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北方宗一の銃器語り #7 そういや銃の動作法って?

今回は銃の動作方法について。

これからは軍警察関連では必須の道具、銃を紹介していきます。

銃には複数の動作法があります。ここでは有名な動作法を見ていきましょう。


・ガス圧利用式

今現在使用されているライフルの殆どはガス圧利用式です。これには三種類あります。そのすべてが銃身からガスを取り出し、ボルトの稼働に利用します。


ロングストローク・ガスピストン方式

ガスをピストンシリンダーに導き、ボルトアッセンブリと同じだけの長さピストンを動かす方法。

三種類の中で一番動作性が良く、粗悪な弾薬でもものともしないAKもこの方式。

しかし、可動部全体の重量が大きくなるため反動が割り増しになる事が多い。


ショートストローク・ガスピストン方式

ガスをピストンシリンダーに導き、ボルトアッセンブリより短くピストンを動かす方法。

ビリヤードにおいてキューで玉を突くように勢いよくピストンがボルトを突き、ボルトは慣性で後ろに進む。

反動は小さくなるが、リュングマン程でもないし、動作性では少々ロングストロークに劣る。


リュングマン方式

ガスをボルトまで導き、ボルトそのものをガス圧で動かす方法。

ボルトの軽量化ができるため反動が軽く構造もシンプルだが、半面、ガスが繊細なボルトに直接吹き付けられるため、整備や弾薬の品質に気を使う必要があり、とにかくボルトをはじめとする精密可動部がすぐに汚れ故障の原因となるため頻繁な掃除が必要。


・ブローバック

拳銃やサブマシンガン、初期の自動小銃などが使う方法。ガス圧利用式と同じく燃焼ガスを使うが、ガスの噴射でボルトやスライドを後退させる。

威力の強い弾丸を使うためにいかに後退をディレード(遅延)させるかが問題となった。


ストレート・ブローバック方式

構造は単純でガスの噴射圧で単に押し下げるだけ。

しかし、バネの強さとボルト、スライドの重さが薬室の閉鎖能力そのものであるため、拳銃では9ミリショート弾がまともに使える威力の上限となる。

威力が強いとスライドがものすごい勢いで後退してしまい銃を壊してしまう。

薬室に逆テーパーをかけると、ディレードができる。これをリング遅延方式と呼ぶが、効果はさほど絶大ではない。


ローラー・ロッキング・ディレード・ブローバック方式

ローラー遅延式ブローバックともいう。ボルトのローラーが銃身に固定された溝にはまっていて、ボルトがガス圧で後退しようとするとローラーがボルトの内側に引っ込もうとするので、引っ込んでしまうまでの時間で圧力を小さくしてブローバックさせる。

何を言っているかわかりにくいが実際簡単に説明しようとするとこうならざるを得ない。ウィキペディアの図を見るとわかる人はわかる。

とにかくH&Kがこの方式が好きで、拳銃にも使っていた。

構造が複雑なので、強すぎる銃弾では簡単に故障する可能性があり、強い力で硬いものを何度も直に叩き付けられると壊れてしまうため、扱いには慎重さが重要。


ガス・ディレード・ブローバック方式

ガス圧遅延式ブローバックともいう。ガス圧利用式のようにガスの一部を他の部分に導いて、今度はボルト、スライドを前に進ませようとする力にすることで無理やり薬室を閉鎖する方式。

大抵、銃身のすぐそばにピストンを配置して閉鎖するが、超ミニサイズのZVI KEVINはそんなことできないため排莢口前縁にガスを吹き付けるというとんでもない方法で解決した。


・ショートリコイル

パッと見ブローバックと似ているが、ガス圧ではなく反動で動かす方法。

古くからある方式だが、薬室をどう閉鎖するかが腕の見せ所で、究極の答を見つけ出したことからブローニングは銃工としての名声を一層轟かせることになった。

欠点は弾薬の生ずる反動とスライドの重さやバネの強さとの均衡のとり方であり、これを間違えると動作不良が頻発する。


ブローニング式

一番使われている方法。ティルトバレル式とも言われ、バレルにある溝とスライドにある溝とを噛みあわせて薬室を閉鎖している。しかし、最近はP220によって実現した排莢口とブロック状薬室部をぴったり合わせることで形状を単純化させている。非常にシンプルな部品構成なので、多くのモデルが使う。


