiki情報ではスキルポイント3ポイントGETのイベントのはずだが、50ポイント以上もGETできたのだ。


 早速、スキルポイントを割り振りたいところだが、強制ログアウトされてしまうと問題なので、すぐ近くの村にある宿に向かった。既に連泊の意志を宿屋には、伝えてあるので宿泊しログアウトするつもりなのだ。


 宿屋に向かったところ、やはり予想通りの結果が待ち受けていた。宿屋の入り口に『メンテナンス中に付き利用できません。』の文字が燦然と輝いていた。これも、事前に取得した検証情報の通りだ。


 ほとんどのプレイヤーこれで諦め、その後に来る強制ログアウトで失敗の報告をしていたが、さらに別の情報を取得解析していた俺は、足早に宿屋を去った。


 俺が事前に取得した情報では、アップデートの際にアップデートに関係無いエリアでは、一部戦闘系イベントを除き、生産系や戦闘を伴わない冒険者ギルドの依頼などは、別段問題なく受けられるのだ。


 これまでにも、アップデートに関係無いエリアでアップデート前に戦闘系イベントを集中させ、アップデート直前に生産系の作業に切り替え、その日の時間切れまで作業し、ログアウトするということを行い、チマチマとした経験値稼ぎを行った経験があるのだ。


 このバグ技も生産系プレイヤーでは、有名なバグ技の一つである。一般のプレイヤーは、アップデート直前にログアウトするのが公式サイトのルールとして公表されており、これに違反すれば、強制ログアウトすると書かれているが、アップデート中にそんな違反行為を取り締まる余裕はないのだろう。実際に強制ログアウトされた例は無いらしい。


 まあ、そんな情報をしらない多くの戦闘職プレイヤーは、ギルドで積極的に事前ログアウトすることを推奨することで、運営の負担を減らそうというキャンペーンを行っているのが普通らしい。


 ギルドマスターになったことが無いので知らないが1人でもログアウトしていないプレイヤーの居るギルドは、ギルド維持費用などの点から運営から不利な条件を示されるらしい。そのため、生産職プレイヤーは、ギルドに所属しないプレイヤーが多く、ギルドに所属している生産職プレイヤーは、アップデート中の生産を諦め、事前にログアウトしているらしい。


 ちなみに俺は、ギルド未所属だから、アップデート中も、バンバン生産を行っていたりするわけだ。


・・・・・・・


 しかし、予定していた。高速馬車を使った移動も馬車ターミナルに行くと『メンテナンス中につき、利用できません。』の看板が下がっていた。仕方なく俺の選択肢は徒歩でエリア外に出ることとなった。しばらく歩いて行った先で俺は、異様な光景を目にすることになった。


さあ、その異様な光景とは・・・。


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