プロップアップ式

モーゼルやP38、M92F、南部十四年式拳銃、M2マシンガンなど使用する銃がなぜか有名な銃が多い方式。銃身にロッキングブロックと言う独立した可動部品を使い、ロッキングラグにはまっているロッキングブロックがバレルが後退するとスライドの後退方向に平行な溝に合うように角度が変化する。

部品の数が多くなるため複雑になるが、銃身が傾かないためより精密な射撃がしやすい部分もある。


トグルジョイント式

スライドの代わりにトグル部品が存在する。ルガーP08拳銃の方式で、世界初の拳銃であるボーチャード拳銃もこの方式。部品が多すぎ、繊細で、今では実用品で使われることはない。しかし、ロマンはあるし、スライドが後ろに下がらないため銃の後ろが他より安全である。


ローラー・ロック式

ローラー・ロッキング・ディレード・ブローバック方式ブローバックの機構と基本的には同じだが、ロックの外れるタイミングが違い、こちらの方が遅い。また、構造はこちらの方が複雑であり、ブローバックの方はこの方式を簡素化しようとした際、偶然作られた経緯がある。

Cz52やMG42が採用している。


・ボルトアクション

第二次大戦中までの大多数の小銃がこのボルトアクションでした。ボルトを手で動かすこの方式は弾を撃つ数で自動式に劣るものの、ばねで戻す自動式に比べボルト前進速度が遅いため、薬室の隙間を小さくすることができるために精密さが必要な狙撃銃に現在でも多用されています。

ボルトの閉鎖法と薬莢の底の雷管を叩く撃針のコック(撃針を後ろに引いて固定すること)法がそれぞれ二つずつあります。


回転式

ボルトハンドルを持ち上げ回転させることでボルトの薬室閉鎖を解除する方法。

単純明快な構造なので多用されている。


直動式

ストレートプルともいう、ボルトハンドルをそのまま後ろに引くことで薬室閉鎖を解除する方法。

構造が複雑だが自動式に近い発射間隔を得ることができる。

五輪選手の使うアンシュッツ製の銃や最近アニメなどでよく見るブレーザーR93が採用している。


コックオン・クロージング方式

撃針をボルトを前進させるときにコックする方式。

三八式歩兵銃はこの方式で有名。


コックオン・オープニング方式

撃針をボルトを後退させるときにコックする方式。

こちらの方が薬室閉鎖の時に余計な力が要らないため、今ではこの方式以外は見られないという。


・その他


オープンボルト式

ボルトが後退し、排莢口が開いた状態で引き金を引くと発砲する方法。

引き金を引くまで薬室に弾薬はないため、薬室が過熱しすぎた為に生じる暴発であるコックオフが生じにくい。

構造は単純で信頼性は高いが、衝撃で暴発しやすく、発砲する直前にボルトが動くため重心のずれが生じやすく特に単発では命中性が期待できない。

連射がメインの機関銃に多く使われており、UZIやイングラムM10、ミニミがそうである。


クローズドボルト式

ボルトが前進し、排莢口が閉じた状態で引き金を引くと発砲する方式。

衝撃を与えても暴発しにくく、発砲直前の重心移動がほとんどないため単発の命中性が高い。

薬室が過熱するとコックオフを生じてしまうため、その点に注意しなければならない。

連射を前提としないライフルや拳銃はほぼ全てこの方式であり、短機関銃であるMP5やVz61は、開発当時数少ないクローズドボルト式の短機関銃であった。

連射が出来るアサルトライフルも全てクローズドボルト式であるが、SCARの一部モデルなどは普通はクローズドボルトで、連射時にオープンボルトで動作する機構を積んだものがある。

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